ゴエモンのつぶやき

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<放り出された障害者 大量解雇から1年>(中) 再就職支援 有志が奔走

2018年10月19日 14時46分34秒 | 障害者の自立

 「失業手当が切れて、冷蔵庫は空っぽ。就職も思ったところには決まらず、追い詰められた気持ち」。昨年七月下旬に閉鎖した名古屋市北区の就労継続支援A型事業所(A型)「パドマ」で働いていた女性(58)が漏らす。脳性まひで脚が不自由な女性の車いすを押しながら、元職員の女性(70)は「問題は終わったと思われているけれど、今の方が生活がずっと厳しい人もいるんです」と付け足した。

 元職員の女性は二〇一四年から、パドマで内職する障害者(利用者)を支援していた。パドマが閉鎖された直後から、聴覚や精神に障害がある元利用者たちの再就職先探しを手伝っている。自腹で交通費を払ってハローワークに同行し、炎天下でも他のA型の見学や面接に一緒に行った。

 手伝った中では七人の再就職が決まり、自身も五月中旬から同市内の別のA型に勤務している。しかし「信頼関係を築いた障害者が困っているのに、自分だけのうのうとしていられない」という気持ちが、支援に駆り立てる。

 パドマを運営していた同市北区の企業「障がい者支援機構」は、パドマのほか愛知県清須市など全国五カ所でA型を経営しており、同県内では計六十九人が解雇された。愛知労働局によると七月現在、働く意思があって再就職先が未定の人は十二人。他のA型や一般企業に転職した人もいるが、新たな職場に定着できなかった人や、体調不良などで職探し自体ができない人もいる。中には、だれとも連絡を取らず、どうしているのか、だれも分からなくなってしまった人もいる。

 障害者向け作業所の全国組織「きょうされん」などが昨年十月に設立した「A型問題の被害者を支える会あいち」は、孤立しがちな障害者らの現状の把握に努めている。未払い賃金の一部を国が立て替え払いする制度の利用手続きなども手伝っている。しかし、制度の知らせを送っても反応がない人もいる。

 元職員の女性も支える会に参加しているが「登録された番号以外からの電話には出ない人もいる。立て替え払いの手続きの支援などは行政はしないので、支える会がやるしかない。行政も事業者も、後始末はすべて丸投げ」と憤る。

 元利用者の女性も一年間、A型で職を探したが、見つからなかった。パドマでは出勤や退社の時間、勤務日数などうるさいことは言われなかったが、就職活動で訪ねた事業所から「通院して休んだ分は残業して埋めて」などと求められることもあり、自信を失った。

 十月から、一人暮らしの自宅近くのB型に通い始めたが収入が心配だ。B型では毎日通っても月収は二万円ほど。月約六万五千円の障害年金が支給されるが、家族に頼らざるをえない。「パドマを選んで、そこになじんでしまった自分のせいかもしれないが、他のA型でもパドマと同じように勤務できないものか」

 パドマなどの閉鎖は、国の給付金目当ての事業者が増えたとして、国が給付金を障害者の給与に充てないよう指導を強化したのが発端。国は各A型が自力でもうけを出すよう働きかけており、体調などの問題で安定して働きづらい障害者がA型と雇用契約を結びにくいとの声も上がっている。

 元職員の女性は言う。「A型で働きたくてどれだけ無理しても、雇ってもらえない人も出てくる。今回の一斉解雇で、多くの障害者が困ったこと、今も困っている人がいることを忘れられないよう、声を上げ続けるしかない」

車いすの女性の就職相談に乗る元職員の女性(左)

2018年10月18日           中日新聞


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