ゴエモンのつぶやき

日頃思ったこと、世の中の矛盾を語ろう(*^_^*)

NPO理事長・久保田翠さん、障害者ありのまま社会に

2018年08月12日 12時28分47秒 | 障害者の自立

 障害者も当たり前のように社会の中で暮らしていく――。そんな理念を貫くのがNPO法人クリエイティブサポートレッツ(浜松市)だ。理事長の久保田翠(みどり)さん(56)は息子の壮(たけし)さんが重度の障害者でもある。「とにかく自分のために突っ走ってきた」と語るが、活動は共感を広げつつある。

 レッツが運営する浜松市内の障害福祉施設「アルス・ノヴァ」は毎日約40人が利用する。のんびり階段を上り下りしたり、奇声を発したり、地面をたたいたりと自由に過ごす。「障害や問題行動をそのまま肯定する」のがレッツの方針だ。

 1996年に壮さんを出産。「普通に働きながら育てたい」と考えたが、どこの保育園も門前払い。市役所に尋ねると、福祉施設に入所させるか仕事を辞めるかだと宣告され「障害児の母親は自己実現できない、人権さえないと気付いた」。

 同じ境遇の母親たちを集め、2000年に任意団体としてレッツを立ち上げた。障害者の創作を評価するエイブルアートと呼ばれる運動と出会い、福祉とアートの融合を模索した。

 だが試行錯誤の連続だった。芸術家を招き、絵画や音楽など様々な講座を開催。障害者の作品を売って社会と関わる試みもしたが「じゃあ壮のような絵も描けない重度障害者はダメなのか、という疑問がわいた」。

 現在の活動につながる契機となったのが、08年に開催した実験空間「たけし文化センター」だ。このとき壮さんは12歳。小学校は出たが、食事も着替えも満足にできない。排せつ物で遊ぶ「便こね」の癖があり、問題行動ばかり。けれども「彼のやりたいことをやりきる熱意はすさまじい。容器に石を入れて四六時中楽しんでいる」。

 そこに創造性を見いだし「壮のありのままを肯定する場」を目指した。紙ちぎりや音を聞いて踊るなど、好きなことを自由にやらせる。テーブル上のものは倒されるので、お茶を飲むため「高所カフェ」を設けるなど、自然と誰もが分かち合える環境になった。

 通常の障害者福祉では、隔離された施設で「一人前」を目指して問題行動を正し、少しでも自立できるよう職業訓練を施す。レッツは彼らをありのまま社会に出そうとする。自由な表現力を生かした文化事業は全国から注目を集め、17年度の文化庁芸術選奨新人賞に選ばれた。

 10月にはJR浜松駅から800メートルほどの場所に新たな障害者施設「たけし文化センター連尺町」をオープンする。「街中につくるのは、奇をてらうのでなく、それくらいしなければと思うから。まずは彼らの存在を知ってほしい」。そこから社会が変わっていってほしいとの願いを込める。

NPO法人クリエイティブサポートレッツ理事長・久保田翠さん

2018/8/10       日本経済新聞

 

ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
« 精神障害者の強制入院 議論... | トップ | 働きたい障害者を支援 鎌倉... »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

障害者の自立」カテゴリの最新記事