ゴエモンのつぶやき

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川村さん 総理大臣賞 心の輪を広げる体験作文コン

2015年12月03日 01時29分03秒 | 障害者の自立

 障害のある人とない人の心のふれあい体験をテーマにした「心の輪を広げる体験作文」コンテスト(内閣府など主催)で、鳥取市の川村恵子さん(42)が最優秀賞に当たる内閣総理大臣賞を受賞した。知的障害のある妹、友加理さん(38)と、恵子さんの長男、湧志ちゃん(4)が寄り添う姿を通し、障害者とふれあう中での「気づき」を取り上げた。

 川村さんは鳥取湖陵高教諭。昨年6月、県のあいサポートメッセンジャー研修を受講した後にコンテストを知った。「湧志のおかげで妹について気づいた心を、この機会に掘り下げたい」と思った。

 友加理さんは1歳の時の髄膜炎の後遺症で知的障害がある。湧志ちゃんの名前を呼ぶのもすんなりとはいかず「知能は2歳くらい」(川村さん)。生活に介助は必要だが、ゆっくりとなら歩け、指示されればできることもたくさんある。通うデイサービスが楽しくて仕方なく、母親が勤務先から帰ってくるまで共に過ごすヘルパーさんたちが大好きだ。

 とはいえ、川村さんにとって妹のことはわざわざ人に話すことではないという位置付けだった。多忙な仕事もあり、「距離を置いていた。決して優しい、いい姉ではない」と自覚する。

 結婚を機にしばらく離れて暮らしていたが、湧志ちゃんが誕生し、近くに住んだ。妹と長男と3人で過ごす時間が少しずつ積み重なり、知らなかった妹の一面を見る。湧志ちゃんのおむつを替えようとする姿に「ずっと世話される側だった妹が世話する側になろうとしている。妹なりに関わろうとしている」。

 そばにはいても声一つ掛けてこない友加理さんを不思議そうにしていたこともあった湧志ちゃん。ある日のこと。「ゆかちゃん(友加理さん)はゆっくり歩くからね、(僕も)ゆっくり歩くの」。日々の積み重ねで障害を理解して受け入れ、出てきたのは友加理さんに寄り添う言葉。湧志ちゃんが成長した時、友加理さんの障害をどう伝えようか悩んだこともあったが、言葉の説明は不要だった。

 「障害のある人とのふれあいは特別なことではなく、日常の継続の中にある。そう気づくのに40年近くかかった」。二人の姿は一番そばにあるお手本だった。

 湧志ちゃんと友加理さんのいる日常がこれまで通り続いている。まだ十分ではないながらも心の距離を縮めている。一方、どちらかというと伏せてきたことを作文で公にしたことで、これからの自分のあり方が問われると気持ちが引き締まっている。

 川村さんは「これは妹と息子にくださった賞。二人の成長過程で生まれる新たな気づきと一緒に成長し、変化していきたい」と話している。

 ◇受賞作文「ゆかちゃんとチィ」は鳥取県のホームページ(HP)で閲覧できる(3日からは内閣府のHPでも)。

友加理さん(右から2人目)、母親の和子さん(中央)と川村さんの家族。一緒に過ごす積み重ねが「気づき」をもたらしてくれた(川村さん提供)

2015年12月1日   日本海新聞



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