改正障害者雇用促進法は、民間企業を対象に、障害者の募集や採用での不当な差別的扱いを禁じている。根本匠厚生労働相は10月26日、行政機関にも同様の対応が求められるとの見解を示している。
毎日新聞が今年度の正規職員の採用試験を調べたところ、少なくとも大津▽近江八幡▽栗東▽東近江▽米原--の5市で、身体障害者への不適切な応募資格が確認された。過去に条件を付けていた市も多かった一方、湖南市は条件を付けたことはなかった。
大津市は、31日に受け付けを締め切った身体障害者向けの一般事務職採用案内に「介護者なしに職務遂行が可能」との条件を付けていた。遅くとも2004年度から続けており、今後は見直しを検討する。米原市や栗東市も今年度の求人に条件を課していたが、いずれも「障害者を差別する意図はなかった」と今後、削除を検討している。
近江八幡市は「自力で通勤ができ、介助者なしに職務の遂行が可能」などの条件を課した身体障害者向けの採用案内を、現在も市のホームページに掲載。9日まで申し込みを受け付けているが「募集の途中で条件を変えられない。次回以降は削除する」と説明する。
県は、障害者向けの採用を始めた1992年度から同様の条件を課していた。バリアフリー化の進展などで2003年度に「自力通勤」は削除し、「介護者なし」は「守秘義務の観点や、誰が介護者を準備するのかという問題」から削除を見送ったが、昨年度に削除した。
一方、「介護者なし」の条件を課す東近江市の担当者は「条件の削除を検討したい気持ちはあるが、介護が必要なほど重度の障害者が働ける環境は整っておらず、採用は現実的でない」と明かす。
財務省などの中央省庁が障害者を採用する際に「自力で通勤できる」「介護者無しで業務遂行が可能」という不適切な応募資格を設定していた問題で、滋賀県内13市のうち大津市など少なくとも5市が今年度の正規職員採用で、同様の条件を付けていたことが毎日新聞の調べで分かった。県も条件を付けていたが、昨年度までに削除していた。多くの市が次回以降の見直しを検討しているが「受け入れ環境が整っていない」と困惑の声も聞かれた。
毎日新聞 2018年11月1日