図書館へ行く道すがらの楽しみの一つに、道端の草花と同じく他家の庭先を見ることがある。
庭先と言っても下町なので庭と呼べるものではないが、ちょっとした隙間地に工夫が凝らされたりしている。散歩道に接する奥行き1メートルほどの狭さだから歩きながら覗き易い。
ある日、そのうちの一軒の庭先の、いつも植木鉢が置かれていた台に張り紙があった。「お好きなものをお持ち帰り下さい」
「あぁ、亡くなりはったんかなぁ、、、」
いつも同年代の男性が、小さな鉢に可愛い植栽を工夫されていた。メダカや金魚も可愛く設えられた小さい鉢に泳いでいた。そんな鉢がびっしりと並んでいて見るのが楽しかった。
タイミングが合えば声かけてお話ししたいと思っていたのに、、、
しばらく図書館へ行ってなかったので気づくのが遅かった、金魚やメダカが欲しかったけど無事お嫁入りしたみたい。
金魚鉢に適した貝殻が残っていたのでいただいて帰った。
お礼にチョコレート買ってきて置いておこう、と思ったけど実践せず、有難う御座いました。
こうして亡くなっても思い出して貰えるように、私も庭先を同じように綺麗に可愛くしておこう。
その散歩道でもう一人会えなくなっているじぃちゃんがいる、いつも猫を抱いて座っていた人。
もう何年も何年も暑くても寒くても、いつも猫を抱いて座って居たのに。
見かけることが減り、猫が一人でニァニァ鳴いていたのでエサ持参で図書館へ通っていたが、今は全く見かけない、不在が続いたからか猫も見かけなくなった。
淋しい、、、