散歩から探検へ~政治を動かすもの

自己認識の学・永井陽之助の政治学を支柱に、自由人による主体的浮動層の形成を目指し、政治状況の認識・評価・態度を語ります。

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「所得倍増計画」と「偶発革命」の間に~技術革新による高度経済成長

2014年06月05日 | 経済
改めて吉川洋一氏の「高度成長」(読売新聞社1977)に戻る。氏は「経済成長にアンビヴァレントな感情を持ち」つつも、「高度成長に花束を贈りたい」との気持ちを抱いている」。しかし、本当の処はそれ以上の高い評価を与えているはずだ。
 『経済成長の過程と帰結、社会変動の視点20140529』

それは、本の冒頭に、高度成長期は江戸時代等の時代区分に匹敵するほどの変化を日本にもたらした、と書いているからだ。戦後日本は再度、近代化の道を歩み、欧米先進国の後を追いかけた。従って、昭和20-45年の25年間が明治維新以降の近代に続く、「第2の近代」であり、それ以降、現代が続くのだ。

アメリカ的生活という具体的目標が見えおり、先ずは電気製品を中心とした耐久消費財の普及だ。それと共に衣食住、交通機関を含めて都市の様相が一変する。その契機が東京五輪1964だ。これを吉川は「生活革命」「消費革命」と呼ぶ。

その革命は「技術革新」によって推進された。


         
その具体的効果は生産性であり、上の表4,5に例示される(吉川前掲書)。表4は鉄鋼業の労働生産性を示す「労働時間/鉄」であり、70年では50年の10倍にまで達する。「投資―生産性向上―価格低下―需要拡大」が投資をよぶ。表5は石油化学工業の設備投資の伸びを示す。ピークの1970年では、1956年の30倍に達する。いずれにしても、革命に相応しい凄まじい数字だ。

技術革新は技術革命であり、その波及はエネルギー革命、流通革命、通信革命に及ぶ。その意味でこれらが相互に関連しながら、社会構造の変化とも結びついた姿を総称して“偶発革命”と呼ぶのも当を得ている。
 『偶発革命としての高度経済成長140605』

そのメカニズムは図9に示される(吉川前掲書)。


朝鮮戦争による特需がきっかけであった。先に示した投資が投資を呼ぶ循環により、製品コストの低下と労働所得の上昇が得られ、耐久消費財が出回り、それが更に設備投資へ回り、循環の輪の中へ入り込んでいく。また、その循環の輪の中に農村から都市への人口移動が入るようになる。

では、「所得倍増計画」は、どのような作用をもたらしたのか。
「「計画」によって高度成長が生み出されたわけでは決してない。しかし、政策運営に携わる政治家、官僚が日本経済のメカニズムが持つ潜在成長力を10%と見極めていたことの意義は大きい」「左翼のオピニオンリーダーたちは、1960年代に入ってもマルクス主義の教条にとらわれてきた」。ここまで書いて、吉川は自信に満ちていたであろう金森久雄を思い浮かべただろうか。

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