散歩から探検へ~個人・住民・市民

副題を「政治を動かすもの」から「個人・住民・市民」へと変更、地域住民/世界市民として複眼的思考で政治的事象を捉える。

株高による貯蓄増は富裕層に大きく傾く~一年後のアベノミクス

2014年05月21日 | 経済
家計の貯蓄・負債に関する統計データが統計局のメルマガで5/16に送られてきたのは。早速、見たのだが、二人以上の世帯で、

 平均貯蓄額は、1739万円、前年比81万円、4.9%の増加。
 内訳の中で有価証券は、240万円、前年比47万円、24.4%の増加。
 因みに負債は、499万円、前年比、30万円、6.4%の増加。

良いニュースではあるが、人それぞれでもあり、これをどうやって捌くのか、迷っていた。当然、分布は貯蓄の多いほど世帯数は減るわけであり、貧富の差の指標でもあるからだ。また、副題に掲げたように、株高・貯蓄増の反映がどの程度まで低所得層に反映しているのか、関心を持っていたからだ。
 約2/3の世帯が1739万円を下回り、中央値は1023万円も下がる。

更に、「株と無縁の住民の眼」との副題を付けて、異次元金融緩和を論じたときに、「円安・株高を補記出したとはいえ、輸出企業の従業員でもなく、株の持ち合わせのない一般住民にとって将に単なる空砲だ」と述べてもいた。
 『黒田バズーカ砲は華麗なる空砲か(1)130424』

同じ発想で答えているのが『ニュースの教科書』だ。
「日本では株式の多くは富裕層が保有している。
 年収3000万円以上の世帯の有価証券の比率は19%
 100万円以下の世帯では2.9%
 中間層も変わらず600万~800万円の世帯でも4.8%程度
 結果的にアベノミクスの恩恵を受けたのは富裕層のみという状況」

続いて、資産の高齢者への偏りの問題に移る。高齢無職世帯では、
 平均貯蓄額2363万円、前年比217万円、10.1%の増加。
 内訳の中で、有価証券420万円、前年比116万円、38.2%の増加。
一方、勤労者世帯では、
 平均貯蓄額1244万円、前年比11万円、0.9%の増加。

明らかながら、リタイヤ組の高齢者層が貯蓄額を上げている。
元に戻って、2010年において日本の全世帯5万2千世帯、単独1万7千世帯、二人以上世帯3万5千世帯、従って、二人以上世帯での貯蓄総額は6千3百兆円になる。
日本の世帯数の将来推計(2013年推計)-国立社会保障・人口問題研究所)

実際、4千万円以上の貯蓄を保有する世帯数とその額は、以下の様だ。
 世帯数 1万7千世帯の約1割、千7百世帯
 総貯蓄額 6千3百兆円の約4割、2千5百兆円

では、上記の巨大な貯蓄を社会保障政策に活用するための政策を打つ手立ては何があるのか?先ずは同世代における扶助の問題が出てくる。理由は、若い世代に過度の負担をかけないためである。この場合、生活保護、介護保険、医療費に始まって、年金問題にまで行き着くはずだ。

これは、現状の体系から見ると、若い世代に対する間接的な支援になるはずだ。しかし、現在のグローバル経済を支える自由主義的「利益の経済学」では対応できない課題になる。おそらく、ケネス・ボールディングらが40年以上も前に提案した“贈与の経済学”の考え方が必須になるだろう。

ここまで考えると、結局、アベノミクスから始まる安倍政権は、何かをやっているようで、何もやっていない、と考えざるを得ない。そんなことはあるのだろうか?しかし、最近の話題は安全保障政策だけなのだ。





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