散歩から探検へ~個人・住民・市民

副題を「政治を動かすもの」から「個人・住民・市民」へと変更、地域住民/世界市民として複眼的思考で政治的事象を捉える。

原発に対する見方の世代間差~若い世代は冷静か

2014年11月10日 | 現代社会
NHKの調査で、川内原発再稼働の世代間の差があることが判明した。
確かに若い世代の賛成が多い。但し、40代を除いて、単なる「賛成」はほぼ拮抗していて、目の子勘定で約20%だ。逆に単なる「反対」のほうが世代間の差が鮮やかに出ている。これらに「どちらかと言えば」を合わせて、総合的に判断すると、グラフに書かれているように、再稼働に対して、若い世代で賛成が多い。


これまで、稼働してきて、特に不都合はなく、その見返りもあったのだろうから、福嶋原発の事故にも係わらず、稼働するのが普通のはずだ。特に60,70代はこれまで原発の恩恵にあずかり、安い電気料金を満喫してきた。若い世代からその恩恵を剥奪し、自らは残り少ない人生を安心して暮らそうというのも身勝手と云えないわけでもない。若い方のそのような意見は聴く処だ。

NHKによれば、若い世代で再稼働に賛成の割合が多くなる傾向はほかの地域でも見られ、20-30代での「賛成」「どちらかといえば賛成」の割合は、
地元・薩摩川内市75%、
周辺地域・いちき串木野市、出水市54%、
福岡市44%、
全国40%、
いずれもほかの世代と比べて割合が高く出た。

科学技術と社会の関係を研究する阪大・小林傳司教授は、
「経済を支える世代は、再稼働は大きな要素で、きれい事は言えない。事故の可能性と経済とのバランスを考え、危険を覚悟で選んだと思う。ただ、どちらが合理的は簡単には決められない」とする。

このコメントはおかしい、というよりもつまらないのだ。
何の役にも立たない言葉とはこのことだ。原発に限らず、自然災害、事故の可能性は何にでも存在し、そのことは誰でも知っている。しかし、普段の生活において、危険を覚悟している人間は少ないだろう。

飛行機に搭乗し、離着陸の際に「大丈夫かな」と思う人は乗る機会の少ない人たちが多く、乗り慣れた人たちは何も考えないようだ。でも、事故にあう確率は後者のほうが高い。

原発事故での問題は、発ガンの確率が高くなることだが、それなら、タバコによる発ガンの確率との比較を考えるはずだ。しかし、おそらく問題はそれではなく、汚染による被害で住居移転による生活環境の激変を恐れるのが、現実的な心配のように思える。

そうだとすると、老人が生活環境の変化を恐れ、若者は恐れが少なく、どうにでもなるとの感覚が働くと考えられる。筆者は、この生活環境の変化に対する恐れの程度が、原発再稼働の賛否の年代差に反映されていると考える。

当然のこと、比較できないことではなく、判断の問題になる。その場合、現状の生活に原発を最大限利用するとの若い世代の判断は、比較的冷静な判断なのだ。

結局、平均余命の短い年寄り世代は、多少のコスト高はあっても現状の安心感を欲する。しかし、年寄り世代が原発を止めて、電気をコスト高にしたツケは、若い世代が負担することになる。それを避けようとする若い世代は存外、計算高いのかも知れない。

     


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