一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

『未来思考 10年先を読む「統計力」』

2010-05-06 | 乱読日記

統計をもとに未来を予測しようという本。

著者があとがきで

未来を予測するなら、大胆な独自予想をするか、比較的手堅いことを積み上げていくしかありません。
私は後者を選びました。手堅い予測だけでも、日本が直面している問題の大きさを実感するには十分だと思ったからです。

と書いているように、マスコミでよく取り上げられている少子高齢化、格差問題を中心に「地味でもできるだけ精度の高い予測を積み上げて」います。
具体的には人口統計を中心に経済学的・社会学的な補足をしています。
特に人口は人は毎年1歳ずつ年をとるし、出生率も死亡率も急な変動はしないので比較的精度の高い予測が可能なので、説得力があちります。(その意味では現在の少子高齢化も相当前から予測はできていたはずなんですが。)

著者は、一般に少子化が原因とされている問題が実は少子化自身が直接の原因ではないこと、逆に少子化が解決すれば諸問題が解決されるわけではない、逆に子供を生みさえすればすべてが解決されるわけではないことをさまざまな統計データや研究成果をもとに解き明かしています。


私たちは、まるで初めから問題が決まっているような気分になってますが、ここでちょっと立ち止まって、「この問題は、本当に問題なのか」ということを疑ってみてもいいのでは、と思います。
問題を考えるときの最大の罠は、問題にすべきでないことを問題にしてしまうこと、そして、問題にすべきことを問題にしないことにあるのです。

この点は仕事でも大事ですよね。
交渉事でも相手がなぜか本質的でない部分にこだわっているときは、そこについてこちらもこだわっているふりをして最後に譲歩することで肝心な部分を通すなどという小手先技がありますが、自分がそれに陥らないようにするのは結構難しかったりします。


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