一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

証人尋問2/2 (模擬裁判体験記11)

2007-12-03 | 裁判員制度

引き続き同じ寮に住見込んでいて、事件当日現場に駆けつけた加東大介氏の証人尋問です。

これも検察側から供述調書が朗読され、そのあとあと尋がされますが、あわせてそれぞれの項目の見出しのようなレジュメが配られます。

まずは供述調書

・被告人は仕事はよくするしときどき豆腐などを差し入れてもらっているが酒を飲むと陰気になる性格。一方で被害者の志村さんは大雑把な性格だと思う。
・当日夕方も被告人が豆腐を差し入れてくれ、そのあと空き缶を集めているホームレスにあげるんだ、と出かけていった。そのときは素面に見えた。
・夜になり志村さんは上機嫌で帰ってきた。木村が帰ってくるとまもなく志村の部屋に行ったようで「外に出ろ」「テレビを見ている」「今でなければだめだ」などという声が聞こえた。
(その後現場の目撃については弁護側不同意のため朗読せず)
・かけつけると志村さんが出血していた。志村さんの手にはタオルを巻いた包丁が握られていた。被告人は道路の真ん中をうろうろしていた。

そして、不同意の部分を中心に証人尋問

・志村さんが加東さんの部屋に来て「木村(=被告人)に呼び出された。怒っているみたいだ。けんかになるかもしれないので止めに入ってくれ」といやそうだった。
・部屋の窓から外を見ると、高架下に被告人が立っていた。志村さんは「何かあったら頼む」といって部屋を出て行った。
・2,3分部屋で横になっていたが、心配になって寮の外に出た。そこですぐに「木村、何をするんだ、加東さん助けてくれ」という志村さんの叫び声が聞こえたので走っていった。
・現場(寮を出てから約30m)に着くと、被告人が志村さんの胸倉をつかみ、包丁を向けていた。志村さんのTシャツは真っ赤で、腹を押さえていた。

ここの部分は、やはり検察官の若い人を相手に位置関係や姿勢などを実演して再現します。
でも、正直いってあまりリアリティはなかったです。

・被告人に「何をしたんだ」と言うと「木村を刺した」と言ったので「包丁をよこせ」というと「加東さん、止めないでくれ、志村を殺す。俺はどうなってもかまわない」と言った。


ここでまた、裁判官・裁判員からの質問。
僕だけでなく他の裁判員も同じような疑問を持っていたらしく、今回はたくさん出ました。

・ケンカになりそうと思ったのに何で2,3分部屋にいたのか。またどうして外に出てみようと思ったのか。

ふと心配になったから。

・志村さんが部屋に来たときに被告人の場所を窓から見ていたのに、寮を出るときは窓から居場所を確かめずにいきなり寮の外へ出たのか。

そのとおり。

・寮を出たところでいきなり叫び声を聞いたと言うが、そのとき現場の方向では何が起きていたか。

現場の方は見なかった。駆けつける途中でも現場の方は見ていない。

・つかみ合っていたときに被告人の右手の包丁は見えたのに、同じ側にあったはずの志村さんの持っていた包丁には気がつかなかったのか。

そうだ。


実は後で聞いたところでは加東証言については弁護側も検察側も「木村を殺す」という発言以外は争点がないと思っていたらしく、そのため加東証人役も事前の準備をそれほど念入りにしていなかったそうです。
そこに予想外にいろいろ突っ込まれたので、なにしろ実際には経験してないことでもあり、証言に説得力がなくなってしまった感じがあります。

逆に裁判員の間では加東証言の信憑性を疑問視する意見も出ることになります。


つぎに弁護側の反対尋問
これもレジュメが配られます。これは質問内容が詳しく書いてあります。
全般的に弁護側の資料のほうが長めです。


・現場に駆けつけるまでの間に被告人が志村さんを包丁で刺したのを実際に見ましたか。

いいえ。

・現場に駆けつけてから被告人から包丁を取るまでの間に、被告人は志村さんを刺そうとしましたか。

いいえ。

・被告人は包丁を取られるときに抵抗しましたか。

いいえ。

・志村さんが以前傷害事件を起こしたことを知っていますか。

いいえ

ここについては、検察側から異議が出ました。裁判長から質問の趣旨を聞かれて弁護側は「証言の信憑性を」と(私には)よくわからない理由(なぜ加東証言の信憑性に影響があるのでしょう?)を言い、裁判長はこの質問1回だけ、と釘を刺されました。

・志村さんの包丁を見て、「おまえもこれで刺すつもりだったのか」と聞いたとき、無言で否定はしませんでしたね。

はい。


弁護側の反対尋問はちょっとストーリーを作りすぎ、という感じがしました。特に事前に手元資料を読むとその印象が強くなります。

そうはいいながら、どうも加東証言には不自然な印象を持ちました。


(つづく)

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