古代日本史への情熱

記・紀・源氏は魏志倭人伝の奇跡的で運命的な間違い方(逆)の構造どおりに記述されている。倭人伝にあるのは現代史と未来史

『隋書』の「阿蘇」は「アスカ」であることの発音的根拠

2009年07月20日 12時34分04秒 | Weblog
 『隋書倭国伝』にでてくる「阿蘇山」は「あすか山」のことです。
 アスカと日本人が発音したものの「カ」が中国人には聞き取れず、「アス」=阿蘇と表記しました。
(大体、中国の使者がなんで九州の阿蘇山くんだりまで行かなければならないのでしょうか)
 また『魏志倭人伝』の「都市牛利」(ツシギリ)とは「筑紫のニギ」と考えます。「都市」は「ツクシ・筑紫」のことで「ク」が抜けたものでしょう。

寄り道『隋書倭国伝』の阿蘇山について①
http://blog.goo.ne.jp/go-hot-ai2395/e/b939b096d48697db7675fdf5f603b842

寄り道『隋書倭国伝』の阿蘇山について②
http://blog.goo.ne.jp/go-hot-ai2395/e/fb6adf7e933b63efc97d2af1c3b8a532

 以前そのように書きましたが、本当に日本人のこの「カ」や「ク」の発音が中国人には聞こえなかったのでしょうか。
 独りよがりの勝手な思い込みだと思われたかもしれません。
 しかし、今回読みました論文(最後に部分的に引用させていただいています)から、その現象は起きたはずだと確信しました。

 要約しますと、「中国人にとって難しい日本語の発音」のなかに「有声破裂音と無声破裂音の区別」があります。「中国語の破裂音には、有声・無声の音素的対立がなく、有気・無気の対立があり、日本語には有声・無声の対立があって、有気と無気の対立がないことによるものと思われる」
 困難点は「清音と濁音の区別」にあるというよりも、「有声破裂音〔b,d,g〕などと無声破裂音〔p,t,k〕などの区別」なのです。
 また、日本語では、時として母音の無声化(「あした〔ashita〕」「がくせい〔gakusei〕」のように「〔shi〕」「〔ku〕」の母音を、口構えだけ残して、声帯を振動させず、息だけで発音する現象である。)が起こりますが、これは中国語にはない現象で中国人が聞き取るのに大きな障害となっています。

 詳細はネットで読んでいただくとして、「アスカ」について考えてみます。
 この「アスカ」の「カ」の無声破裂音の母音の無声化が起きたのです。
 (合っているかしら?)
 「カ」だけで発音すれば、「カッ」というように息も大きくでます。
 しかし、「アスカ」と続けると、「カ」は口の中にこもります。
 特に、「ス」の後ですと「ス」が息を吐き出さないと発音できないようなので、「カ」は息が留まるような感じになります。
 もちろん、「アスカ」の「カ」を有声破裂音のように発音できないこともありませんが、日本語としては不自然です。
 同様に「都市牛利」の「都市(ツシ)」は「ツクシ=筑紫」のことで「ク」が中国人には聞こえなかったのです。

 さて、中国人のこの「カ行」の聞き取りの欠落は日本人にとって印象的だったようです。

 何度も書いていますが、神武東征において神武軍が浪速の《白肩津=しらかたのつ》に停泊し、とあるのは「は(く)かたのつ」のことで「博多」のことです。
 そうやって九州と大阪の地名を入れ変えています。
 その他、名張(なばり)=中原(なかばる)
 岡水門(おかのみなと)=男水門(おのみなと)などもありました。
 (まだあったと思いますが、忘れました)

 中国人が「カ行」を欠落させたために、日本人は「故意に」カ行を部分的に加えているところがあります。
(ですが、本当はカ行ということではなく、無声破裂音とその母音の無声化を聞くことができないということでした)

 ということを前提として、次回はもっと信じてもらえないであろうことを書きます。


(このプレビューをクリックすると見ることができました。以下は保護されている文章のために部分的にはコピーできないので、一々自分で移したために間違って移しているところがあるかもしれません。)
(国立情報研究所CiNii本文PDFをクリックしても見れました。7/21追記)

http://ci.nii.ac.jp/naid/110006608991
日本人にとって難しい中国語の発音と中国人にとって難しい日本語の発音を中心として・(故細井卓教授追悼号)・・・・李 翠霞

この論文の中の二

《二. 中国人にとって難しい日本語の発音
1.有声破裂音と無声破裂音の区別 
中国人の日本語学習者に、「日本語を習いはじめてぶつかった最初の困難点はなんであったか」と尋ねると、十中八九「清音と濁音の区別」という答えが戻ってくる。「わたし」の「た」が「だ」に発音される、「何ですか」の「か」が「が」に聞こえる、「りっぱ」の「ぱ」がどうしても「ば」になってしまう。・・・など、無気音が有声音として受け取られるのである。これは前に述べた有気音と無気音の区別の問題と関連しているものであるが、中国語の破裂音には、有声・無声の音素的対立がなく、有気・無気の対立があり、日本語には有声・無声の対立があって、有気と無気の対立がないことによるものと思われる。ということは、困難点は「清音と濁音の区別」にあるというよりも、
「有声破裂音〔b,d,g〕などと無声破裂音〔p,t,k〕などの区別」に絞ったほうが適当であるとみえる。
日本語の発音では、普通強い有気音は少ない。無声破裂音も静かに柔らかく発音する。勿論、無声破裂音〔p,t,k〕も、強い息を伴って発音されると有気音になる。しかし、日本語では、強い息を伴っても伴わなくても意味の差はない。
この種の問題は、習得した単語が多くなり、ヒヤリングなどの練習を重ねていくにつれ、次第に薄らいでいくとはいえ、これらの音を正確に聞き分け、自動的に発音し分けられるところまでいくには、かなりの時日と実践の過程が必要である。

2.母音の無声化
母音の無声化とは、「あした〔ashita〕」「がくせい〔gakusei〕」のように「〔shi〕」「〔ku〕」の母音を、口構えだけ残して、声帯を振動させず、息だけで発音する現象である。
このような音は中国語にはなく、日本語学習者、ことに初心者の聴収の面での大きな障害となっている。「くすり」が「すり」にしか聞こえなかったり、「ごちそう」が「ごっそう」になったりなどは、だれにでもあった経験のように思える。
共通語の母音の無声化には一般的な法則がある。「(1)キ、ク、シ、ス、チ、ツ、ヒ、フ、ピ、プ、シュなどの拍がカ、サ、タ、ハ、パなどの各行の拍の直前にきたとき。(2)キ、ク、シ、ス、チ、ツ、ヒ、フ、ピ、プ、シュなどの拍が息の切れ目の直前にきて、その拍のアクセントが低いとき。」などがそれであるが、例外もあり、実際の発音では法則通りに無声化は起こらないようである。
そもそも母音の無声化とは、発音をきれいにするために作った法則ではなく、発音をしやすくする自然な成り行きだったように思える。
・・・・・》

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