新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

静寂の夕暮れが過ぎて、リアルト橋が闇に浮かび上がる

2016-06-14 | イタリア・ヴェネツィア

 夕刻、リアルト橋に着いた。風が凪ぐと共に音も止む。

 人々のさんざめき、物売りの声、時折過ぎるヴァポレットのエンジン音。

 すべての音が、カナルグランデの水面に吸い込まれる。

 ほのかに灯る明かりの、懐かしさ。



 運河の向かいにある双子のビルに、明かりがついた。


 そんな静寂を道連れに、リアルトの夕べが闇へと移ろう。


 ゴンドラの舳先が、スローなワルツのリズムに合わせて上下し、


 対岸のパラッツオは、いつしか少女の恥じらいのごとくに、ピンクに染まる。


 今日も、一日が終わる。

 何事もなく、いつものように働き、

 いつものような、快い疲れと共に、今日を終えることの出来る幸せ。


 さあ、帰ろう。

 カナルグランデに浮かび上がるリアルト橋を渡って。



 あとは、バーカリの一杯が待つだけだ。
コメント (4)
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