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■“ロシア派兵”北朝鮮軍幹部とハグ
中国
との親密さが際立った一方で、ある別のゲストが受けた異例の厚遇もありました。
パレード終了後、プーチン大統領
が近付いて行ったのは朝鮮人民軍の高官です。ロシアは、金正恩総書記も式典に招待していましたが、本人は出席せず。
名代として送られたのが、ロシアに派兵された北朝鮮軍の指揮を取ったキム・ヨンボク副総参謀長らでした。
ロシア プーチン大統領 「そちらの兵士の皆さんの幸運を祈ります。ハグしましょうか
朝鮮人民軍 キム・ヨンボク副総参謀長 「高い評価をいただき、ありがとうございます」
欠席した金総書記
も9日、娘を伴って平壌のロシア大使館を訪問し、祝辞を述べています。
■トランプ氏“30日間停戦”要求
国際情勢は今、目まぐるしい速さで動いています。
求められるのは一刻も早い停戦ですが、停戦交渉は現在停滞気味です。
進展がないなら仲介から手を引くと言っていたトランプ大統領は、
改めてこんな提案を双方にしました。
トランプ大統領のSNS(8日) 「アメリカは理想的には30日間の無条件停戦を求めている。停戦が順守されなければ、アメリカとパートナー国はさらなる制裁を科す」
双方に制裁をチラつかせながら呼び掛けた30日の停戦。
実はこの前にゼレンスキー大統領と電話会談をしていて、すでにウクライナ側の了承は取り付けた段階でした。
ウクライナ ゼレンスキー大統領
「ウクライナはこの瞬間から30日間の完全停戦の用意があります。
ただし、ロシアが適切に対応し、停戦に応じる必要があります」
トランプ大統領が表明した30日停戦は、進展を見せないロシアに対しての圧力とも受け取れます。
プーチン大統領が9日の演説でこの停戦案について発言するかが注目されていましたが、言及はありませんでした。
■参加国が増加 プーチン氏狙いは
防衛省防衛研究所の兵頭慎治さんに話を聞きます。
(Q.9日の式典は80周年という節目だったからか参加国が増えた印象です。
どうみましたか)?
兵頭慎治さん :
「戦争が始まってから過去最高の参加国数になりました。
これまでは旧ソ連の友好国に限られていたところがありますが、
今回は主賓の中国・習主席をはじめ、各地域の主要国が首脳級を派遣してきました。
プーチン大統領は、インドのモディ首相の参加も期待していたと思いますが、今、パキスタンとの関係が悪化していることもあって見送られたということです。
これだけ多くの国の首脳を迎えたことで、
ロシアとしては戦争が始まっても国際社会から孤立していないとアピールしながら、
グローバルサウスを中ロ主導で取り込んでいく思惑を示したと思います。
西側主導の国際秩序が揺らぎつつあるという認識のなかで、中ロが国際社会を率いていこうというアピールにもなったと思います」
(Q.プーチン大統領と習近平主席は8日、
首脳会談など延べ7時間も話したとされています。
そして、9日の式典でも話し合う様子がありました。
プーチン大統領が習主席との関係をアピールしている理由は何ですか)?
兵頭慎治さん:
「中ロが緊密化していることを見せつけ、アメリカが嫌がる中ロ接近の動きをアピールしているのではないかと。
本来、ロシアは単独でアメリカと向き合いたいところですが、
アメリカからすると、唯一の競争相手は中国。
トランプ政権もこれからは中国に集中していきたいという発想を持っているので、ロシアが中国に近付くことによって、対アメリカの交渉力を上げていきたいのだと思います。
ロシアの中国重視の姿勢から見えるのは、トランプ大統領との停戦交渉、さらに関係改善は視野に入っていると。
それをプーチン大統領がどこまでやろうとしているかを見極めるうえでも、今回の式典の演説は注目すべき内容でした」
プーチン大統領は去年の対独戦勝式典の演説で「報復主義、歴史の冒涜(ぼうとく)、西側の政策は新たな地域紛争や民族間・地域間紛争の火種になっている。
(西側とは)常に臨戦態勢」と執拗(しつよう)に言及していました。
しかし、今年は“西側への攻撃姿勢”は全くありませんでした。
(Q.去年と今年の演説の違いはどうみればいいですか)?
兵頭慎治さん :
「去年は核使用の示唆も込めて、紛争を西側があおっているという言い方をしていました。
しかし今年は西側批判が全くありませんでした。
プーチン大統領はトランプ大統領との停戦交渉を視野に入れた形で、不必要に刺激する批判を避けたのではないかと思われます」
(Q.そのトランプ大統領は8日、SNSで30日間停戦する提案をしました。
これにウクライナは前向きということですが、プーチン大統領はどうみていると思いますか)?
兵頭慎治さん:
「ボールはロシア側にあります。
30日間の停戦案に、プーチン大統領がこれからどう反応していくかが大きな注目点になります。
今のロシアの継戦能力は少なくとも1年以上あると言われています。
ただ、ロシア経済の先行き不透明感が強まっていて、インフレも高まっていて、ロシア財政の柱である石油価格も低下し始めています。
プーチン大統領は、できればアメリカとの間で有利な交渉を進めることで、経済制裁の緩和などを引き出したいと考えていると思います。
実際にどんな反応を示すのか。
中ロの緊密ぶりを見せつけたうえで、アメリカから歩み寄りをどう引き出すのか。
プーチン大統領も大きな判断を迫られていると思います」
(Q.“大きな判断”をするなかで、ロシアが譲歩する可能性もありますか)?
兵頭慎治さん :
「現時点では強気の交渉姿勢を崩してはいません。
プーチン大統領がこれまでに提示している停戦条件は3つあります。
(1)ウクライナの中立化(NATO加盟断念)、
(2)ウクライナの大統領選の実施、
(3)4州全て承認です。
ロシアは憲法を改正して、占領した4州は自国領と認定していますが、ドネツク州などの完全制圧はできていません。
今のところ、州境までロシア領であると主張していますが、
プーチン大統領が譲歩するとすれば、
現在の実効支配しているラインで、
アメリカにロシア領と認めさせる可能性があります」
Q.影の主役はトランプ大統領になりますか)?
兵頭慎治さん :
「中国もロシアも見ているのはアメリカ、トランプ大統領。
今回の式典は一見、反米で中ロが強く連携しているように見えますが、両国共にアメリカとの距離感をどう調整していくのか、両首脳の腹の探り合いがあったのではないかと。
仮に今後、米ロ関係が改善すると、中ロの反米連携に影響が出てくる可能性もあります。
中ロ関係を大きく棄損しない範囲内で、どこまでトランプ政権に距離を近付けていくのか。難しいかじ取りを迫られていると思います」
テレビ朝日