政府税制調査会の(各省庁からの)23年度税制改正要望は8月末に締め切られましたが、外務省は以下のように「国際開発連帯税」を新設要望しました(注1)。また、今回は「課税方法として『航空券連帯税』を検討」と具体的な税制を挙げています。
昨年の要望は、「航空券連帯税や通貨取引税などどれが適当なのかを検討する」というような主体的でないものでしたが(注2)、今年はそれより一歩踏み出しました。できれば「23年度より導入を図る」と要望していればもっと強いものになっていたと思いますが。
一方、税制調査会の専門家委員会の下に設けられた「国際課税小委員会」もようやく今月から始動します。そのなかで国際連帯税(航空券連帯税や通貨取引税)も議論されることになっています。
このように、おおむね国際連帯税に関する政府関係の舞台は整いつつあります。そこで議論だけに終わらせるのではなく、具体的導入に向けて(政府を)動かしていくには、市民レベルでの盛り上げが絶対的に必要です。そこで9月26日に開催される「“国際連帯税”東京シンポジウム2010」に参加し、国際連帯税実現に向けて大いに盛り上げていきましょう。
(注1)外務省: 平成23年度税制改正(租税特別措置)要望事項
◎制度名: 国際協力を使途とする資金を調達するための税制度の新設
◎税 目: 国際開発連帯税
◎要望の内容:
飢餓や感染症など地球規模課題への対処を始めとするミレニアム開発目標(MDGs)の達成等,世界の開発需要に対応するためには,伝統的ODAのみでは資金量が十分ではないとの認識から、革新的資金調達に対する関心が高まっている。こうした革新的な資金調達のための税制度として,既に航空券連帯税が一部の国で実施されているほか,通貨取引開発税等も検討されている。右を踏まえて,以下のとおり要望する。
1)MDGs 達成等,世界の開発需要に対応するため,納税者の理解と協力を得つつ,国際開発連帯税についての検討を進めた上,必要な税制上の措置を講ずる。
2)その税収の使途として,世界の開発需要への対応を明確に位置づける。
3)課税方法として,「航空券連帯税」(国際線出発便の航空券に対し,一定額を課税)等について検討。
…以下、省略
◆詳細は、http://www.cao.go.jp/zei-cho/youbou/pdf/23y_mofa_k.pdf
(注2)昨年の外務省の税制改正要望
税目: 未定(国際的には航空券連帯税や通貨取引税などの方式が実施或いは検討されているが、我が国としてどのような方式のものを導入するのが適当なのかについては、今後の国内外の動向を踏まえつつ検討。)