炭やきは地球を救う

脱サラして10年。炭やき・木こり・木挽きを生業としています。

微力の結集

2007-01-29 | 環境問題 地球を救う真面目な話

とよた市民活動センターで、とよた環境ネット主催(スローライフセンターの山本さんが司会だった)の「環境座談会」が行われたので行ってきた。

メインは高野先生の持続可能な社会についての講演だった。他の講演者で特定の微生物を川や海に投げ入れて浄化するという話もあったが、私はその話には興味がない。逆に何か得体の知れない恐怖感があった。

相変わらず、高野先生の話は私の心に響く。確実なデータからシミュレーションした結果を、専門的な言葉を極力省いた形で説明してくれる。最近の流行語みたく使われる「持続可能な社会」について、ハッキリと示してくれる高野先生の話には、もの凄く惹かれる。

右肩上がりの時代から、右肩下がりの時代へ移るちょうど変革期にあたる現在、何をすべきか?勇気を持って、止めるべきは何か?地下資源を使わないような、廃棄物を地球に戻さないような、生態系から頂く、再生可能な資源を循環できるシステムとは何か?そして、それを実践するのはいわゆる市民である。市民による自立した地域のデザインをする必要性。地域の問題こそが、資源と成りうる可能性。実際の事例の紹介など・・・

私自身の立場と、やりたい事、やらねばならぬ事、やってはならぬ事、それを漠然と感覚のままに流して来たことが恥ずかしくなるような感じだ。

いろんな意見もあるだろうが、私にとっては未来の夢を実現可能だと、思わせてくれる話だったのである。現場直結の提案や思想を素直に受け入れようと思う。

具体的には、山村の活性化だ。嫌になるほど聞くこの言葉。町の御意見番たちは一様にこれを言う。どれもこれも言うのは簡単だ。実際は難しい。単に懐古主義の人たちが「昔返り」したいだけで言う事もある。実際、今日の座談会でも、「カリスマ」と呼ばれる地元では有力者の爺さんがそんな事を言っていた。

昔からその土地に住んでいる人たちの想いはいつも同じだ。自分の故郷に活気を与えたいのだ。よそよりも良くなる事が目的。よそよりも儲かる事が勝ち。比較対象があっての評価は一番楽な自己満足だと思う。

それは悪い事では無い。だが、排他的で爺臭い考えだと思う。確かに伝統的な文化は守らなければならない。私の立場で言えば、薪炭だ。「火の文化」の継承だ。私の人生を賭けてでもそれを守りたい。だが、それだけでは無い。それだけならば、昔を懐かしむだけの、批判的な爺と変わらない。勝ち負けに拘るのは、もはや愚かな事だと、私は思う。

地球をここまで痛めつけた人類に対する反省と、未来の子孫に対する責任を担う私たちの仕事は、もっと大きな目的に向かうべきだ。特定の地域の活性化、つまり経済効果を自慢しあうような低レベルの目的ではいけないと思う。もちろん、経済が無くては何も成り立たない。きれい事だけでは生きていけない。

それを充分に踏まえた上で、純粋で大きな思想を持てと、高野先生は提唱していると思う。

現実的でないと、批判する人もいるだろう。しかし、それでもいいではないか?夢は願い、行動すれば現実となる。いや、むしろ批判する側の人こそ現実的ではない。本質が見えていないのではないか?

ある参加者の話の中で、「微力の結集こそが、これからの世の中を変えていく唯一の方法」とあった。

まさしく、そうなのだと思う。有名になる事や、金持ちになる事が目的である人たちとは縁を切って、貧しいが本当の意味で豊かな暮らしを味わうために努力を惜しまない人たちが増えている。そんな微力の結集が地球を救う。

高野先生にそんな事を教わった気分だ。明日からまた矢作。窯の機能部分は完成した。外回りの工事をやっつけなければいけない。煙突部分は私の仕事だったが、明日からは地元の人たちとの協働である。石を積み、回りをキレイにする。単に流木や間伐材を炭化する施設ではない。もっと大きくて深い意義のある窯になるはずだ。

試運転が済み、改良点や問題点を克服する目処がついたら、大々的に公表である。

春には、何らかの形で発表できると思う。それまでは煮え切らない表現でしかお伝え出来ないのがもどかしい。


できた

2007-01-26 | 環境問題 地球を救う真面目な話

流木炭化窯の煙道ができた。真剣勝負の一週間だった。煙道部分は図面など無い。私の頭にあるイメージを立体的に造った。頭痛がする程考えた。銀治先生から夢をもらい、我が師匠斎藤和彦さんから窯造りのノウハウを学び、足助の梶さんから教わった炭やきの極意。まだまだ身についていないが、私なりに頑張った。ここにある二つの窯は、私の作品だ。

構造物としても充分な強度と耐熱性も必要だし、何よりも煙を引かなくてはならない。

煙溜まりも造り、背中は滑らかに、後ろへ少し寝かせる勾配を取りつつ、段々と絞る。最上段で窯の後ろ壁から1m離れたところで立ち上がるように。煙突の外側にはブロックを積み上げ、鉄筋を入れて煙突部分と土圧の縁を切ってある。窯の壁(鉄板部分)は、グラスウールを挟んで土が来るように工夫した。

煙突を囲む形でH鋼を4本基礎から立ち上げ、そこに合計10箇所アングルを溶接でつけた。そのアングルは全て耐火セメントの中に入る。アングルで組んだトラスが鉄筋の代わりに構造を支えるように造った。煙突は主煙突と副煙突で合計三本。それをしっかりと耐火セメントで固めた。使用した耐火セメントは約50袋。

溶接したアングルはきちんと水平レベルとカネと離れ寸法を出してある。そのアングルに耐火煉瓦を組んで煙突内部の形を造り、立ち上げた。アングルを溶接する作業は、大島理事長自らしてくれた。私を信頼してくれていたのだろう。黙々と溶接してくれた。感謝しなければ。この窯できちんと炭を出す事が恩返しだ。

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焚き口はほぼ完成している。来週は回りの石積みと炭材の準備。来月早々に火を入れる。 実際に窯が出来てくると、闘志が湧いてくる。

この窯で焼く流木炭に関する事を最優先でやろうと決めている。他の事までは気持ちが回らない。

それだけ私が集中して挑んでいるという事だ。


今回は

2007-01-23 | 環境問題 地球を救う真面目な話

070111_1918_1 窯が元気だ。前回は窯全体が湿って冷えていた。

今回は、止めてから10日経っていない。窯が乾いて暖まっている。煙の引きがまるで違う。今回は楽だ。贅沢なくらいにたっぷりと樫を立て込んだ。上木も樫だ。職人魂に火が着く。良い材料に恵まれたのだから、キッチリ仕上げる。

それより、今夜は一段と星が瞬いている。 前回と同じ時刻でも明らかに星座の位置が違う。こんな時間に北斗七星が上っている。春の星座がもうすぐ顔を出す。宇宙の神秘だ。

今夜は四つの窯を焚いている。ドラム缶窯はもう着いた。今夜は徹夜になりそうだ。 炭やきの煙に薪が燃える匂い。満天の星空。スロージャズ。 これが好きなんだから仕方ない。我ながらバカだなあと思う。 夜通し、窯に合わせて働く。さて、薪をくべるかどうか、窯に聞いてこよう。


今日も大好きな山

2007-01-22 | 環境問題 地球を救う真面目な話

070122_2128_1 今日から山だ。ドラム缶窯を三つ(竹)に湖畔窯(樫)を一度に焼いている。窯はようやく、落ち着いてきた。

ふと、見上げた宇宙(そら)は星が輝いて綺麗だ。思わず見とれてしまう。かに座のプレセベ星団が肉眼で見える程に綺麗な星空。

ちょうど美味いコーヒーも淹れた。リー・モーガンを聴きながら、じっくりと星を見よう。今夜もたった独り。至極の時間だ。