もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

非正規格差に思う

2020年10月14日 | 社会・政治問題

 最高裁が契約社員やアルバイト等の非正規労働者と正規社員との「一定の賃金格差」は合理的とする判断を示した。

 原告の訴えは、非正規労働者にも正社員と同等のボーナス・退職金を要求するものであったが、判決では「ボーナス等は正規雇用者の定着を図る意味合いが大きい」こと、「業務内容がホボ同等であったとしても、正規雇用者にはそれ以外にも正社員としての業務もあること」、「人事異動の制約があること」を挙げて、一定の格差はやむを得ないとするものである。判断の基準となったのは、平成30年に施行された「働き方改革関連法」による同一労働・同一賃金以前の法律であったが、新法以後の訴訟にも影響することは避けられないと観られている。
 僅か10年の会社勤めであったが、隣の部署に会社からの正社員勧誘を断り続ける美人で有能な契約社員がいた。拝み倒すようにして設けた飲み会の席上で聞き出したところでは「正社員になって意に添わぬ仕事を命じられ・人間関係に苦労するよりは、給料は少なくても仕事を選べる契約社員でいる」とのことであったことを思いだした。バブル期にあっては、バックパッカーや登山家の中には敢て正社員にならずにアルバイトで金を貯めて、失業保険を受給しながら目的を果たすというスタイルを通す人がおり、メディアを始めとする社会全般にも「そのような生き方こそ自由で人間らしいライフスタイル」と賛美する風潮があったが、バブルが弾けた当時でもそのような選択をする人が少なからずいたのだろう。
 今回の最高裁判断に対して「時代に逆行するものだ」との報道が目立つので、正規・非正規を問わず同一労働同一賃金が世界基準であるのかと思ってネット上の記事を眺めたら、在日外国人が「自分の国でボーナスは会社の業績の褒章として社員に支給されるもので、会社に所属しない人に支払われることはない」と書いていた。ボーナスを賃金(生活給)体系の一部とする企業が大半の日本とは考え方も違うのであろうが、今回のコロナ禍に因る業績悪化から冬のボーナスをカットしたり支給しない一流企業も出ていることから、将来的には正社員とボーナスの関係も欧米のような褒章的意味合いに様変わりすることは間違いように思える。一方、同一労働・同一賃金の考えは、定期昇給制度で年功序列的に支給されてい賃金を能率給制度に変更する企業が増えていることから、今後は広く浸透していくのではないかと思っているが、今回の最高裁判断から社用と呼ばれる簿外の労働をどのように判断するのか、経営者や管理者には頭の痛い問題として残り続けるように思える。

 労働の成果判断・雇用形態との替え合い・・・、我々は、将に古き・良き時代に生きたのではないだろうか。 終身雇用制度、定期昇給制度は極端な経済格差を生まない福祉制度であるように思える。今後は能率給によって生み出される経済格差が、教育格差の連鎖を生み、医療格差に波及し、最後には日本人の美徳まで蝕む結果を招くのではと心配しているが。


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