もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

野党共闘と市民連合

2018年11月17日 | 野党

 来年夏の参院選に向けた野党共闘の在り方が問われている。

 前回の衆院選では、当選者1人の選挙区では自民党の候補者に対して野党候補1人を擁立して選挙戦を戦い、野党共闘は一応の成果を挙げたとする意見がある一方で、支持政党の候補者がいないという理由で選挙そのものから棄権する有権者があったことも指摘されている。野党共闘と言えば聞こえがいいが、実態は野党間の主要政策に対する隔たりが余りにも大きく政策協定を結べないために、選挙区ごとに各政党支部が地域の市民連合と個別に政策協定を結んで候補を一本化するという手法を取ったものである。関係の冷え切った熟年夫婦が、直接に対話せずにペットを仲立ちとして間接的に会話すると聞くが、野党共闘の実態は市民連合という仲介者なしには成り立た無かったものである。更には衆院選以後の離合集散劇に見る限り、その行動が市民連合との政策協定に基づいているとする議員はいなかったように思う。今回の参院選でも前回と同じように市民連合を仲介者として、候補者を1本化する手法に落ち着くものと思うので、市民連合について調べてみた。市民連合の正式名は「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」といい、平成27年の12月に学生グループ「SEALDs(シールズ)」を中心に結成されたものであり、主張は①安全保障関連法の廃止、②立憲主義の回復(集団的自衛権行使容認の閣議決定の撤回を含む)、③個人の尊厳を擁護する政治の実現を目指す、ための十全な「野党共闘」を促し、統一候補者の推薦や支援を積極的に行う、とされている。要約すれば、呉越同舟して自民党政権打倒のためになりふり構わずに活動する団体を糾合した連合体が適当であろうと推測する。我々有権者は、改革者に賛同する前提として「具体的に」「何を」「どのように」変革するのかを求める。旧民主党が政権を奪取できたのは「子供手当」の一点であり、郵政選挙で小泉自民党を大勝させたのは当時唯一残っていた郵政公社を解体して郵便事業を民営化し利益を国民に還元するとしたことであった。ビルド&スクラップ(新制度を建設して後に旧制度を破壊する)は国家運営を含めて事業継続の鉄則であり、スクラップは主張するものの、それに代わる新制度のビルドを一向に提示できないことが野党の停滞に繋がっていることを野党はもっと真剣に考える必要があると思う。公党が安全保障関連法の廃止や集団的自衛権の否定を主張するならば、より有効な新制度を提示すべきであり、既に実効性を失っている国連の機能に期待するという時代錯誤の対応策では大方の国民の賛同は得られないと思うところである。

 モリ・カケ然り、桜田・片山大臣然り、相手を貶めて自分を優位に思わせる相対評価の獲得にのみ恃む退嬰的な野党に幻滅するとともに、一切の社会的責任を負わない市民連合との政策協定を以て野党共闘とする姑息な手法ほど有権者を愚弄する政治手法は無いと思うものである。


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