ピピのシネマな日々:吟遊旅人のつれづれ

歌って踊れる図書館司書の映画三昧の日々を綴ります。たまに読書日記も。2007年3月以前の映画日記はHPに掲載。

散歩する惑星

2009年01月12日 | 映画レビュー
 変な映画だという評判なので、どれほど変なのかと覚悟して楽しみにしてみたら、思ったほど変ではない。これならD.リンチの「インランド・エンパイア」のほうがよほど理解に苦しむ。

 なんで「散歩する惑星」かというと、この物語の舞台がどこかの惑星の話ということらしい。しかしそんなこと、説明あったかしら? とにかく、少しずついろんな場面を切断しつつ繋ぎつつ、脈絡がないようで実はなんとなく辻褄が合っていて、いや、そうではなくてやっぱりぶつ切りの蛸を酢味噌であえてみました、ではなくて蛸はやっぱり唐揚げでしょう。という、不条理映画です。ちなみに、蛸は出てきません。

 監督が広告フィルムメーカーということなので、短時間でインパクトのある、四コマ漫画ふうシークエンスを次々つないでいく作風。わたしは昔のテレビ番組「ゲバゲバ90分」を思い出してしまった。今にも「ゲバゲバ、ピーッ!」と聞こえそうで笑えました。

 いちおう、リストラだの、保険金詐欺だの、放火だの、異議申し立てのデモ行進だの、といった社会風刺風の場面があるのだけれど、中年肥満夫婦の不気味なベッドシーンとか、夫が妻のお尻をなで回すとお尻が真っ黒に汚れてしまうという妙なシーンとか、笑えるけれどいったい何を言いたいのかわからない意味不明の場面が延々と続く。面白いのは、人々が無目的にただひたすら同じ方向に車を走らせるために大渋滞が起きるとか、前の列の人を鞭で打ちながら歩むけったいなデモ行進とか、付和雷同の大衆を冷笑するような場面。監督は一応これを社会批判のつもりで作ったのかもしれないが、それを観客に理解させるのはかなり難しそう。

 というわけで、誰にもお奨めしないケッタイな映画。

 ところで、「散歩する霊柩車」っていう映画があるんですね、初めて知りました。(レンタルDVD)

------------------
散歩する惑星
SANGER FRAN ANDRA VANINGEN
スウェーデン/フランス、2000年、上映時間 98分
監督・脚本: ロイ・アンダーソン、製作: フィリップ・ボベール、音楽: ベニー・アンダーソン
出演: ラース・ノルド、シュテファン・ラーソン、ルチオ・ヴチーナ、ハッセ・ソーデルホルム、トルビョーン・ファルトロム

最新の画像もっと見る