ピピのシネマな日々:吟遊旅人のつれづれ

歌って踊れる図書館司書の映画三昧の日々を綴ります。たまに読書日記も。2007年3月以前の映画日記はHPに掲載。

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パコと魔法の絵本

2008年09月27日 | 映画レビュー
 交通事故の後遺症で一日しか記憶がもたない7歳の女の子の話だから、いちおう研究会「記憶の会」のメンバーとしては押さえておかなくてはいけない作品だと思って見たのだけれど、記憶障害の話はほとんど関係なかった。というか、「その人にとってかけがえのない存在とは何か」をこっそりと問いかける切ない映画であった。とはいえ、表層的にはとにかくど派手な画面展開に船酔いしそうな楽しい映画でした。

 中島監督の「嫌われ松子の一生」を未見だから、比べることはできないし、前作のファンとは違うスタンスでこの映画に臨んだわたしとしては、あの、「嫌われ松子の一生」みたいな頭が痛くなるような極彩色画面は期待していなかったのだが…。そもそも、「嫌われ松子の一生」を見ていない理由はそのどたばたぶりに疲れるだろうという予断があり、病気は予防が一番。てなわけで、疲れる画面は遠慮していわけで。ところが、本作は登場人物たちが最後にはCGアニメと化して暴れまくる、目が痛い目が回るワンダーランドであった。こんなにPL花火大会2連発みたいな映画とは思っていなかったよ。でも見終わったら感動していたから不思議。

 物語の舞台は一風変わった病院。ここは医者も看護婦も入院患者もみんなちょっと変。いや、だいぶ変。そこには一代で莫大な財を築いた偏屈老人大貫がいて、心臓発作で入院していたのだが、ふだんは至って元気で「おまえが私の名前を知っているというだけで腹が立つっ」を口癖としている。人に名前を覚えられるのを毛嫌いしているくせに、記憶が一日しか持たないパコの記憶になんとか残りたいと必死になるところが大貫老人のかわいいところ。パコは毎日毎日「今日はわたしの7歳の誕生日なの」と言って、ママからもらった絵本を読んでいる。恐ろしげな大貫老人はそんなパコにいつしか毎日絵本を読み聞かせるようになる。パコは老人のことを何も覚えていないのに、「あれぇ? おじさん、昨日もパコのほっぺに触ったでしょう?!」と、大貫の手の感触をなぜか覚えていて、嬉しそうに言う。大貫の手は、実はパコのほっぺを殴ったのだ。しかし、パコに愛情を寄せるようになった大貫老人は毎日毎日パコの頬に手を当てるようになる。いかつい老人が愛らしい少女の屈託のない笑顔に心を解き放ち安らいでいくというありがちなお話だけれど、これが大人を泣かせるから不思議。

 身体じゅうピアスだらけの厚化粧看護婦を土屋アンナがドスを利かせて怪演。元人気子役いま落ちぶれた役者を演じた妻夫木くんも相変わらず情けなくていい。しょっちゅう自殺未遂を繰り返しては入退院。この二人のからみも最後は泣いてしまいましたよ。みんな辛い思いをして生きているんだよ、だからこそ頑張ろうよという実直でまっとうなメッセージに思わず涙。

 そして国村準の「オカマ」にも度肝を抜かれたし、最後の劇中劇は勢いで突っ走って「もうどこへでも連れて行って!」と叫びたくなるような総天然色(ていうか、作り過ぎの色)大爆発の世界。これまた堪能しました。

 劇場内あちこちから子どもたちの笑い声が上がっていた、子どもが笑い親が泣く映画。

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パコと魔法の絵本
日本、2008年、上映時間 105分
監督: 中島哲也、製作: 橋荘一郎ほか、原作: 後藤ひろひと(舞台『ミッドサマーキャロル』)、脚本: 中島哲也、門間宣裕、音楽: ガブリエル・ロベルト
出演: 役所広司、アヤカ・ウィルソン、妻夫木聡、土屋アンナ、阿部サダヲ、加瀬亮、小池栄子、劇団ひとり、山内圭哉、國村隼、上川隆也
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