指輪を!と言われて面食らったのが去年の忘年会だった。
人に頼まれて彫金仕事をするのは、もう何年ぶりだろうか・・・
忘年会のお酒も満足に喉を通らなかった。言われてしまえば、どうしようか?
どんなの作ったら喜ばれるだろうかとそのことで頭が一杯だった。
今年になってようやく、こんなのはどうだろうと思って試作を始めた。
テライの無い、ストレートなものを作りたい。お施主様はそんな性格の方だから。
魚と言ってもアマゴは特徴が多い。指輪にするなら、アマゴの体も曲がっていないと
おかしい。
で、指輪用のワックスから削りだすことにした。但し、大きさの違うリングを二つと
いうご指定なので、リングごと削り出すわけにはいかない。
リングの部分はそれぞれの大きさのものを作って、それにキャストで作ったアマゴを
ロウ付けすることに方針決定。
ワックスを削りだすのは彫刻刀や、歯医者さんの技工士が使うスパチュラという小型のナイフみたいなのでやる。
だいぶ形になってきた。ここまでに3日くらいは掛かったか。というのも連続して仕事をすると仕事が雑になるので、大抵は一日に2~3時間でやめるから。
ま、この辺でと思われるところで、切り離した。
細かいところは、なるべく綺麗にしておくと、後の研磨が楽になり、形崩れが少なくなるので、紙やすりや、ティッシュ・ペーパーをヤスリ代わりに使って滑らかにする。
これをキャスト屋さんに出して、同じアマゴを5尾鋳込んで貰った。
さぁ、これからが得意の銀細工となる。とりあえず、鋳造時に銀が流れ込む湯道の跡をヤスリで落とす。
次いで、同じく鋳造時に出来る型の跡も綺麗に滑らかにリューターなどで削る。
ワックスで作ったアマゴと銀になったアマゴでは、また、見え方が違うので、納得いく形に削っていく。
このため、同じワックスで作ったものでも、最終的な出来上がりは相当変わってくる。
次に、アマゴの特徴である朱点の象嵌をする。ヤマメなら赤い点は無いから、黒い点だけでいい。
赤い点を表現するのは銅で、銅線を打ち込んで研磨する。
同じように、黒点を表現するには、赤銅が必要だ。赤銅とは銅に純金を3~5%混ぜて作る合金だ。これも友人に作ってもらった。
合金を作るには、どうしても酸素バーナーがいるのだが、うちには酸素ボンベを置く場所がない。仲良くしてもらってる爺Bさんにお願いして作って頂いた。ここの赤銅は純金5%含有の最高級赤銅だ。
これも適当に打ち込む。
ここまで来れば先の作業は大体見えている。
鮭マス族固有の幼魚紋、つまりパーマークスのあしらいをする。
これには、布目象嵌で使う小さな鏨で楕円形のパーマークの内側に布目を切っておく。
後から、ここへ金を乗せるのも良いし、銀古美液でいぶすのも良い。
胸鰭と尾鰭は純金蒸着で行こう!
そのためには純金が付いてはいけないところをシッカリと墨で防がないといけない。
ダラシなく金が流れるのを防ぐためだ。胸鰭の近傍を墨でガードする。
奈良の大仏に金を蒸着させた時と全く同じ方法で純金をヒレに蒸着させてから、本体を煮込む。純金蒸着には水銀に溶かした純金を梅酢をつけて必要な部分に塗布して、バーナーで熱して水銀を蒸発させると金だけが残るという、いわゆる金消しです。
水銀が蒸気になって立ち上るので、家の外に出て、風向きを見て風上からバーナーで炙ります。吸い込むとイタイイタイ病になるんだ。
また、煮込むと言っても、芋を似るのとはちょっと違う。
煮込む理由は、銅線と赤銅線を打ち込んだ赤い点と黒い点に明確な色をつけるためだ。
表面を重曹で磨いて油成分を取り除き、さらに木炭で研ぎ上げる。表面の傷を消すために木炭を粉にしたものをブラシにつけて表面を滑らかにする。
これに大根おろしをつけて表面を荒してから、緑青液で煮込む。純金含有量の多い赤銅は煮込みに時間がかかる。銅は高い温度で煮込む。
かくして、胸鰭と尾鰭が金色になり、斑点は赤と黒に染まった。
今回はあまりど派手なアマゴになるといけないと思い、パーマークスの部分は銀古美液(塩化金)でいぶしてみた。
最終的にはこんなリングになりました。
内側には一応、silverの刻印を打ちます。
ここまでに結構な時間を食いましたが、ブログを書く方がなんだか疲れました。終わりまで読んで頂いてありがとうございました。
以上!!
人に頼まれて彫金仕事をするのは、もう何年ぶりだろうか・・・
忘年会のお酒も満足に喉を通らなかった。言われてしまえば、どうしようか?
どんなの作ったら喜ばれるだろうかとそのことで頭が一杯だった。
今年になってようやく、こんなのはどうだろうと思って試作を始めた。
テライの無い、ストレートなものを作りたい。お施主様はそんな性格の方だから。
魚と言ってもアマゴは特徴が多い。指輪にするなら、アマゴの体も曲がっていないと
おかしい。
で、指輪用のワックスから削りだすことにした。但し、大きさの違うリングを二つと
いうご指定なので、リングごと削り出すわけにはいかない。
リングの部分はそれぞれの大きさのものを作って、それにキャストで作ったアマゴを
ロウ付けすることに方針決定。
ワックスを削りだすのは彫刻刀や、歯医者さんの技工士が使うスパチュラという小型のナイフみたいなのでやる。
だいぶ形になってきた。ここまでに3日くらいは掛かったか。というのも連続して仕事をすると仕事が雑になるので、大抵は一日に2~3時間でやめるから。
ま、この辺でと思われるところで、切り離した。
細かいところは、なるべく綺麗にしておくと、後の研磨が楽になり、形崩れが少なくなるので、紙やすりや、ティッシュ・ペーパーをヤスリ代わりに使って滑らかにする。
これをキャスト屋さんに出して、同じアマゴを5尾鋳込んで貰った。
さぁ、これからが得意の銀細工となる。とりあえず、鋳造時に銀が流れ込む湯道の跡をヤスリで落とす。
次いで、同じく鋳造時に出来る型の跡も綺麗に滑らかにリューターなどで削る。
ワックスで作ったアマゴと銀になったアマゴでは、また、見え方が違うので、納得いく形に削っていく。
このため、同じワックスで作ったものでも、最終的な出来上がりは相当変わってくる。
次に、アマゴの特徴である朱点の象嵌をする。ヤマメなら赤い点は無いから、黒い点だけでいい。
赤い点を表現するのは銅で、銅線を打ち込んで研磨する。
同じように、黒点を表現するには、赤銅が必要だ。赤銅とは銅に純金を3~5%混ぜて作る合金だ。これも友人に作ってもらった。
合金を作るには、どうしても酸素バーナーがいるのだが、うちには酸素ボンベを置く場所がない。仲良くしてもらってる爺Bさんにお願いして作って頂いた。ここの赤銅は純金5%含有の最高級赤銅だ。
これも適当に打ち込む。
ここまで来れば先の作業は大体見えている。
鮭マス族固有の幼魚紋、つまりパーマークスのあしらいをする。
これには、布目象嵌で使う小さな鏨で楕円形のパーマークの内側に布目を切っておく。
後から、ここへ金を乗せるのも良いし、銀古美液でいぶすのも良い。
胸鰭と尾鰭は純金蒸着で行こう!
そのためには純金が付いてはいけないところをシッカリと墨で防がないといけない。
ダラシなく金が流れるのを防ぐためだ。胸鰭の近傍を墨でガードする。
奈良の大仏に金を蒸着させた時と全く同じ方法で純金をヒレに蒸着させてから、本体を煮込む。純金蒸着には水銀に溶かした純金を梅酢をつけて必要な部分に塗布して、バーナーで熱して水銀を蒸発させると金だけが残るという、いわゆる金消しです。
水銀が蒸気になって立ち上るので、家の外に出て、風向きを見て風上からバーナーで炙ります。吸い込むとイタイイタイ病になるんだ。
また、煮込むと言っても、芋を似るのとはちょっと違う。
煮込む理由は、銅線と赤銅線を打ち込んだ赤い点と黒い点に明確な色をつけるためだ。
表面を重曹で磨いて油成分を取り除き、さらに木炭で研ぎ上げる。表面の傷を消すために木炭を粉にしたものをブラシにつけて表面を滑らかにする。
これに大根おろしをつけて表面を荒してから、緑青液で煮込む。純金含有量の多い赤銅は煮込みに時間がかかる。銅は高い温度で煮込む。
かくして、胸鰭と尾鰭が金色になり、斑点は赤と黒に染まった。
今回はあまりど派手なアマゴになるといけないと思い、パーマークスの部分は銀古美液(塩化金)でいぶしてみた。
最終的にはこんなリングになりました。
内側には一応、silverの刻印を打ちます。
ここまでに結構な時間を食いましたが、ブログを書く方がなんだか疲れました。終わりまで読んで頂いてありがとうございました。
以上!!
はは~。
コイツは試作品です。よって、手元に残します。
いいとこを再評価して、わるいとこ改めます。
プリウスにならないよう、テストの繰り返しを
行います。
製作過程、拝見させて頂きました!
凄いです・・とても心のこもった
素敵なリングが出来ますね^^
アマゴが生きている様で言葉が出ません・・
気に入らないところが沢山出てきました。
これから、それを修正ですが、今、花のお江戸です。
自分の寝床に帰ってから直しますのでご勘弁を!!
昨年の11月から州子にかなり迷惑をかけ
周りの方々にも心配をかけて来ましたが
昨夜、悟りを開き 本日めでたく家に帰って来ました!! ginjiroさんにも心配させてしまいましたが、春の農作業までには何とか仕事ができるように頑張りたいと思います!!
これでもう修行に帰らなくていいのかと思うと、嬉しくて嬉しくて!!いろいろとありがとうございました!!!!!
でも、荒行には違いなく、こりゃぁ、もうオイラが追いつけない境地に達しましたね!!
おめでとうございます。
コマクサの花開く!!って感じですね。
富山の友人は雪というと厭な思い出しかないと言って嘆きます。
体力充実されたらいつでもおいで下さい。
四国の渓でもご案内します。
オイラもおかげさまで、好きな渓が幾つか出来ましたので。