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大飯原発ストレステスト審査をめぐる各紙の『社説』読んでみると・・・大手全国紙はやっぱりおかしい!

2012-01-27 17:47:34 | 新聞
 強引な原発再稼働に向けてゼンインアホの保安院が、ストレステストに『妥当』の審査結果を出したことに、新聞各紙の社説は疑問・違和感を表明し、その拙速ぶりと「結論ありき」の作為性を批判している。私たちが感じ・考えたことを代弁してくれている、という点で、これらの新聞は市民の側に立っている。といっても、これは地方紙レベルのこと。大手全国紙となると、この点ではだいぶ話がかわる・・・
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 地方紙各紙の社説東京=中日・愛媛琉球新報京都河北新報神戸中国)の論点は共通している。東電福一事故原因が調査中であるのに、はっきりしない基準で、原発事故の責任者である電力会社と保安院がマフィアのなれあいで、傍聴者を排除した不透明な審査をした。そんな結果に、地元をはじめ国民が納得できるわけはないだろう!というのである。以下、論点ごとに、各紙の言い回しを拾ってみた。

A.東電福一事故の原因究明がなされていない
・第一、福島第一原発の事故原因が究明されない段階で、原発の安全性を正しく評価できるわけがない。(東京)
・事故の詳細な原因が未解明なままの拙速な判断 (愛媛)
・そもそも原発事故の詳細な原因はまだ調査中だ。(京都)
・福島第1原発事故についての政府などの最終報告書が出るのを待つべき(河北)
・事故の状況や原因が完全に究明されていない段階で「妥当」とされても、国民の多くは納得できない(神戸)
・小手先で再稼働を模索するよりも、徹底した事故原因の究明が先決だ。(中国)

B.明確な審査基準なし
・報告書を審査する経済産業省原子力安全・保安院は、福島第一原発事故を通じて、チェック機能の弱さをさらけ出し、間もなく原子力安全庁に吸収される機関である。独自の審査基準を示し、評価を下したわけでもない。(東京)
・しかし、どの程度の余裕があれば「安全」なのかという肝心な基準を、国は示していない。(琉球)
・どこまで余裕があればよいという判断基準はない。(河北)
・津波の想定だけを見ても、信頼性には大きな疑問(河北)
・評価の前提となる想定自体が東日本大震災以前のもの(神戸)
・再稼働の判断にどうつながるかの基準も不明確(中国)

C.犯人が裁判官になっている
・試験の問題を受験者自身が作成し、自己採点して合否を決めるようなもの(東京)
・安全判定が“自作自演” (琉球)
・電力事業者が自ら行った採点を、国民から不信任の烙印(らくいん)を押されて2カ月後に解体される組織が審査した結果である。安全性の担保になるだろうか。根本的に疑問を感じる。(京都)
・審査機関が、原発事故で信頼が失墜した保安院と原子力安全委員会であることに違和感(京都)
・しかも電力会社が分析し、「やらせメール」などで中立性が疑われる保安院が評価するのでは、信頼性に大いに疑問が残る。(神戸)
・事実上解体される保安院が、原発の再稼働に向けた「お墨付き」を準備する現状も、すっきりしない。(中国)

D.「とにかく再稼働」にむけたヤラセ出来レース審査
・国民の安全よりも電力会社の負担増に配慮して、再稼働の実績づくりを急いでいるようにしか思えない(東京)
・4月末までには全基が停止する見込みだ。事故を受けた必然の結果・・・それだけに、・・・保安院が、再稼働を急ぎたい電力会社の意向を受けたかのような判断を下すことには、強い違和感がある。「再稼働ありき」の批判も当然・・・そもそも、当事者である電力会社が、自らの事業を「評価」するシステム自体、お手盛りの感がぬぐえない。(愛媛)
・停止中の原発の再稼働を急いでいるようにみえる。こうした体質で厳格な判定が可能なのか疑問だ。・・・原発を推進する立場の経産省の中に、安全規制を行う原子力安全・保安院が置かれている。なれ合いの象徴(琉球)
・稼働中の原発は4月にはゼロになる可能性がある。再稼働を急いだとみられても仕方あるまい(京都)
・保安院が、安全性を軽視し、再稼働への条件整備を急いだ・・・「結論ありき」「見切り発車」など批判の声が次々と上がったのは当然だ。あまりに拙速なのは、誰の目にも明らかと言えよう。(河北)
・「再稼働ありき」という印象がぬぐえない。(神戸)
・ひたすら原発の再稼働を目指す動きに違和感が拭えない(中国)

E.密室性・不透明性
・傍聴を一般には認めなかった。原発に対する疑問や不安に全く答えようともせずに、結果をただ受け入れろ、と言われても、多くの国民が納得できるだろうか。(東京)
・傍聴者を閉め出した。これに抗議した委員2人が欠席(愛媛)
・一般傍聴を認めなかったが、国民の理解を得たいのなら、広く公開する姿勢こそ重要だ(京都)
・保安院が傍聴者を締め出したが、その対応も問題だ。公平性や透明性を高める上で情報公開は不可欠(神戸)

F.地元の反対・不信
・福井県の西川一誠知事は「再稼働の判断材料には不十分」と話している。大方の住民、近隣県も同じ意見に違いない(東京)
・福井県知事はストレステストだけでは不十分との認識だ。ほかの立地自治体の多くも再稼働に慎重な姿勢をみせている(愛媛)
・地元の福井県は「机上のシミュレーションでしかない」と指摘する。(中国)

G.脱原発をすすめよ
・脱原発は世界の流れであり現実的だ。原発頼みをやめて脱原発へ踏み出したとき活路は開かれる。(琉球)
・国の原子力政策が、脱原発依存に逆行しているとの印象を持たざるをえない。今夏に向けて、エネルギー基本計画の見直しが進む。福島第1原発事故は、日本に大きな転換を求めた。「脱原発依存」の基本を忘れてはならない。(京都)

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 さて、お待ちかねの大手全国紙だが、まず、読売(下記資料-や参照)と産経が上にあげた地方紙とはまったく違う。今回の社説は、この二紙が電力業界の広報紙・原発マフィアの御用新聞であるのを、他紙とのコントラストで、はっきりと示してくれた。いわく『再稼動の判断を先送りするな』(読売)。電力不足(来るぞ・来るぞこわいこわいオオカミ来るぞ!)の到来をまえにして、ストレステスト妥当の判断が出たのは、ことほぐべきことである。他の原発の再稼働もこの調子でどんどんやっていこう。それにしても反原発を唱える非国民の『反対派メンバー』『反対派活動家』(私はオヤジ臭ふんぷんのこれらの表現がいとおしくて好きです!)はけしからん。枝野君は何をしておるのか。こういう連中は断固弾圧排除して、原子力強国ニッポンを復活させようではないか。

・再稼働に向け、最初のハードルを越えた(読売)
・多くの原発の再稼働へ向けた一歩として歓迎したい。(産経)

・再稼働できないと、国内の原発は4月末に全て止まる。電力の安定供給は、さらに厳しくなる。(読売)
・電力供給が逼迫(ひっぱく)して節電を求めている。電力を安定供給するためにも、再稼働を目指して手続きを急がなければならない。(産経)

・問題がない、と確認された以上は、再稼働を認めるべきではないか。今後は一連の手続きが滞りなく進むことを期待したい。(読売)
・(他の原発についても)保安院は遅滞なく評価を進めてほしい(産経)

・意見聴取会には、反対派活動家らが多数押しかけて混乱した。枝野経産相は「平穏に開催されない状況になったのは容認できない」と批判した。残念な事態である。(読売)
・意見聴取会に原発反対派メンバーらが乱入し、会議が3時間半、開けない異常事態に陥った。専門家の判断をゆがめるような行為は決して許されるものではなく、極めて遺憾(産経)

これに対して、すでに過去の社説で脱原発を標ぼうしている良識派の朝日(下記資料-ら参照)と毎日(下記資料-せ参照)はどうか。毎日は、『原発テスト「結論ありき」と疑う』という社説を掲げ、一見、地方紙各紙と論点と共有しているように見える。たしかに、この社説には、上記A、B、Eの各論点が見いだされる(『事故そのものの検証もまだ終わっていない。少なくとも事故の原因を踏まえ、国民が納得するリスク評価の指針を示すべき』『設計上の想定は東日本大震災以前のもの』『意見聴取会で市民を会場から閉め出した保安院のやり方にも問題』)。しかし、毎日の社説は、論点CとDに関してなにやら官僚的なごまかしを感じさせる。

『首相と関係3閣僚が再稼働の是非を政治判断するが、まず技術的な安全性を閣僚が判断することの是非に議論がある。加えて、今回の評価結果を見る限り、技術的な安全評価も「結論ありき」に思える』

電力会社と経産省の結託、「犯人が裁判官」という論点、地方紙各紙があれほどしつこく追及した論点が、毎日からは脱落している。そして、その欠落を埋めるように『技術的な安全性を閣僚が判断することの是非』という、何やら技術的な議論が持ち出される。これほどあった社説の中で、今回の『妥当』判断の問題点を「閣僚判断の正当性」に結びつけて言及したのは毎日だけだった。毎日は、『結論ありき』という一般的論調を採用しても、それが業界と官僚のごまかし機構、原子力マフィア体制の仕事だということは、はっきりと言いたくないのか。マフィアの側にお友達がたくさんいるのか、あるいは、毎日にマフィアのお友達がたくさんいて、気をつかわなくてはならないのか…。

朝日に至っては、この「心遣い」はもっとはっきりと出ている。つまり、いやなことはこれっぽっちも言いませんよ、ご心配なく・・・という調子である。今回の『妥当』審査結果への言及は、原発寿命の話題と取り混ぜて、951字の社説中わずか105字を数えるにすぎない。そして『原発を減らしていくという姿勢が後退した印象を与えているのは間違いない。』『政権の姿勢が揺らいで見えることのないよう、折に触れてメッセージを発していくことだ。』というきれいごとコメントで終わるのだ。いかにも、このことには触れたくない、という印象を与えているのは間違いない。


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資料-や
原発耐性検査 再稼動の判断を先送りするな(1月19日付・読売社説)

 停止中の原子力発電所の再稼働に向け、最初のハードルを越えたと言えるだろう。

 関西電力が実施した大飯原発3、4号機(福井県)の「ストレステスト(耐性検査)」評価結果について、経済産業省原子力安全・保安院が、妥当とする判断をまとめた。

 これに関する専門家からの意見聴取会には、反対派活動家らが多数押しかけて混乱した。枝野経産相は「平穏に開催されない状況になったのは容認できない」と批判した。残念な事態である。

 耐性検査は、定期検査で停止した原発の再稼働の条件として、昨年7月に、菅政権が全ての原発に課したものだ。

 法的根拠はない。だが、東京電力福島第一原発事故を踏まえ安全を一層向上させることが国民や地元自治体の理解を得る上で役立つとの判断だった。欧州が先行して導入したことも参考とした。

 設計段階で考慮されなかった想定外の地震や津波が襲来したと仮定し、各原発に安全の余裕がどれだけあるのかをコンピューターを使った計算などで確認する。

 見落とされていた弱点を検査で見つけ出す効果もある。

 大飯原発の3、4号機については、関電が昨秋、地震の揺れで想定の1・8倍まで、津波は想定の4倍の11・4メートルまでなら耐えられる、と報告していた。重大な欠陥も見つからなかったという。

 保安院は、その内容を、専門家の意見を聞きつつ詳しく点検、確認してきた。すでに14基の原発についてテスト結果が提出されているが、ゴーサインが出たのは大飯原発3、4号機が初めてだ。

 評価結果は、今月下旬に来日する国際原子力機関(IAEA)の専門家や、内閣府の原子力安全委員会も、チェックする。これを経て来月初めにも、野田首相や細野原発相らが、再稼働の可否について、政府としての判断を示す。

 再稼働できないと、国内の原発は4月末に全て止まる。電力の安定供給は、さらに厳しくなる。

 問題がない、と確認された以上は、再稼働を認めるべきではないか。今後は一連の手続きが滞りなく進むことを期待したい。

 最後のハードルは、地元自治体の了解を得ることだ。大飯原発がある福井県は福島第一原発事故に基づき、政府に安全の新基準を設けるなどの対応を求めている。

 安全に万全を期し、利用可能な原発は動かす。野田首相は、自ら掲げた方針に沿って、全力で地元の理解を得ねばならない。

(2012年1月19日01時04分 読売新聞)

資料-ら
原発テスト「結論ありき」と疑う1/20 【毎日新聞・社説】 

東京電力福島第1原発の重大事故の教訓を今後にどういかそうとしているのか。このところの政府のやり方には疑問が多い。

 経済産業省の原子力安全・保安院は関西電力が提出した大飯原発3、4号機の安全評価(ストレステスト)を「妥当」と評価した。再稼働の前提として定期検査中の原発を対象に行われる第1次評価である。


 この先、原子力安全委員会の確認や国際原子力機関(IAEA)の評価を受ける。さらに、首相と関係3閣僚が再稼働の是非を政治判断するが、まず技術的な安全性を閣僚が判断することの是非に議論がある。加えて、今回の評価結果を見る限り、技術的な安全評価も「結論ありき」に思える。

 保安院が妥当とした関電の評価によると、設計上の想定より1.8倍大きい地震の揺れや4倍大きい11.4メートルの津波に襲われても炉心損傷には至らない。全交流電源が喪失し熱の逃がし場がなくなった場合でも炉心は16日間、使用済み核燃料は10日間、損傷までに余裕があるという。

 しかし、評価の前提となっている設計上の想定は東日本大震災以前のものだ。震災で最大の揺れや津波の想定そのものが揺らいでいる。耐震指針や安全設計審査指針の見直しも行われている。もとの想定が信頼できるという保証はどこにもない。

 想定が甘ければ甘いほど大きな余裕があるように見える矛盾も内包している。それを思えば、1.8倍や4倍という数値に意味はない。そもそも、事故そのものの検証もまだ終わっていない。少なくとも事故の原因を踏まえ、国民が納得するリスク評価の指針を示すべきではないか。

 原発のリスク評価という点では寿命の法規制についても疑問がある。「運転40年を超えたら原則として廃炉」との方針を細野豪志原発事故担当相が発表したのが今月6日。それから2週間もたたないうちに、政府は「例外として60年運転が可能」とする方針を公表した。

 いったい、どちらに重きを置いているのか。本気でリスクの高い原発を減らしていくつもりがあるのか。原発政策への不信感を招くやり方だ。

 国民の信頼を得るという点では、大飯原発のストレステストの意見聴取会で市民を会場から閉め出した保安院のやり方にも問題があった。基本的には議論の場そのものを公開し、議事に大きな障害が出るような言動があった場合に個別に対応すればすむ話だ。市民団体が疑問視する委員の利益相反についても、きちんと説明するのが先決だ。

 原発の再稼働を最終的に判断するのは地元自治体だ。市民の信頼がなければ再稼働もありえない。

毎日新聞 2012年1月20日 2時31分


資料-せ

原発政策―「減らす」原点忘れるな 
朝日1・19

原発の寿命を40年と法律に明記する方針を細野原発相が発表して2週間もたたないうちに、例外的に最長60年まで延長可能とする法改正案を内閣官房が明らかにした。

 一方、経済産業省の原子力安全・保安院は、関西電力が実施した大飯3、4号機(福井県)についてのストレステスト(耐性評価)を「妥当」とする審査結果の素案をまとめた。定期検査で止まった原発の再稼働に向けた一歩となる。

 国民の多くは戸惑っているのではないか。原発への依存度を減らしていくのが野田政権の原点だったはずだ。「40年まで」は野田首相が政権発足時に明言した「寿命が来た原発は順次廃炉にする」という方針の具体化ではなかったのか、と。

 原発の40年以上の運転について、内閣官房は「極めて例外的で、これまで以上に厳しい基準を設ける」と説明する。ストレステストも「手続きの一環で、再稼働の是非は政治に委ねられている」(保安院)という。

 だが、震災を教訓に規制を強化し、原発を減らしていくという姿勢が後退した印象を与えているのは間違いない。

 そもそも、原発をどのくらいかけて、どの程度減らすかという大枠が決まらないうちに、細かい規制や手続きを進めようとすることに無理がある。

 エネルギー政策全体については「2030年に電力供給の53%を原発でまかなう」とするエネルギー基本計画を白紙から見直すことになっている。舞台は経産省が事務局の総合資源エネルギー調査会。今春がめどだ。

 しかし、原発をめぐる意見の対立が激しく、委員からは「合意点と対立点の整理にとどめ、最終判断は政治に委ねるほうがいい」との声が出ている。

 野田内閣は、有識者らの審議を待つだけでなく、リーダーシップを発揮する必要がある。

 大切なのは、政権の姿勢が揺らいでみえることのないよう、折に触れてメッセージを発していくことだ。

 古い原発は出力も小さく、需給に与える影響は大きくない。すでに40年を過ぎた原発は確実に止めることを宣言する。

 そのうえで、昨夏の節電効果も踏まえて、今夏のピーク時に最低限動かさざるをえない原発が何基なのか、具体的に示すことが欠かせない。

 閉められる原発はできるだけ早く廃炉にしていく。そのための環境整備を急ぐ。こうした姿勢を目に見える形で示さなければ、今後の原発政策に対する理解も得られまい。

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