岐阜県議会議員 太田維久(おおた・まさひさ)のblog

再生、飛躍、「政策維新」
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迷走

2009年05月29日 22時38分28秒 | 国政全般

まず最初、この人も迷走か。批判をされて「無礼だ」はない。批判をするのが仕事のジャーナリストだろう?

渡辺恒雄・読売会長:「無礼だ!」政府安心会議で怒声 厚労省分割論を批判され
 ◇「党利党略のパフォーマンス」と批判され
「無礼だ」--。28日の政府の「安心社会実現会議」で、薬害肝炎全国原告団代表の山口美智子氏が「1委員が提案した厚生労働省分割が報道され、衆院選のためのパフォーマンスだとの思惑が広がり残念だ。国民は党利党略に嫌気がさしている」と発言したのに対し、前回、分割論を展開した渡辺恒雄読売新聞グループ本社会長兼主筆が声を荒らげて反発する場面があった。
渡辺氏は「党利党略に新聞社の主筆たるものが便乗して振り回されているようなことを言われた。取り消していただきたい」と大声で反論した。
険悪なムードになりかけたが、与謝野馨財務・金融・経済財政担当相が「発言を党利党略と考えたことはない」と引き取った。【西田進一郎】

渡辺主筆=与謝野大臣(=中曽根氏?)=財務省?という図式が今回も現れた。が、この人たちの「傀儡(かいらい=操り人形)」でありながら「ぶれる」麻生首相には党内からも反発が。

厚労省分割断念:また「ぶれる麻生」 党内からも強い反発
2009・5・29 毎日

麻生太郎首相が検討を指示した厚生労働省の分割・再編は衆院選前の具体案作成を断念することになり、「ぶれる麻生」を改めて印象付ける結果になった。首相が幼稚園と保育所の所管を統一する「幼保一元化」を併せて指示したことが自民党内の強い反発を買い、議論の推進役となった与謝野馨財務・金融・経済財政担当相もトーンダウン。首相指示に公然と反発した閣僚も多く、首相の指導力不足も露呈した。
厚労省の分割は、渡辺恒雄読売新聞グループ本社会長兼主筆が15日の「安心社会実現会議」で唱えた。首相周辺は「渡辺さん、与謝野さんのプランに首相が乗っかった構図。幼保一元化は首相の持論でもあるが、主導したのは与謝野さんだ」と語る。
与謝野氏は19日の経済財政諮問会議後の記者会見で「組織の分割、幼保一元化は与謝野大臣が案を出してくれと指示があった」と語り、21日の記者会見では「意外にテンポは速く進んでいる」と手応えものぞかせた。
しかし、幼保一元化には、自民党内の文教族議員や厚労族議員を中心に不満が噴出。28日の衆院本会議場では、文教族の代表格、森喜朗元首相や町村信孝前官房長官が河村建夫官房長官に「幼児教育についてしっかりと議論すべきだ。組織論はそれからだ」と念を押す一幕もあった。
幼保一元化は小泉政権が幼児教育と保育を効率的に行おうと着手。教育と福祉の両機能を持つ「認定こども園」制度を整えたが、こども園の設置数は伸びず、行政の一体化も進展しなかった経緯がある。自民党幹部は「国民的な人気があった小泉政権でさえできなかったのに、この政権でできるわけがない」とくさした。
さらに、自民党議員にとっては次期衆院選が迫っているという事情があった。保育所と幼稚園の関連団体は自民党の支持母体が多く、幼保一元化を強行すれば支持基盤が崩れかねない。
結局、河村長官が党内の厳しい雰囲気を首相に伝え、事実上の撤回が決まった。与謝野氏は29日、経済財政諮問会議の会合で、6月にまとめる「骨太の方針2009」に厚労省分割に関する基本的な考え方を盛り込む考えを示したが、2週間近くにわたった「空騒ぎ」は麻生政権にダメージを与えた。
民主党の岡田克也幹事長は29日の記者会見で「省名まで具体的に挙げた首相の発言を『族議員との調整が付かないから』といとも簡単に撤回する。リーダーシップのかけらもない」と批判し、早期の衆院解散を求めた。【坂口裕彦、野原大輔】


厚労省分割―またしても政権の迷走
2009・5・29 朝日社説


麻生政権が次の総選挙の目玉にと意気込んでいた厚生労働省の「分割・再編」の雲行きが怪しくなってきた。
発端は、首相が将来の国家ビジョンを話し合うためにと作った安心社会実現会議で、渡辺恒雄・読売新聞グループ会長が分割論を提唱したことだった。これを受けて首相は先週、年金と医療、介護を担う社会保障省と雇用、少子化を担当する国民生活省の二つに分ける持論まで披露して、政府内での検討を指示した。
年金記録の問題や後期高齢者医療制度などをめぐって、国民の怒りや不信をかった厚労省にメスを入れ、改革姿勢をアピールしようという思惑もあったろう。
しかし、関係閣僚の話し合いでは慎重論が続出し、与党内からも「拙速だ」という批判が噴き出した。週内にもまとめるとしていた素案づくりのめどは吹き飛んでしまい、そもそも案をつくれるのかどうかさえ分からなくなってきた。
いいだしっぺの首相は昨夜、記者団に「国民の安心安全の側に立って、(組織のあり方を)一回精査したらどうか」と指示しただけだと述べ、分割についても「全然こだわらない」とあっさり語った。
年金や雇用不安、新型インフルエンザなど、厚労省には次々と課題が押し寄せている。どれも国民生活に直結する問題ばかりだ。果たして今の役所の態勢できちんと対応できるのだろうか。この問題意識は正しい。
時代の変化に応じて機敏に、柔軟に行政組織を見直すというのは、あって当然のことである。実際、厚労行政をめぐっては今年3月、福田前内閣の時にできた有識者懇談会が、厚労省の取り組む課題が年々増えているのにそれに見合った人員や予算配分がされていないといった問題点を指摘していた。 しかし、「だから分割を」という論議がいきなり走り出した今回の進め方は、あまりに短絡的、場当たり的だった。新しくできる消費者庁を国民生活省にくっつけたらどうかという話が、まだ消費者庁設置法案が成立しないのに飛び出すありさまだ。話は厚労省だけの問題にとどまるまい。たとえば医療であれば、医学教育は文部科学省の担当だし、公立病院は総務省や地方自治体の所管にもまたがっている。これらを再編し、行政がスムーズに無駄なく動くような体制を整えてもらいたいとは思う。だが、数カ月以内に確実に総選挙があるというこの時期に泥縄式の議論を進めて、まともな結論が生まれるのだろうか。疑問である。国民が望むのは、役所の姿はどうあれ、しっかり仕事をしてもらうことだ。そこを見誤らないでほしい。

 

社説:厚労省分割迷走 軽過ぎる首相の言動
2009・5・29毎日社説

厚生労働省の分割・再編をめぐる麻生太郎首相の発言には驚いた。首相が作った「安心社会実現会議」で渡辺恒雄・読売新聞グループ本社会長兼主筆が提唱した分割論を受けて、「社会保障省」と「国民生活省」に分割する自らの案を示して、検討を指示したばかり。ところが、党や閣内からの反対が強まると、「最初からこだわっていない」と釈明した。今週から協議を始めていた関係閣僚ははしごをはずされた格好だ。
言うまでもなく、首相の発言は重い。検討を指示する以上、行政システムへの理念がなければならず、こだわりも必要だ。「こだわっていない」などと発言すること自体、理解に苦しむ。トップとしての立場が分かっていない、と批判されても反論できないはずだ。軽率のそしりは免れない。
消えた年金や後期高齢者医療制度などで集中批判を浴びた厚労省を分割・再編する案を掲げて民主党との対立軸を作り、人気取りを図る狙いがあったとすれば、本末転倒だ。
01年の省庁再編から8年、組織が巨大化し功罪が出てきたことは確かだが、それは厚労省だけではない。なぜ、麻生首相が厚労省の分割・再編を指示したのかがよく分からない。省庁の再々編は国土交通省や総務省など、全省庁を含めて検討し、全体像を描いた上で進めないと、混乱するだけだ。
麻生首相が再編論をトーンダウンさせたのは政府・与党内から反発や慎重論が強まったからだ。文部科学省が所管する幼稚園と厚労省所管の保育所の一元化も含めた検討を指示したものの、支持団体の利害がからむ問題ということもあり、自民党内から反論や批判が噴き出した。各議員が、それぞれ応援を買って出ることも計算せず、総選挙前に拙速で進めようとしたことで墓穴を掘った。この結果、麻生首相の指導力が失われ、求心力が低下することは避けられない。省庁再編を進めようとするなら、まずは首相がリーダーシップを発揮し、国民の声にも耳を傾けてコンセンサスを作り上げるべきだ。
分割をめぐり「安心社会実現会議」でも議論があった。薬害肝炎全国原告団の代表が「一委員が提案した厚労省分割が報道され、衆院選のパフォーマンスだとの思惑が広がり残念だ」と発言した。これに対して渡辺氏が「党利党略に新聞社の主筆たる者が便乗して振り回されるようなことを言われた。取り消していただきたい」と反論する一幕もあった。
問われているのは麻生首相のリーダーシップである。首相は迷走を反省し国のかたちを決める省庁再編問題の抜本議論をやり直すべきだ。

そうだ。ニュースでも「社会保障省」と「国民生活省」の名称まで披露され、役割の解説もされていた。まさに看板倒れだ。消費者庁も早々に吸収されるとしたら・・・野田大臣も気の毒である。

一方、読売。22日社説で「厚生労働省、再編で国民の信頼を取り戻せ」と旗を振ったが、その後、この問題についての社説はなし・・・

画像は厚生労働省のシンボルマーク。