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日々の暮らしの気になるあれこれ

市民生活の社会インフラとしての図書館 その①

2018-02-01 22:58:36 | 暮らし
今年の目標のひとつに
「本をたくさん読む」と決めています。
本を読むのは好きなことのひとつですが
好きなものに偏りがちになってしまうので
これまで知らなかった作家や分野の本も
どんどん読んでいこうと思っています。
ので、おススメがあればぜひお知らせください。

先日、龍谷大学院での公開講演会に参加しました。
テーマは「復興における学びと図書館の役割」。
講師は南相馬市教育委員会の庄子まゆみさんでした。
「復興」と「図書館」がどのように結びつくのかを
知りたくて参加しましたがとても印象深い内容だったので
メモ代わりに書いておきます。

福島県南相馬市は平成18年に1市2町が合併し
原発から25キロに市役所があり
東日本大震災前の人口は71,561人。
関連死も含めると1,142人の方が津波被害で亡くなり
住家被害にあったのは全世帯の22%を占める5,310世帯。
現在の市内居住人口は58,519人。
小中学校の児童・生徒数も74%まで戻ってきたという。

市民からの「図書館を開けてほしい」という要望で
図書館を再開したのは震災からわずか約5か月後の8月9日。
まだ24時間体制で災害本部が動き
職員たちも避難所へ出向いていたので
「なぜ軽度の作業に人手を回すのか」
という声も上がったという。

震災の「一番の被害者」であるこどもたちに
「学びたいと思う環境」を提供することを図書館の最大の課題とし
「被災地の公共図書館の当然の責務」として
震災・原子力災害に関する資料に取り組む
南相馬市中央図書館は聴けば聞くほど
「こんなのほしい!」と思わせるような魅力的な場所でした。

平成21年にできたこの図書館は
20年にもわたる市民運動によって開館したものであり
市民の意見を多く取り入れてつくられました。
JR駅前という非常にアクセスが良い立地で
開館時間は平日が9時半から夜8時、土・日は夕方5時まで。
蔵書数は約30万点、新聞・雑誌タイトル数324で
平成28年度の市民1人あたりの貸し出し点数は6.64点。
(宇治市の市民1人あたりの貸し出し点数は4.34点)

ゆったりとした閲覧席が620もあり
学生の勉強に対してもオープン。
子どもと大人の図書を分けて配架し
子どもが騒いでも叱らない。
BGMが流れピアノが置いてあり
コンサートを定期的に実施している。
テラス席では飲食もオッケーで
館内に併設したカフェは障害者団体による運営。

あくまで利用者の立場で使い良さを考え
1日中過ごせる居心地の良い
滞在型図書館として設計された図書館が
震災後にまちをつくっていく市民の
中心となる場所となっていくには
信念をもって使命を成し遂げようとする
職員たちの存在がありました。

次は、なぜこのような図書館づくりが可能となったのかと、
市民生活に必要な図書館の役割について書きますね。

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