佐々木まゆみのよりあいnet

日々の暮らしの気になるあれこれ

「手話言語条例」読み比べ

2018-01-10 23:26:21 | 政治

昨年の12月27日に
「宇治市手話言語条例」が公布・施行されました。
この条例は昨年12月26日に市議会で議決され
京都府では城陽市、京都市、向日市に次ぐ
4番目ということです。
実は12月22日に綾部市が
そして25日には福知山市が制定し
どちらも4月1日が施行日なので
施行は府下4番目ですが
制定は6番目となります。

憲法94条に「地方公共団体は…
法律の範囲内で条例を制定することができる」
とあるように、条例は自治体が制定できる法律です。
そして、条例の制定、改正や廃止については
議会の議決が必要です。

これまでに手話言語条例が成立した自治体は
15県99市11町の125自治体(2018年1月5日現在)
全日本ろうあ連盟のHPでは手話言語条例マップがあり
すべての条例を読むことができます。
府内6市の条例を読み比べてみました。

7条までしかない宇治市の条例が最短でした。
あまりのそっけなさに驚きました。
城陽市と向日市は8条
京都市が11条、福知山市が13条
一番条文が多いのは綾部市の14条

綾部市と福知山市の条例は共通点が多く
定義について条文であげているのは2市のみです。
どちらも手話だけではなく
「多様なコミュニケーション促進」を
含む内容となっているためか用語の意義を定めています。

宇治市では「情報の取得に関すること」
としている条文についても「市政に関する情報」
「災害時における緊急情報等」「避難等に関する情報」と
具体的に記しています。
市職員に対する研修の実施をあげているのも綾部市と福知山市のみ。
事業所の役割として「誰もが利用しやすいサービスの提供」に加え
「障がいのある人が働きやすい環境の整備」を明記しているのもこの2市です。

多くの市が「施策推進会議の設置」を
内容に盛り込んでいるなかで宇治市と京都市は
「意見を聞くための協議の場を設ける」としています。
他市のように、もっとしっかりした推進体制が必要ではないですか。

宇治市の条例が短い理由の一つには
「事業所の役割」を独立してつくらず
「市民等の役割」としてひとまとめにしたこと。

そして何より気になるのは
「財政上の措置」の条文が見当たらないことです。
ほとんどの自治体の条例には
「市は、施策を積極的に推進するために
必要な財政の措置を講じるものとする」
という条文があるにもかかわらず
宇治市の条例にはどこを探してもありません。
ともすれば理念条例になってしまいかねない条例に
この条文を規定することが
実効性の担保となると思いますが
あえて入れなかったのには
理由があるのでしょうか。
市としてどこまでやろうとしているのか
本気度を見せてほしいです。

最後に一つ加えたいことは
京都市には「観光旅行者その他の滞在者への対応」
という条文があります。
多くの観光客が訪れ、今後も観光に
力を注ごうとしている宇治市ならではの
条文を盛り込んでほしかったなと残念な思いがします。

それでも、条例があるのとないのとでは大違い。
条例はいったん施行されると
宇治市の隅々まで効力を発揮します。
この条例が目的としている
「障がいのある人もない人も
相互に人格と個性を尊重し合いながら
共生する社会を実現する」ための一つのツールとして
条例をこれから使い倒していくのは
わたしたち市民だと思います。