ウラジーミル・プーチン氏が大統領に就任して以降、ソ連時代の様な強権国家に逆戻りしているロシア。当ブログでもこれ迄に「”ソ連時代”に戻るのか?」や「暗殺された女性記者」、「毒殺未遂事件」等の記事で、彼の国で敷かれている恐怖政治の一端を紹介して来た。現代のロシアで公に反政府的な言動を為す事は、死を意味するといっても過言では無いだろう。
そんなロシアで、強権化が更に進んでいると思わせる事件が発覚した。25日付けの東京新聞に載っていた記事「『ソ連式』弾圧復活か 反体制派に精神医療乱用」によると、反体制活動家が一ヶ月半も精神病院に強制入院させられていた事実が明らかになったという。プーチン政権を批判する元チェス世界王者ガルリ・カスパロフ氏が率いる反体制組織「統一市民戦線」のムルマンスク支部の活動家ラリサ・アラプ女史(49歳)がその人で、彼女は6月上旬にロシア北部のムルマンスクで開かれた集会で反政権演説を行い、同戦線の機関紙では精神病院の患者に対する非人道的な治療実態を痛烈に批判していた。そして7月5日、健康診断で訪れたムルマンスクの公立病院で医師から「あのアラプさんですな?」と氏名を確認され、暫くすると駈け付けた警官から理由も告げられないままに精神病院に強制入院させらたというのだから、とてもまともな国家とは思えない。
アラプさんが抵抗すると殴る等の暴行が加えられ、ベッドに縛り付けられて薬物を投与。抗議の為ハンストに入ると、点滴で強制的な栄養摂取。彼女は薬物の影響で目は虚ろになり、言葉も不自由になってしまったという。紙面には強制入院前と入院中の彼女の写真が対比されているが、その表情の余りの変わり具合には唯絶句するしかない。
家族からの告発を主要メディアは当初黙殺したが、7月末に一部メディアが報道した事で国内の人権団体が抗議の声を上げる様になった。ニューヨークに本部を置く「ヒューマン・ライツ・ウオッチ」等、他国の人権団体も深刻な懸念を表明。これを受けてモスクワの人権活動家ルキン氏や独立精神医学協会が現地調査を行い、「彼女の入院には医学的根拠が無い。」と非難する等、拡大して行く反響に驚いた病院は今月20日、アラプさんに突然、自宅療養を命じるに到った。
「反体制派や人権活動家を粛清したり、裁判を経ず”効率的に”活動を封じ込め、社会的信用を失墜させる狙い。」から、1960年~1970年代のソ連では国家的に精神医学を乱用した弾圧システムが広く行われ、これは1991年にソ連が崩壊する迄基本的に継続されていたと言われている。ソ連時代の精神医学の乱用を1970年代初頭に告発した元ソ連反体制派作家ブコスフキー氏は、「今回の様な恥知らずな手法は、ソ連時代でも稀だった。精神医学の乱用が復活している証拠だ。」と亡命先のロンドンで述べている。又、自宅に戻されたアラプさんも「私の事件は例外では無い。ロシアでは精神医療施設は弾圧機関だ。昔のシステムが復活しつつ在る。」と表明。そして代表的な人権活動家ポノマリョフ氏も「地方では活動家への同種の事件が起きている。」と指摘した上で、「反体制派を異常者扱いにするソ連時代の様な風潮が戻っている。当時の様に政権が直接指示しなくても、地方の医師と治安当局者がそうした雰囲気を感じ取り、昔乍らの手法を復活させているのだろう。」としている。
「国家権力に対しては常に、懐疑的&厳しい視線を向ける可き。」と、当ブログではこれ迄何度も記して来た。必要以上に懐疑的になる必要も無いが、だからと言って国家権力に気を許してはいけないと思う。「そんな大袈裟な。」と一笑に付す向きも在ろうが、古今東西の史書を紐解けば「よもやそんな事は在るまい。」と国家権力に”隙”を見せた事から、強権化の道を直走ってしまったケースはまま在るのだ。元々は反体制思想の弾圧を目的とし、次第に「戦争に反対する。」事も抑えに掛り、戦時中の日本国民を”物言えぬ民”にさせてしまった特別高等警察が62年前迄存在していた事を忘れてはならないだろう。
そんなロシアで、強権化が更に進んでいると思わせる事件が発覚した。25日付けの東京新聞に載っていた記事「『ソ連式』弾圧復活か 反体制派に精神医療乱用」によると、反体制活動家が一ヶ月半も精神病院に強制入院させられていた事実が明らかになったという。プーチン政権を批判する元チェス世界王者ガルリ・カスパロフ氏が率いる反体制組織「統一市民戦線」のムルマンスク支部の活動家ラリサ・アラプ女史(49歳)がその人で、彼女は6月上旬にロシア北部のムルマンスクで開かれた集会で反政権演説を行い、同戦線の機関紙では精神病院の患者に対する非人道的な治療実態を痛烈に批判していた。そして7月5日、健康診断で訪れたムルマンスクの公立病院で医師から「あのアラプさんですな?」と氏名を確認され、暫くすると駈け付けた警官から理由も告げられないままに精神病院に強制入院させらたというのだから、とてもまともな国家とは思えない。
アラプさんが抵抗すると殴る等の暴行が加えられ、ベッドに縛り付けられて薬物を投与。抗議の為ハンストに入ると、点滴で強制的な栄養摂取。彼女は薬物の影響で目は虚ろになり、言葉も不自由になってしまったという。紙面には強制入院前と入院中の彼女の写真が対比されているが、その表情の余りの変わり具合には唯絶句するしかない。
家族からの告発を主要メディアは当初黙殺したが、7月末に一部メディアが報道した事で国内の人権団体が抗議の声を上げる様になった。ニューヨークに本部を置く「ヒューマン・ライツ・ウオッチ」等、他国の人権団体も深刻な懸念を表明。これを受けてモスクワの人権活動家ルキン氏や独立精神医学協会が現地調査を行い、「彼女の入院には医学的根拠が無い。」と非難する等、拡大して行く反響に驚いた病院は今月20日、アラプさんに突然、自宅療養を命じるに到った。
「反体制派や人権活動家を粛清したり、裁判を経ず”効率的に”活動を封じ込め、社会的信用を失墜させる狙い。」から、1960年~1970年代のソ連では国家的に精神医学を乱用した弾圧システムが広く行われ、これは1991年にソ連が崩壊する迄基本的に継続されていたと言われている。ソ連時代の精神医学の乱用を1970年代初頭に告発した元ソ連反体制派作家ブコスフキー氏は、「今回の様な恥知らずな手法は、ソ連時代でも稀だった。精神医学の乱用が復活している証拠だ。」と亡命先のロンドンで述べている。又、自宅に戻されたアラプさんも「私の事件は例外では無い。ロシアでは精神医療施設は弾圧機関だ。昔のシステムが復活しつつ在る。」と表明。そして代表的な人権活動家ポノマリョフ氏も「地方では活動家への同種の事件が起きている。」と指摘した上で、「反体制派を異常者扱いにするソ連時代の様な風潮が戻っている。当時の様に政権が直接指示しなくても、地方の医師と治安当局者がそうした雰囲気を感じ取り、昔乍らの手法を復活させているのだろう。」としている。
「国家権力に対しては常に、懐疑的&厳しい視線を向ける可き。」と、当ブログではこれ迄何度も記して来た。必要以上に懐疑的になる必要も無いが、だからと言って国家権力に気を許してはいけないと思う。「そんな大袈裟な。」と一笑に付す向きも在ろうが、古今東西の史書を紐解けば「よもやそんな事は在るまい。」と国家権力に”隙”を見せた事から、強権化の道を直走ってしまったケースはまま在るのだ。元々は反体制思想の弾圧を目的とし、次第に「戦争に反対する。」事も抑えに掛り、戦時中の日本国民を”物言えぬ民”にさせてしまった特別高等警察が62年前迄存在していた事を忘れてはならないだろう。
ソ連は崩壊しロシアも変わるかと思ったですがそう簡単にはいかないみたいですね。かの中国も「中華人民共和国」、北朝鮮も「朝鮮民主主義人民共和国」とあくまで「人民」の国だと称しながらも実際は一般人民から自由の言動を奪い、都合の悪いことは隠蔽しそれを追及するものは情け容赦なく弾圧する・・・。
これでは帝国主義と全く変わりませんね。逆に王国と称されているイギリスやスペイン、ベルギー、オランダそしてわが国日本はかえって自由と平等を認められているような気がします。北欧のノルウェーやスウェーデン、デンマークなどの王国は充実した福祉さえあるのに、逆に王侯貴族のいないはずの共和国に格差があって自由発言も認められないのだから改めて皮肉を感じずにいられません。
共産主義(乃至は社会主義)と資本主義のどっちが好きか?と問われれば、それは絶対に資本主義が好ましいと思っている自分ですが、唯、共産主義の概念自体は決して悪いとは思っていないんです。問題はどれだけ素晴らしい概念で在った”としても”、それを運用するのは私利私欲に流され易い人間で在るという事。その意味では、共産主義という概念は人間社会に於いてそぐわないものなんでしょうね(苦笑)。
ロシアでは今、揺り戻しの状態に在るのではないでしょうか。暗黒の世界から市民達が自由を取り戻した(又は取り戻しつつ在った)ものの、社会全体に格差が拡大して行った事での不満が充満し、その捌け口として”強いロシア”を求め出した。強いロシアというのが、結果的に強権国家の再生を促したとしたらこれは何とも皮肉な話です。
上を見ても限が無く、下を見ても同じく限が無い。ロシアや北朝鮮、中国等の国家と比べれば、国家権力を自由に”今の所”批判出来る我が国は幸せと言えましょうね。
確かにこういった報道が遅ればせ乍らで在っても、国内外に報じられる”余地”が在るというのは、嘗てのソ連での”閉鎖性”を考えると未だましなのかもしれません。今回はたまたまロシアの例を挙げましたが、国家権力が過度に力を持ち過ぎると、自らに批判的な存在を”消しにかかる”というのは何処の国でも在り得る事だと思います。(アウン・サン・スーチー女史なぞは間に2度”解放”されたとはいうものの、もう20年近くも自宅軟禁されているのですから、全く異常としか言い様が在りません。)
ロシアと言えば多くの小話が有名ですが、「酒場で或る男が『ブレジネフはアホだ。』とポロっと口にした所、それを聞いた男が『そんな重要な”国家機密”を漏洩すると死刑になるぞ。』と返した。」という小話は何ともシュールで、暗黒の時代に在ってもそういった小話を口にしていた彼の国の民の逞しさを感じてしまいます(笑)。
で、追放されたマフィアどもも追放されなかったロシア富豪(マフィアみたいなもん)も一緒になってニューヨークやロンドン等の土地を買いあさり、イヤでもロシアの存在感が高まり、冬季五輪も金で買い…、「サウジアラビアかアラブ首長国連邦型への移行」の一方で貧富の差の拡大、産業の未発達と庶民の不満を、心なしか「ソ連への逆コース」の強権政治や見せしめ逮捕で補っているような気もしますね。
日本とて「強いリーダー」小泉に熱狂→鈴木宗男を血祭り等々の小泉時代は今振り返ると奇妙でしたね。
アメリカもブッシュ再選時の頃は異常でしたし。
「強いリーダー」を求めると往々にして全体主義になるということでしょうか。
自分も「鈴木宗男を血祭りにしていた。」内の一人です(苦笑)。今でもあの当時の彼には否定的な思いが在るものの、少なくとも今の彼にはかなり期待しているし、やや「木を見て森を見ない。」捉え方をあの当時はしていたかなあという反省も。
確かに強いリーダーを求める時代って、全体主義的な様相を帯びるのは否定出来ませんね。強いリーダーを求める事自体は決して間違いでは無いのですが、そういう時の風潮が得てして「自国よりも弱い対象を見出して、口汚く罵る。」という面が在る事に、自分はかなり抵抗を覚えます。
社会主義とは、
国民の利益を必要に応じて分配する。
共産主義とは、
国民の利益を平等に分配する。
であったと思います。
その意味で、現在共産党が政権をとっている国ですら共産国家といえるところはひとつもありません。
もっとも、社会主義国家といえるかどうかも疑問がある国家はたくさんありますが・・・。
結局、かつてのソビエトも北朝鮮や中国等も、耳さわりのいいことはいいますが、結局はかつての帝国主義にみえてならないのです。
理念がよくても、結局運用がなっていないと国は滅ぶということでしょうか?
ここで思い出すのは、オウム心理教です。
麻原も、対外的には耳さわりのいいことは言っていました。
でも、実際の運用は正反対でした。
よく似ている様な気がしてなりません。