ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「この世界の片隅に」

2018年03月19日 | 映画関連

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何処にでも在る毎日の暮し。昭和20年、広島。私は、此処で生きている。

 

北條すず広島市江波で生まれた、絵が得意な少女。昭和19年、29km離れた町・呉に嫁ぎ、18歳で一家の主婦となったすずは、あらゆる物が欠乏していく中で、日々の食卓を作り出すに工夫を凝らす

 

だが、戦争は進み、日本海軍根拠地だった呉は、何度もの空襲に襲われる。庭先から毎日眺めていた軍艦達が炎を上げ、市街が灰燼に帰して行く。すずが大事に思っていた身近な物が、奪われて行く。其れでも、毎日を築くすずの営みは終わらない。そして、昭和20年の夏が遣って来た。

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一昨年に公開され、現在も上映されている映画この世界の片隅に」。足掛け3年という異例ロングランとなっているのは、偏に此の作品が高く評価されているからだろう。兎に角、「良い作品だ。」というレヴューを多く見聞して来たので、ずっと興味を持っていた。昨夜、日本映画専門チャンネルで放送されたのを漸く見る事に。

 

此のアニメ範疇で言えば“反戦作品”という事になるのだろうけれど、パステル調の絵柄で広島の日常を淡々と描き、原爆惨状等、“戦争によって引き起こされた恐怖”を表立って取り上げている訳でも無い。主役のすずの声をのんさんが担当しているのだけれど、淡々とした口調の“広島弁”で話している事も在り、其れ等だけでは戦争中の話で在る様には思えないだろう。

 

でも、そういう平凡な日常の中に、少しづつ戦争の影が入り込んで行く。上で書いた様に、戦争によって引き起こされた恐怖が直接的に描かれている訳では無いのだが、食糧がどんどん入手出来なくなって行ったり、爆弾が破裂した後、安静にしているすずの右手が失われていたりと、さらっと描かれているからこそ、戦争の恐ろしさがより強く感じられる。

 

日本が、戦争に巻き込まれる事なんて在り得ない。」と“無根拠”に言い放つ人が多い昨今、「戦争は平凡な日常の中、徐々に姿を現して行く。」という事を、多くの人達に知って貰いたい。総合評価は、星4.5個とする。

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4 コメント

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Unknown ()
2018-03-19 14:49:39
周作が徴兵を受けたり、すずが女子挺身隊にも、行かずに済んだ事からして、あの戦争を駆け抜けた人々からすれば、幸運な部類に入る家族の物語だったと思います。

昭和が右肩上がりの時代であったからこそ、こうした戦前の作品が、必要以上に暗く悲惨でないことは、個人的には観易くてよかったです。

すずが片手を失う、というのは、描写が淡々としていたがゆえに、かえって衝撃的でしたね。空襲でどんなに酷く破壊されても、かつての綺麗な呉の街を復興するのと共に、戦前の家制度的ではあっても、家族が心の支えとなり、つらい時にも、再び起き上がる拠点となる、という事ではないでしょうか。

悪い人が出てこない作品でもありましたね。憲兵も厳しくはあれど、鬼のような忌避される存在ではなかったですし、すずの大粒の涙といい、あの時代を形作っていたものは、軍隊だけではないし、皆が国を信じていた、という事だと思います。「戦い」の局面も、戦地だけではなく、国民生活の中にも、厳しい場面があったという事で、タイトルにあるように、世界の片隅、一国民の生活の場面にすら現れる、戦争の恐さを描いていたように思います。
Unknown (悠々遊)
2018-03-19 20:57:10
こんばんは。
評価の高い作品なんですね。
戦争の悲惨さを扱ったアニメとしては『火垂るの墓』が真っ先に思い浮かびますが、あまりに重すぎて何度も見たいとは思いません。
声高に反戦を訴えるより、日常の中に非日常の恐ろしさを何気なく描くことで、観客に考えさせる手法の方が効果があるのかもしれませんね。
まだ見ていないので、DVDレンタルされたら見ようかな。
>隆様 (giants-55)
2018-03-19 23:50:27
書き込み有難う御座いました。今回は、此方にレスを付けさせて貰います。

「終戦直前、広島に住んでいた女性が主人公。」、此の映画を見る前には其れ位の知識しか在りませんでした。なので、「憲兵や軍人達の横暴さ」や「村八分等の暗い状況」といった物、そして「原爆の悲惨さ」というのが、当然の様に描かれる物と思い込んでいた。でも、そういう描写は無く、取り分け原爆に関しては「遥か向こうで閃光が見え、そして爆風による揺れが起こる。」という事だけしか描かれなかったのは、正直拍子抜けした。

でも、淡々と描かれていたからこそ、“日常の中の恐怖”という物が浮き彫りにされたし、「恐ろしい描写は、仮令事実で在っても見たく無い。」という人達にとって触れ易い作品と言えましょうね。

個人的には「はだしのゲン」の様な切り口も「在り。」と考えていますが、結果として戦争の恐ろしさや愚かさを感じ取って貰えるならば、こういう切り口も悪く無かったと思います。
>悠々遊様 (giants-55)
2018-03-19 23:53:15
書き込み有難う御座いました。今回は、此方にレスを付けさせて貰います。

「火垂るの墓」、名作では在りますが、救いの無い作品で在る事も事実ですね。「この世界の片隅に」は記事でも書きました様に、範疇としては“反戦作品”なのですが、反戦作品というイメージで見ると、拍子抜けされる事でしょう。其れ程、日常を淡々と描いている。だからこそ、さらっと描かれる戦争の現実が、より恐ろしく感じられる事でしょう。

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