ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

ズバリ聞きます!(67)

2022年01月20日 | 「ズバリ聞きます!」

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アンネ裏切りの密告者、特定か 元FBI捜査官等 オランダ」(1月17日、時事通信

アンネの日記」で知られるユダヤ人少女アンネ・フランクの一家が、1944年8月、オランダ・アムステルダムの隠れ家で発見される切っ掛けを作った密告者の疑いの在る人物を、米連邦捜査局(FBI)の元捜査官や歴史家等約20人で構成する研究チームが特定した。

名指しされたのは、比較的無名のユダヤ人公証人A氏。研究チームのメンバーは17日のオランダNRC」に対し、自分の家族を守る、フランク一家を裏切った可能性が「極めて高い。」と述べた。
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特定されたという人物名、元記事では具体的に記されていたが、今回の記事の趣旨上、自分の判断で「A氏」と仮名にさせて貰った。

「フランク一家を裏切った人物は誰なのか?」は、昔より注目を集めていた。今回、其の人物が特定されたという事だが、具体的な証拠は示された上での事なのだろうか?

今回の名指しに付いて、ネット上では賛否両論在る様だ。賛成派としては「“残党狩り”との批判も在るが、全く同意出来ない。史実を明らかにするのは歴史学義務で、此処忖度していては、過去の過ち目を瞑る事になる。『何故、当該人物は裏切らなければならなかったのか?』の検証を重ね、其の様な事が2度と起きない様に学ぶのが、現代に生きる私達の責務だと思う。」、「密告によって、何等罪の無い人の命が奪われたので在れば、故人で在ろうが、検証されるべきだと思う。又、過ちを犯さない為に。」といった意見が、そして反対派としては「密告者と特定された人の子孫存命だった場合、世界中からバッシングとかされる事を危惧する。」、「密告した側も、自分達家族が生きるか死ぬかの選択を迫られていた訳で、今の基準裁いたり・・・と言うか、評価するのは間違ってるのでは?」といった意見が在った。

実に難しい問題だ。「どういう状況で在れ、無辜の民を死に追い遣る切っ掛けを作った明々白々な証拠が在れば、故人だろうとも名指しすべき。」とは思う。「『こういう人で無しな行為をすれば、後世悪名を残す事になる。』という事が広く認識されれば、死刑制度と同様に“抑止力”になる。」という考えも在る。ナチス・ドイツは、何も悪い事はしていない。“アウシュビッツ”なんて100%捏造だ!」なんぞと、アレな主張をするが存在したりしているのだから、そういう意味でも、名指しは必要なのかも知れない。

一方、「密告者と特定された人の子孫が存命だった場合、世界中からバッシングとかされる事を危惧する。」という主張も、凄く理解出来る。「関ヶ原の戦いで裏切り行為をし、“裏切者の小早川”という悪名が400年を超えても消えない小早川秀明。」の様なケースも在る。其の末裔は、決して良い気持ちはしないだろう。況してやアンネ・フランクさんが亡くなったのは77年前の事で在り、名指しされた人物の末裔は(小早川秀秋の末裔と比べたら)非常に近い存在。世界中から猛バッシングされる可能性は高いと思う。又、「自分が全く同じ状況に置かれた場合、裏切り行為を絶対しない。」と断言出来る自信は無い。

第二次世界大戦中ドイツで、直接的にユダヤ人の虐殺を命じていたり、虐殺を実際に行っていた人物ならば、徹底的に追い詰め処罰”されるべきだし、其の過程で名指しもされるべきとは思う。でも、今回の場合で言えば、裏切り行為は働いたものの、直接的にフランク一家を殺した訳では無い。だからこそ、判断が難しい。自分の気持ちで言えば「賛成:2割、反対:8割」といった感じだ。

最後に、皆様にズバリ聞きます!今回の名指し、貴方はどう思われますか?


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6 コメント

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歴史か? (雫石鉄也)
2022-01-20 09:12:30
これは難しい問題ですね。ようは歴史か現代の犯罪かということです。77年前のことですね。77年前は現代だというのなら、くだんの人物はなんらかのお仕置きを加えれ必要があります。77年前が「歴史」だとするのなら、事実として歴史の教科書に、事実と名前を記すだけでいいでしょう。
犯罪行為かどうかで、立場が違えば大きく異なります。アメリカの軍人カーチス・ルメイは東京大空襲を企画した人物です。日本の一般市民を虐殺した犯罪者といえます。ところが戦後日本政府は航空自衛隊の創設に貢献があったとルメイに勲章を与えています。
どれぐらいの時間が経てば「歴史」になるのでしょう。ナチスがユダヤに行ったことが犯罪なら、アステカやインカを攻め滅ぼしたコルテスやピサロらスペイン人は大犯罪者です。メキシコやペルーの人たちはスペインを許せないはずです。
難しいですね。
Unknown (悠々遊)
2022-01-20 11:05:39
こんにちは
この件、冷静にありのままに歴史に留めるべき事実として扱うか、そこに感情まで持ち込むかで判断が分かれるでしょうね。
何が行われその結果何が起きたか明らかにし、次に同じことを繰り返さないよう教訓や抑止とするという意味で、仮名ではなく実名を記録するのは、後世に於いてデマや捏造ではないという証拠になるでしょう。
しかし犯罪者の家族親族にまで連座制を強いるような社会では、無用な軋轢を生みかねませんね。
第三者による無責任なバッシングという、第2の犯罪行為を生むネット社会ではなおさら。
私の考えでは、公文書では実名で記録し、マスコミ報道では仮名でもよかったのではないかと思います(日本における少年犯罪の取り扱いのような)。
割合でいえばiants-55さんと同じぐらいかな。

別件ですが本文の中で触れられているので・・・
死刑制度が犯罪の抑止力になっているとは思っていません。
死刑相当と判断されるような犯罪をする人は、心の病人だと最近の無差別犯罪の連鎖を見て、とみに強く思うようになりました。
心を病んだ人には死刑という厳罰は抑止力としては働かないでしょう。
「心神喪失や耗弱だから無罪」と主張するわけではありません。現に犯罪行為で被害者がいるのに「無罪」はあり得ませんからね。
「罪と罰」の1択ではなく、「罪と罰または治療」の2択にするべきとの主張です。
「死刑」を求めて犯罪を行うような人に必要なのは、罰ではなく心の治療の方です。
社会から隔離したうえで専門家が治療を行い、「完全に治癒した」と厳格に判断できるまで(おそらく完全治癒は不可能に近いでしょう)、社会復帰させない(ある意味、終身刑)というのが妥当ではないかと。
苛烈な被害者感情思えば「加害者が生きて同じ空気を吸っていることさえ我慢ならない」という感情は痛いほどわかります。
私が被害者家族になったとしたら、同じ思いを抱くかもしれないから。
わかったうえで「死刑で犯人が抹殺されても犯罪被害という傷が癒えることはない」被害者に対しても心の治療を継続し、緩和に努めるような制度が必要ではないかと思うのですよねえ。
>雫石鉄也様 (giants-55)
2022-01-20 15:36:52
書き込み有り難う御座いました。

其の出来事が起こったのを“現代”とするか、又は”歴史(の世界)”とするかで、判断が異なる。そういう面は在りますね。77年前というのは、そういう意味でも非常に微妙。

又、“死に到らしめられた人物”が、自身の“身内”で在るか否かも、大きく関わって来るでしょう。自分の身内で在ったならば、77年という年数は、そう遠くは無く、“(間接的な)加害者”を許せないだろうし。
>悠々遊様 (giants-55)
2022-01-20 15:53:22
書き込み有り難う御座いました。

“昔”と“今”では、世の中の環境が大きく異なる。加害者はともかくとして、加害者の家族に対するバッシングに付いても、ネットが普及する以前よりも、遥かに根深く、そして長期間に亘って行われる。此れは被害者に対する興味本位の触れ方も同様でしょうが、そういう時代の違いというのは考慮されるべきでしょう。

又、死刑制度に関して、自分と悠々遊様の間には大きな隔たりが在る。でも、其れは過去に何度か触れた様に。当然だと思うんです。どういう理由で在れ、「人が人を殺す。」というのは重きを置かれるべきで在り、死刑も例外では無いからです。

死刑制度に自分が賛成なのは、どうしても「自分が被害者(又は被害者家族)の側になった時の事。」を考えてしまうからです。理不尽且つ残忍な形で命を奪われたとしたら、どうしても加害者には「死」で以て償って欲しい。又、死刑制度に“一定の抑止力”が在るとも思っています。

でも、悠々遊様が書かれている様に、近年、「死刑制度=重大犯罪の抑止力には、必ずしも成り得ていない。」という現実も在りますね。先日の「東大前刺傷事件」の犯人が、「東大に入って医者になりたかったけれど、成績が落ちて来て、悩んでいた。人を刺して、其の罪悪感から割腹自殺を図ろうと思った。」と動機を述べているとか。「人を殺害して、死刑になりたかった。」という動機を語る犯人も結構居り、(自殺自体には反対の立場を取っているものの)「死にたいなら、人を巻き込まずに、勝手に自分で死ねよ。」と思ってしまう。「自分1人では死ねない。誰かの力を以て、死なせて貰いたい。」というので在れば、“構ってちゃん”的な感じが在って、「何だかなあ・・・。」と思ってしまう。そういう連中にとっては、死刑制度は抑止力が無いのでしょうね。

“心を病んだ人”が存在する一方、“心を病んだ振りをして罰を逃れ様とする(としか思えない)人”や、そういうアドヴァイスをする弁護士が存在する。そういう現実も在るので、個人的には「心を病んだ犯罪者には、治療を施すべき。」という考え方に、正直抵抗が在ったりもします。
密告者も被害者 (Kei)
2022-01-20 21:58:15
今回の名指しについて、私の個人的な考えを述べますと、100%「反対」です。その理由はいくつかあります。
その1、まず今回の調査、アンネ・フランク一家だけに限定されているようですが、第二次大戦中、同じように密告されて収容所に送られ命を落とした人は、フランク一家に限らず、膨大な数に上るはずです。密告した人を特定するのなら、そうして命を落とした多くの人たちに関しても個別に調査しないと不公平ではないでしょうか。アンネ・フランクが世界的に有名になったから、フランク一家だけについてのみ徹底的に調査するというのはどうかと思います。有名だろうと無名だろうと、そこは公平にすべきだと思います。
そもそも>フランク一家を裏切った可能性が「極めて高い」、だけで具体的に実名を晒すというのも乱暴です。「冤罪」だったら調査チームはどう責任を取るのでしょうか。
その2、例えば、「密告しなければ、お前の家族にも危害が及ぶぞ、どっちを取る?」と脅されたら、誰だって他人の家族より、自分の家族を守る方を選ぶでしょう。
密告した人にだって、苦渋の思いがあったはずです。もしかしたら、戦後もずっと密告した事を悔やんで贖罪意識に苛まれ、生きて来たかも知れません。ある意味では密告者も又、被害者だと言えるでしょう。糾弾するのなら、こんな卑劣で理不尽な事を強制したナチスの権力者に対してではないでしょうか。進んで密告した人を除いては、私はその人たちに同情したくなります。部外者だから無責任な事を言えるのであって、もし自分がその場に置かれたなら、果たして家族を危険な目に遭わせてまで、密告を拒否出来るでしょうか。

これに関しては、私は戦後の1950年代、アメリカ・ハリウッドで吹き荒れた“赤狩り”を思い出します。
戦後、アメリカでは共産主義台頭に対する脅威、不安が広がり、米下院非米活動委員会は共産主義者と思われる人物を召喚し、転向を迫りました。そして転向した証拠として共産主義者の仲間の名前を密告せよと強制します。中には密告証言を拒否した人たちもいましたが、その為に投獄されたり、ハリウッドを追放されて仕事の場を奪われた人もいました。
密告した人で有名なのは、「エデンの東」で知られる名匠エリア・カザンで、カザンは元共産党員でしたが、今はそうではないと主張し、共産主義者の嫌疑を否定するために司法取引し、共産主義思想の疑いのある者として友人の劇作家・演出家・映画監督・俳優ら11人の名前を同委員会に密告しました。そのおかげでカザンはハリウッドで映画を撮る事を許され、多くの名作を発表しました。賛否いろいろあるでしょうが、生きる為、映画を撮り続ける為、これはやむを得なかった面もあると思います。密告を拒否していたら、「エデンの東」や「波止場」「草原の輝き」等の名作は誕生しなかったでしょうから。
証言を拒否してハリウッドで実名で仕事が出来なくなった人で有名なのは、脚本家のダルトン・トランボですが、彼は密告した人を責めませんでした。彼は後に、「この問題に勝者も敗者もいない。いるのは犠牲者だけだ」と語っています。密告した人もまた“犠牲者”だったと言いたかったのです。これについて詳しくは拙ブログ
http://otanocinema.cocolog-nifty.com/blog/2016/07/post-251b.htm
を参照いただければ幸いです。
>Kei様 (giants-55)
2022-01-21 01:41:54
書き込み有り難う御座いました。

今回の研究チームによる“特定”、「可能性が極めて高い。」という事ですが、踏み込んで言えば“絶対的な証拠”が在る訳では無いだろうし、其れが危うさを感じます。

又、Kei様が書かれておられる様に、密告されて命を落とした者は、フランク一家だけでは無いのも確かでしょう。結果的にアンネ・フランクさんが有名だからこそ、彼女の一家だけに調査グループが組まれた訳で、「密告をした事により、被密告者が命を落とした。」というのを批判するので在れば、密告者全てを調査対象にすべきで、其れは実際問題として不可能。そういう“片手落ちな点”でも、実名を挙げての報告というのは問題が在るでしょうね。

ハリウッドの赤狩りに関しても、責められるべきは「自らの充足の為、赤狩りを強いた“権力者。」で在り、率先して密告をしたケースで無ければ、責任を問うのは厳しい。

とは言え、戦時中の我が国で、結果的に「率先して“密告”をしていた集団の“隣組”。」というのが存在していた訳で、そういう意味では「雰囲気に流されず、是々非々で自らの頭で考えて判断する癖。」というのを、我々は留意しないといけないでしょうね。

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