ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「ミステリー・アリーナ」

2016年04月25日 | 書籍関連

*********************************

全編伏線とも言える「閉ざされた館の不可解な連続殺人」の真相を見抜く。早い者勝ち、「真相」が判れば何時でも、解答可能の争奪戦。勿論、“貴方”も参加OK。強豪達が次々退場していく中、其の裏で、何かが始まっていた・・・。

*********************************

 

2016本格ミステリ・ベスト10【国内編】」では1位、「2015週刊文春ミステリーベスト10【国内編】」では4位、そして「このミステリーがすごい!2016年版【国内編】」では6位に選ばれた小説ミステリー・アリーナ」(著者深水黎一郎氏)。

 

TV番組『ミステリー・アリーナ』内で出題される1つのミステリーを、解答者として呼ばれた14人のミステリー・オタクが謎解きする。彼等が答えを出せるのは其れ其れ1回だけ。1つのミステリーが“仕立て”で紹介されて行き、章と章の合間には、スタジオでの司会者と解答者達との遣り取りが入る。其の遣り取りの中で解答者達は答えを出す機会が与えられるのが、一番早く且つ正確に、真犯人及びトリックを答えられた1人だけが、賞金20億を総取り出来る。」という設定。

 

ミステリー・オタク達だけに、其の答えはミステリーに良く在るパターン踏まえ重箱の隅を楊枝で穿った物許り。「そんな馬鹿な。」と思ってしまう様な指摘でも、其の理由を読むと、「其処深読みしているのか・・・。」と感心。

 

伏線の敷き方が尋常では無いし、“日本語奥行きの深さ”を痛感させられる内容。「男性言葉で話していたけれど、実は女性。」といった読者を誤解させるテクニックは、ミステリーで良く使われるけれど、そういったテクニックが“日本語の奥行きの深さ”を利用して、次から次へと登場。一部ネタバレになってしまうけれど、例えば「彼は、ベッドの上で冷たくなっていた。」という記述が在れば、多くの人は「彼はベッドの上で“亡くなっていた”。」と理解するだろう。でも、「彼は、ベッドの上で冷たい態度を取った。」という、変化球解釈”も、日本語では出来たりする訳で、思わず唸ってしまう。

 

此の小説を一言で言えば、実に馬鹿馬鹿しい。でも、馬鹿馬鹿しいというのは悪い意味では無く、良い意味でだ。日本語の奥行き深さを堪能出来る点だけでも、一読の価値在り。

 

総合評価は星4つ


コメント    この記事についてブログを書く
« そういう言動が受ける時代 | トップ | 「カエルの楽園」 »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。