ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「Killers」

2016年07月30日 | 書籍関連

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2020年東京五輪に向けて再開発が進む渋谷区アパートで、老人の他殺体が発見され、嘗て名家の人間だった事が判明する。一体此の男は何者なのか?

 

50年、3世代亘るKillers(殺人者)」の系譜と、追う者達、そして重なり合う渋谷という街の歴史

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堂場瞬一氏の小説「Killers」。1961年、に十字の傷が刻まれた死体が見付かって以降、2001年に到る、同様の手口の殺人事件が多発。全てが渋谷区で起こり、同一人物の犯行と思われたが、犯人は捕まらないだった。そんな中、犯人として有力視されるも、其の行方が全く掴めなかった男性が、惨殺死体となった発見される。

 

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シリアル・キラー:殺害行為を主目的に行う犯罪者。或る程度の間隔を置いて、犯行を繰り返す。

 

スプリー・キラー:短期間の内に、複数の場所で殺人を行う犯人。

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先日発生した「相模原障害者施設殺傷事件」の犯人は、スプリー・キラーという事になろう。「重複障害者なくなる事で、国家的に経済的な負担が軽くなる。」というのが犯行動機らしいが、何の罪も無い障害者達を殺傷した彼は、鬼畜以外の何者でも無いし、強い憤り覚える。「障害者=無駄な存在」という思考は、ナチス・ドイツ其れと同一。多様性一切認めず、異論を排除し様とする風潮は世界的に強まっている様に感じるが、我が国でも安倍政権発足以降、そういった風潮は酷くなっている。だから、今回の様な事件は起こるべくして起こったという気もするし、今後も同種の事件が起こる可能性は低く無い。

 

「Killers」に登場するのは、「老人=無意味な存在」として50年に亘って殺害を繰り返す人間。彼の場合はシリアル・キラーに分類されるのだろうが、歪んだ思考で人間を選別し、無駄な存在と判断した者を殺害するというのは、「自身がで在る。」と思い上がりの点で、「相模原障害者施設殺傷事件」の犯人と同じだ。

 

ストーリーとしては、御都合主義的な部分が目立つ。多少の御都合主義なら看過出来ても、こうも多いと興醒めしてしまう。後味の悪い結末も、人によって好みが分かれる所だろう。自分としては、好きな結末では無い。

 

総合評価は、星2つ


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2 コメント

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こんにちは。 ()
2016-07-30 10:15:08
人は自分に関係のある場所や事物に対して愛着を抱くものだと思いますが、それは、家族を守るとか、地域の一部を担うといったような、義務に帰せられると思います。ですが、犯人は、権利の主張だけが、肥大化して、エゴとなって発散されるという、真に許し難い、行動だと思います。

行動を観て、人は、他者を判断すると思いますが、彼の主張は国家のルーティンとは何の関係もありません。むしろ障害者とは、健常者に理解されて、依存するところがあったとしても、自守とか、社会人としての常識はあるのであって、障害上、どうしても出来ない事があって、それに対してのみ、庇護してあげれば良い、と思います。
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>隆様 (giants-55)
2016-07-30 12:14:18
書き込み有難う御座いました。

「自分よりも弱い立場の存在を慈しむ。」というのでは無く、「自分よりも弱い立場の存在を叩く事で、自分の存在意義をアピールする。」という風潮が強くなっているのは、本当に残念な事。功罪は在りますが、此の点はネットの「罪」の部分かもしれません。

弱い立場だからといって、過度に“アンタッチャブルな意識”を持ってしまうと、其れは逆差別になってしまうし、「障害上どうしても出来ない事に対してのみ、庇護する。」というのは、自分も同感です。

「自分が弱い立場に置かれたら。」という想像力が働かない。思考力や想像力の低下及び欠如は、決して若い人達だけの問題では無く、老若男女を問わずに存在する問題だと思います。
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