ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「任侠浴場」

2018年10月25日 | 書籍関連

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東京と或る町に事務所を構えるヤクザの親分・阿岐本雄蔵(あきもと ゆうぞう)は、困った人をほっとけない上、文化事業好きな性格が困り物其の所為で組員達は、此れ出版社高校病院等の経営再建携わる羽目に成って来た。今度の舞台は赤坂路地裏に在る古び銭湯

 

世の中どんどん世知辛く成って、ヤクザ稼業も楽じゃないが、阿岐本、代貸・日村誠司(ひむら せいじ)を始めとした個性的な面々は、銭湯に御客を取り戻す事が出来るのか!?

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今野敏氏の「阿岐本組任侠シリーズ」は、明晰な頭脳と人を見る目を持ち、人情味溢れる阿岐本雄蔵と、其の子分達を描いた作品。阿岐本は「阿岐本組」の組長だが、困っている人が居るとほってはおけない性格。此れ迄、傾いた組織の経営再建に次々と当たり、立て直しに成功して来た。心配性の代貸・日村は其の都度「大丈夫なのだろうか?」と不安を感じるも、尊敬する阿岐本の指示に従って来たが、他の子分達は“本業以外の仕事”を楽しんでいる様だ。

 

そんな「阿岐本組任侠シリーズ」の第4弾が、今回読んだ「任侠浴場」。阿岐本達が立て直すのは、赤坂の古びた銭湯。

 

公衆浴場法」によると、公衆浴場「普通公衆浴場」と「其の他の公衆浴場」に分けられ、前者は「銭湯」と呼ばれる施設、そして後者は「スーパー銭湯」、「サウナ風呂」、「健康ランド」と呼ばれる施設。普通公衆浴場と其の他の公衆浴場との大きな違いは“物価統制令適用有無”で、適用される普通公衆浴場の場合は、入浴料金が定められている。だから、銭湯の入浴料金は一律で在るのに対して、スーパー銭湯等は一律では無い。

 

1965年頃、日本には約2万2千軒の銭湯が存在していたそうだ。自分も子供の頃、た1度だけだが銭湯に行った事が在る。然し内風呂普及(昔は、風呂が無い家が結構在った。)によって客が減った事に加え、燃料代の高騰等から、銭湯は激減。5年前の段階では約5,200軒と、全盛期の4分の1以下になっている。

 

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銭湯の固定資産税は、3分の2が免除される。

銭湯には、地方自治体から補助金が出る。補助金は、光熱費人件費だけで無く、施設の修繕費としても使える。

銭湯は、実質的に水道代が。(元々水道料金が特別枠で格安の上、減免措置が在る為。)

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「銭湯の入浴料金はスーパー銭湯等と比べると安い上、客も減っている。全盛期と比べると激減しているけれど、無くならないのは何故なのだろう?」と疑問に思っていたが、「任侠浴場」にて様々な優遇措置が銭湯に取られているのを知った。こういう優遇措置が無ければ、銭湯は絶滅していた事だろう。

 

銭湯に関する蘊蓄の数々も然る事乍ら銭湯は、公衆道徳を学ぶ場でも在った。というのは興味深かった。

 

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「世の中には決め事があるんだ。まあ、難しく考えるこたあないよ。要するにエチケットだ。ガキの頃から銭湯に行ってると、自然と大人たちの振る舞いからエチケットを学ぶことになる。湯船に入る前には体を洗うとか、湯に手ぬぐいを浸けちゃいけないとか、頭や体を洗うときに、石鹸や湯を飛び散らかしちゃいけないとか。風呂椅子や洗面器は、次の人のためにちゃんと片づけておくとか・・・。他人様と一緒に風呂に入るには、いろいろと約束事が必要で、それがつまり公衆道徳ってやつなんだ。」。

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子供の頃、年下の従兄弟達が我が家に遊びに来た際、一緒に風呂に入った事が在る。自分は先に風呂場に入り、体を洗って湯船に浸かっていたのだが、後から入って来た従兄弟達は体を洗う事無く、湯船に入ろうとしたので、慌てて止めた。「御尻等を洗ってから(湯船に)入らないと、汚いだろ。」と注意したが、今一つぴんと来なかった様だ。

 

昔とは違い、内湯が普通の時代。自分は物心が付いた頃から、父親と一緒に内風呂に入っていたので、「湯船に入る前に、きちんと体を洗う事。」等の公衆道徳を父親から学んでいたが、の従兄弟達は“子供だけでの入浴習慣”だった為、学ぶ機会が無かったのだろう。銭湯が普通の時代には、周りの大人達の振る舞いから、自然と学べたのだろうが。

 

人情物で、読後ほんわかとした気持ちになった。総合評価は、星4つとする。

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