ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「どろろ」

2007年02月05日 | 映画関連
タイガースの新外国人選手ライアン・ボーグルソン投手の記事が載っていた。何でも投球の度に「ガウウッ!」、「グハッ!」、「ゲハッ!」等と雄叫びを上げるという、松岡修造ばりにウザイ・・・では無く、熱い男の様だ。外見はイケメンなれど、本人曰く「気持ちを入れて普段から投げているんだ。路上や部屋に居る時とは違うんだ。マウンドではマッド(狂気)になるから。」という事で、エビ投げハイジャンプ魔球を打ち砕いたウルフチーフの如き野獣ぶりを見せてくれないかと今から楽しみ。古くは”クレイジー・ライト”ことクライド・ライト投手、割合最近では”ベロ出し投球”のバルビーノ・ガルベス投手等、我がジャイアンツにも嘗ては猛者と呼べる外国人選手が居たのだが・・・。

話はがらっと変わるが、その製作を知って以降、完成するのが待ち遠しくてならなかった映画「どろろ」を観て来た。敬愛して止まない手塚治虫氏の代表作の一つで在り、長らく実写化が検討され続けて来た作品だ。

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遥かに昔なのか、はたまた遠い未来なのか、その時代は定かで無い。極東の地に在るその国では、数十年来に及ぶ戦乱の世に終止符を打とうとした武将・醍醐景光(中井貴一氏)が、天下統一の野望を果たす可く、恐ろしい”契約”を取り交わした。これから生まれて来る我が子を四十八体の魔物達に捧げる代わりに、強大な力を与えて貰うという契約。

やがて生まれて来た男の子は目、耳、口、手、足はおろか、五臓六腑に到る迄、在りと在らゆる身体の部位を魔物達に奪い取られた姿。「我が子を育て上げたい。」という母・百合(原田美枝子さん)の嘆願も虚しく、景光の厳命によって赤ん坊は”呪われた子”として捨てられてしまう。それから20年の月日が経ち・・・。

或る日、男装の野盗どろろ柴咲コウさん)は百鬼丸(妻夫木聡氏)*1なる侍と出逢う。彼は捨てられた景光の子で在り、呪医師・寿海(原田芳雄氏)から”造り出された”仮の肉体を与えられていたのだった。

運命に導かれるままに、己が肉体を奪い取った魔物達を討ち果たして行く百鬼丸。魔物を討ち果たす毎に、彼は仮の肉体を失い、同時にその魔物が奪い取っていた真の我が身を取り戻して行く。やがて彼は、実父が残忍な統治者・醍醐景光で在る事を知る。そしてその景光は、百鬼丸に恋心を持ち始めていたどろろにとって、自らの父親を惨殺した憎き仇でも在った・・・。
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漫画「どろろ」が、長らく実写化を検討されながらもその実現に到っていなかった最大の理由に、やはり主人公の百鬼丸の肉体が欠落しているというのが在ったと思う。魔物を討ち果たした事で義眼がポロッと取れ、それ迄”眼”が存していた部分がとなり、やがて真の眼が蘇って来るという描写等には、差別問題を持ち出されて糾弾される懸念が頭を過ったのではなかろうか。(漫画をきちんと読んで貰えば、その根底には差別される側の哀しみと、差別する側の愚かしさという物が在る事に気付いて戴けると思うのだが。)その辺の描写はCGによって、出来得る限り不快感を与えない様に描かれていたと思う。

手塚氏の代表作の一つ「火の鳥」が、四半世紀以上前に市川崑監督の手によって実写化(一部アニメを使用。)された際、実際に映画館に足を運んで観た。大好きな手塚作品の実写化、それもその映像美を愛して止まない市川監督が担当したという事でかなりの期待を以って臨んだのだが、残念ながら「これは酷い。」と唸るしかない代物だった。*2この例を待たず、概して漫画やアニメを実写化した場合、その酷さにガッカリさせられるもの。最近で言えば、「CASSHERN(キャシャーン)」や「キューティーハニー」等がそうだ。だからこの作品にも「相当しっちゃかめっちゃかな内容にされてしまっているのではないだろうか。」という懸念を持っていたのだが、まあ観られる内容だった事には一安心。

原作では室町時代末期の日本という設定だったが、映画ではその辺をぼやかして一部無国籍風の描かれ方が為され、それが結果的には作品に”広がり”を与えていた。

「琵琶法師役の中村嘉葎雄氏の台詞が聞き取り難かった。」、「読者がずっと男の子とばかり思っていたどろろが、終盤に実は女性というどんでん返しが原作の魅力だったのに、映画では早い段階で女性と明らかにされていた。」等、不満も少なからず在る。特に、実生活では結婚を噂されている妻夫木氏&柴咲さんがコンビを組んでいた事で、原作の「百鬼丸&どろろのユニセックス的恋愛関係」というものでは無く、男女の恋愛関係というやや生々しさを伴った目でどうしても見てしまった。どろろは神木隆之介君なんかが適役だった様に思うが・・・。

又、未完に終わった原作と同じく、映画も四十八体の魔物の半分を討ち取った所で終わっているのも残念。何とか映画で”完結編”を見せて欲しかったのだが、この辺は「好評だったら続編を製作しよう。」という東宝助平心が在るのだろうか?

総合評価は、「まあまあ合格点かな。」といった感じの星3つとしたい。

*1 妻夫木氏、同性で在りながら見惚れてしまう程の美しさ。容姿端麗な役者は他にも居るが、同性から嫌悪感を持たれないキャラクターも兼ね備えているというのは、そんなに多くは居ないだろう。こういう役者は先ず大成する。

*2 やはり手塚氏の作品「ブラック・ジャック」を実写化した「瞳の中の訪問者」という映画が在ったが、これもかなり”痛い”代物だった。ブラック・ジャックを演じる宍戸錠氏のメーキャップが・・・。

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4 コメント

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柴崎コウさんがかわいい (マヌケ)
2007-02-05 12:47:43
キャシャーンはマッハGoGoGoを始めて見た時に感じた外国アニメのようなばたくささが大好きでした。 人間を収容所に送りナチスを思わせる圧倒的に強いロボット軍団と勝ち目のないレジスタンスというヨーロッパ的な空気がプンプンしていました。 そんなテイストが全く消えうせ、グロく毒々しい映像にデフォルメされ改造人間という部分にばかりスポットがあてられていましたね。 ストーリーもつまらなかった。 今回のどろろは白黒で見たあのころの怖さやおどろおどろしさがありませんでした。 大人なんだから当たり前なんですけど。 トイレに行けないくらい怖かったあのインパクトもちょっと滑稽なくらいのアクションにとって変わられたという感じですね。 ただ、原作や昔のアニメを知らない世代にはストーリーや映像もなかなかのエンタだったのではないでしょうか。 子供も喜びます。 私も3点くらいです。
あっ、それから「GO」で柴崎コウさんのファンになりました。 ツンとしたところがかわいいです。 ふくれっ面が似合う女優さんだなあと思います。 
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>マヌケ様 (giants-55)
2007-02-05 21:16:47
書き込み有難うございました。

バタ臭いと言いますか、無国籍風のアニメと言いますと、「新造人間キャシャーン」(このタイトル、数年前迄ずっと「”人”造人間キャシャーン」とばかり思っていました。)や「マッハGoGoGo」(奇しくも共にタツノコプロ製作ですが。)の他に、「黄金バット」や「妖怪人間ベム」(この2作品は韓国の放送局が製作したものとか。)等が思い浮かびます。海外というのが今程身近では無かった頃のアニメですので、あの無国籍タッチがとても新鮮でした。

映画「CASSHERN」の駄目さ加減に関しては、マヌケ様の御指摘に全く同感。監督自身が持つ映像美の意識が前面に出過ぎて、マスターベーション的な作品になってしまっていた様に思います。

アニメの「どろろ」は、2話分を上映会で観た事が在ります。最近のホラー映画には無い、アニメならではのおどろおどろしさを自分も感じました。

柴崎コウさんは、あの目が良いなあと思います。昔から目が”自己主張”している女性が好きなんです。
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どろろ (帆印)
2007-02-06 23:49:02
この歌も知ってる俺は古いのだろうか。
アニメの歌が妙にすんなり出るね。
ホゲホゲタラタラホゲタラポン♪
お前らみんなホゲタラだ♪
(略)
赤い夕日に照り映えて 燃える鎧に燃える馬 ♪
分け判んない歌詞ばっかだが、最後の夕日のところは妙に情景が出たね。
白黒漫画だったが、赤い夕日色が妙に焼きついた。

http://www.youtube.com/watch?v=07cyiNcvMYY

最近のはミスチルらしいが、こっちのほうがいいと思う俺は、まったくもって親父ですな。
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初日に見に行きました (所長補佐)
2007-02-13 15:29:50
こんにちは。

私も手塚作品は好きなのですが、実写ではことごとく裏切られ(というよりたぶん映像化が難しいのでしょうね)ているので、今回もどきどきでしたが、妻夫木君が見たくて初日に行きました。

コウさんの演技は悪くなかったけれど、どうしてもどろろには子供(もしくは小柄)のイメージがついていて、少しミスマッチなかんじがしました。
頭のどこかで「この二人つきあってるしな・・」と思ってしまうし(笑)

でも、全体的に芸達者が多くて、原田芳雄さんや土屋アンナさんの怪演も個人的にはよかったです。
もう一度、二本立てくらいの映画館でみたいな。

妻夫木君きれいでしたね
今後の活躍を期待します。
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