ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「保健室の先生は迷探偵!?」

2013年06月23日 | 書籍関連

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進学校に生まれ変わった私立高校・山瀬学園で、悪質な悪戯事件が発生する。女性教師・柴田明子(しばた あきこ)の惨殺死体を描いた油絵が、廊下に飾られたのだ。校長・大池晋作(おおいけ しんさく)からの特命で、養護教諭茂木遙(もぎ はるか)は美術教師の椎名巧(しいな たくみ)と共に、「殺人画」を描いた犯人を捜す事になる。

 

遙は遣る気の無い椎名に辟易乍らも、極秘に調査を続けるが、軈て第2の「殺人画」が飾られ、事件は思わぬ展開を辿る。犯人は生徒なのか?犯行の真の動機とは?

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第10回(2011年)「『このミステリーがすごい!』大賞」で1次選考通過作となるも、最終候補作には残れなかった小説が、“隠し玉”として上梓された。最終候補作に残れなかった小説の上梓というのは、異例中の異例と言える。其の小説のタイトルは「保健室の先生は迷探偵!?」だ。

 

「探偵」という用語が使われているものの、「殺人事件」が扱われている訳では無い。「殺人画」を描き、そして校内に飾った“犯人”を、2人の教師が捜し出すというのが、此の小説のストーリー。正義感に溢れる、熱い擁護教諭の茂木遥が、タイトルに使われている「保健室の先生」。そして、もう1人が美術教師の椎名巧なのだが、此の男が絵に描いた様な“でもしか教師”。同僚達のみならず、生徒にも関心を寄せず、行う授業は極めて好い加減。時間にルーズで、責任を負わされる事を疎み、校長から依頼された“捜査”も全て遥に丸投げする有り様

 

・・・と書くと、遥が探偵としてどんどん謎を解いて行くという展開を思い浮かべられるだろうが、実は探偵として謎を解き明かすのは椎名なのだから面白い。「遥が正義感に溢れ、必要以上に熱くなってしまう理由。」や「椎名の本当の姿。」が彼等の“過去”に在る事が次々に明らかになって行き、読み手はそんな彼等に感情移入させられて行く事だろう。

 

ライトノベルといった感じで、サクサク読み進められる。本格的なミステリーを好む方には御薦め出来ないが、少なくとも先日紹介させて貰った「Sのための覚え書き かごめ荘連続殺人事件」よりは遥かに面白かった。第10回(2011年)「『このミステリーがすごい!』大賞」で「Sのための覚え書き かごめ荘連続殺人事件」は最終候補作に残り、「保健室の先生は迷探偵!?」は最終候補作に残れなかったというのが、全く理解出来ない。

 

総合評価は、星3つとする。


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