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・富豪の家で、“無人だった”筈の部屋から発見された長男の首吊り死体の謎。(「風祭(かざまつり)警部の帰還」)
・鍵の掛かった土蔵で見付かった、骨董品好きの老人の遺体と血文字のダイイング・メッセージの謎。(「血文字は密室の中」)
・雑居ビルの裏で発見された墜落死体と、其のポケットに入っていた血の付いたナイフの謎。(「墜落死体はどこから」)
・シェアハウスで殺された看護師と5つの目覚まし時計の謎。(「五つの目覚まし時計」)
・アパートで殺害されたイケメン大学生と建設作業員が“煙草を吸う間に”見た怪しい男の謎。(「煙草二本分のアリバイ」)
執事探偵・影山(かげやま)の推理と毒舌が冴え渡る。
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東川篤哉氏の推理小説「新 謎解きはディナーのあとで」は、「『謎解きはディナーのあとで』シリーズ」の第5弾。「東京都国立市を舞台に、世界的な企業グループの令嬢で、新人刑事の宝生麗子(ほうしょう れいこ)が遭遇した難解な事件を、彼女の執事・影山が、現場を見ずとも概要を聞いただけで事件を推理し、解決に導いて行く。」というのが「『謎解きはディナーのあとで』シリーズ」の内容で、TVドラマ化もされたので、御存知の方も多い事だろう。
東川作品と言えば、学生時代に好んで読み漁っていた赤川次郎氏の作品、即ち“ユーモア・ミステリー”と作風が似ている。今回の「新 謎解きはディナーのあとで」は、「全く的外れな推理を繰り返す風祭警部が警視庁に栄転するも、大きなミスを犯した事で国立署に舞い戻り、宝生麗子の上司に返り咲く。そして、麗子の後輩に新人の若宮愛里(わかみや あいり)が加わる。」という新展開で、5つの短編小説から構成されている。
トリック的に面白かったのは「風祭警部の帰還」。「五つの目覚まし時計」に付いては、少々判り難い部分が在った。残りの3作品に付いては、凡庸な内容。
総合評価は、星3つとする。