ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「ウツボカズラの甘い息」

2019年03月19日 | 書籍関連

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家事と育児に追われる高村文絵(たかむら ふみえ)は或る日、中学時代の同級生・杉浦加奈子(すぎむら かなこ)に再会。彼女から化粧品販売ビジネスに誘われ、大金と生き甲斐を手にしたが、鎌倉で起きた殺人事件の容疑者として突然逮捕されてしまう。無実を訴える文絵だが、鍵を握る加奈子が姿を消し、更に詐欺容疑重なって・・・。全ては文絵の虚言企みか?

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柚月裕子さんの小説ウツボカズラの甘い息」。「孤狼の血シリーズ」では硬質で、男性作家の様な文体の柚月さんだが、此の作品は全くそういう感じが無い。作品によって、“文体を含めた雰囲気”を変える。良い意味で、カメレオンの様な作家だ。

 

“主婦・高村文江”と“刑事・秦圭介(はた けいすけ)”という2人の視点で、話は進んで行く。文江は化粧品販売ビジネスに関わって行く過程、そして秦は1人の男が殺害された件を捜査する過程が、交互に描かれて行くのだが、最初は双方がどう繋がって行くのかが判らない。ストーリーの展開と共に、御互いの繋がりが明らかになって行き、「そういう事かあ。」と。

 

“文江の視点で描かれる世界”に違和感覚える部分が在ったのだけれど、或る意外な事実が明らかになった事で、其の違和感の理由に納得。又、真犯人の設定も「成る程。」と唸らされた。

 

・・・といった感じで、設定には面白みを感じたものの、「現実問題として、こういう設定は可能だろうか?」と考えた時、「絶対に無い。」とは言わないけれど、「非常に難しいだろうな。」という感じもする。そういう意味では、減点ポイントという感じが。柚月さんの力量を思えば、もう一捻り欲しい所だ。

 

総合評価は、星3つとする。


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