ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「線の波紋」

2011年01月29日 | 書籍関連
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「一つの事件が起こした波紋は、別の新しい事件を引き起こし、其の新しい事件が又波を立てる。波は当事者のみならず、周りの人々をも飲み込み、翻弄して行く。」

【第1話「談合」】
一人娘・真由が誘拐されて一ヶ月、安否の判らないまま、白石千賀は役場の仕事に復帰、溜め池工事の請負業者決定を控えていた。そんな千賀に掛かって来る「御宅の真由ちゃんが死体で発見されました。」という悪戯電話の主とは?


【第2話「追悼」】
真由ちゃん誘拐事件から2ヶ月後、同じ町内に住む24歳の会社員・鈴木航介が死体で発見された。同僚の久保和弘は其の1週間前、経理部員で在る航介から不正を指摘されていた。そして、航介の携帯に今も届くメールの中に衝撃的な一文を発見する。

【第3話「波紋」】
渡亜矢子は真由ちゃん事件の犯人を追っている刑事。無事に戻って来た幼児から証言を引き出すのは容易では無かったが、工夫を重ねて聞き出した犯人像に近い人物を捜し当て、遂に逮捕に漕ぎ着けるが・・・。

【第4話「再現」、「エピローグ」】
そして最終話、全てのエピソードが1つの線に成り、事件の背景に様々な「救い」が在った事を知る。
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週刊誌の書評欄で高評価を得ていた事も在り、長岡弘樹氏の小説「線の波紋」を手に取った。事前に梗概を目にしたので理解していたが、何の情報も無しに此の作品を読むと、恐らく第3話「波紋」の途中辺り迄は「4つの全く無関係な短編小説で構成された本なんだな。」と思う事だろう。

「一見全く無関係に思われる出来事や人物が、巨視的には密接にリンクしていた。」という作品スタイルは、以前に読んだ「乱反射」(著者:貫井徳郎氏)と相通じているが、「線の波紋」の場合はリンクの仕方にやや無理が在る。出来事のリンクは扨措いても、人物のリンクに御都合主義を強く感じてしまうから。或る女性が或る男性に恋してしまうという設定なんぞは、もっと“深掘り”しないと読み手に違和感を与えるだけだろう。

又、「事件の背景に様々な『救い』が在る。」というのも、今一つ上手く描き切れていない気がした。最後の最後、エピローグで示された或る事実も、判った様で良く判らない記述だし。

「高評価に値する作品なのかなあ?」という思いだけが残った。総合評価は星3つ

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