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日々の恐怖 6月8日 櫛

2014-06-08 18:51:30 | B,日々の恐怖



      日々の恐怖 6月8日 櫛



 ある営業所で取引先とトラぶって、その対処の応援として出張した際での出来事です。
 営業所の人と協力して、何とかトラブルの対処も終わり、その晩は営業所の人と慰労会兼お別れ会で酒を飲んで、大体9時半ごろ、宿泊先にしていたホテルに戻った。
営業所の人から、おおよその報告は行っているので、明日は、朝一で本社に戻って経緯の報告をすれば、この仕事も終わる。
明日は早くに出なければならないし、今までの疲れもあるので、部屋に戻ったら速攻でシャワーを浴びて寝ることにした。
 で、シャワーを浴び終わった後、髪形を整え歯を磨くため洗面台へ。
大抵、洗面台の鏡は、三面鏡です。
で、自分、子供の頃から両側の鏡を平行にして、無限に同じ光景が映っているのを見るのが妙に好きだったんです。
 その時も鏡を平行にして、無限に同じ光景が映っているのを見ていました。
今から考えれば、何故そんな事をしたのかは解らないのですが、髪形を整えるために使っていた串を握って、鏡の前で上下に振ってみたんです。
右にも左にも、無限に櫛が上下に振られている。
 で、それを何とはなしに見ていたのですが、あれっと思って左側の鏡を見てみた。
枚数はよく数えていなかったのですが、何枚か先に映っているのが、どう見て目ても櫛ではないんです。
 そこに映っていたのは、赤い血糊の着いたナイフ。
それが、私の動かす櫛と同じリズムで上下に動いている。
見間違えかと思ったが、そうではなかった、その何枚目かのもの以外は、すべて櫛なんです。
 心臓はバクバク言っていたが変に落ち着いていたのも事実で、右側を見てみると右側はすべて櫛だった。
再び左側をみると、やっぱり何枚目かだけの一つだけが、血糊の着いたナイフになっていて、そのナイフがこちらの櫛と同じ動きをしている。
 枚数は数えていなかったが、そのナイフが先程よりもこちらに近づいているような気もする。
その時点になって、急に恐怖が襲ってきた。
 あわてて鏡を元に戻し、ベッドへ。
洗面所から何かが出てきそうな恐怖にも襲われ、結局一睡もできず朝になった。
 当然、朝は洗面所にも行かずに、速攻でチェックアウト。
一睡もしていないせいで、かなりやつれた顔をしちたと思うが、上司は仕事の疲れと思ったのか、「御苦労さん」と労ってくれて、その日はもう帰っていいってことになった。
 家に戻っても、あの光景が頭から離れず、しばらくは洗面台で、まともに鏡も見れなかった。
でも、まあ、酔っていたし疲れと酔いで妙な幻覚か何かを見ただけかもしれない。
と、自分に言い聞かせて、なんとか自分を納得させようとした。
その甲斐あってか、一カ月もたつと生活も日常に戻って鏡も見れるようになった。
 で、大体3カ月も過ぎたころ、“とあるホテルで殺人事件”というニュースが流れた。
そのホテルは、お察しの通り私の泊まっていたあのホテルでした。
部屋は同じかどうかは不明ですけど・・・。














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