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日々の恐怖 10月13日 私の話(6)

2020-10-13 18:41:29 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 10月13日 私の話(6)




 その後、法要準備ができるまで、

「 なんでそんな事につきあう必要があるのか・・・・?」
「 そんなんで良くなるなら医者なんていらないだろう。」

と副住職と一緒に言っていたが、どんなことでも仕事は仕事なので準備を終えて祈祷を行った。
 で、お経を唱えていくうちに、御宝前に薄い靄の様な膜がかかっている事に気付いた。

“ あれは何だろう?
線香の煙にしては広がりすぎるし、臭いもしてこない・・・・・?”

と思っていたが、靄の中に僅かだけれども、半透明の着物を着た古い時代の女性が見えた。

“ うっそ~、さっきの話は本当なのかよ!”

と思いつつお経を唱えて祈祷を行うと、靄が晴れていつもの御宝前に戻った。
 祈祷を終え、控室に下がってくるや副住職と一緒に、

「 見たか御宝前?」
「 おお見た!」
「 あれは何だったんだ?」

と言い合っていると、住職がまたやってきて、

「 犬は息を吹き返したそうだ。」

と言ってきた。
 住職に、御宝前の女性を見たのか尋ねると、

「 そりゃ当然見えたさ。
大体本当に霊がとりついていないのなら、わざわざ祈祷なんてするわけないだろ。」

と、真面目な顔で返された。








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