大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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霧の狐道229

2009-05-24 18:42:48 | E,霧の狐道
俺は、お守りをヒラヒラした。

「 バカ言ってんじゃないよ。
 そんなもの怖い訳が無い。」
「 そうかなぁ~。」

俺は、さらにお守りをお揚げ婆さんの方に突き出してヒラヒラした。
 お揚げ婆さんは、身を引きながら突然言った。

「 おっ、そうじゃ。
 ちょっと急用を思い出した。」
「 急用って何だよう?」
「 急用は急用じゃ。
 すぐに帰らなければならないのじゃ。」
「 血が噴き出すってのは、どうなったんだよ?」
「 今日は、急用だからダメじゃ。
 明日、対策を考えてから、また、来るからな。」
「 対策って、何なんだよ?」
「 ええい、細かいことにウルサイガキじゃ。
 明日は、えらい事が起こるんじゃ。
 覚悟して、ビビッておれ!
 じゃ~な!」
「 おい、待てよ。」
「 何じゃ?」
「 もう、来なくていいぞ。」
「 だまらっしゃい!
 明日じゃ、明日!!
 わっ!!!」

お揚げ婆さんが床にひっくり返った。
ヘビ次郎がお揚げ婆さんを振り落とし、勝手に赤い円の中にスルスルと入って行ってしまったからだ。




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