日々の恐怖 6月15日 叔母(2)
その後、叔母は借金の件が片付き、正式に離婚をした。
そして、自分で部屋を借りて仕事を始め、良い人に出会い再婚した。
しかし、子供にも恵まれたが、夫に先立たれてしまった。
それで、叔母はその心労からか、自分も病気になってしまった。
その入院していた病院が、私の家から割と近くだったこともあり、時々見舞いに行っていたのだが、その日は珍しく化粧もしていて、
「 どうしたの?」
と聞くと、
「 今日、お客さんが来るから。」
と返事があった。
「 見舞い客?
新しい彼氏でもくるの?」
と冗談で言ったら、
「 そういうのじゃなくて・・・。」
と言葉を濁した後、
「 明日には、もう会えないと思うから・・・。」
と私に形見分けをしてくれた。
「 まさか死神でも来るの?」
とさらに冗談を言うと、
「 結構、それに近いかもね。」
と笑っていた。
その後、私は病院を出て自宅に帰った。
その数時間後、親父から叔母が息を引き取ったと連絡があった。
叔母には何が見えていたのか、もっとよく聞いておけばよかった、とちょっと後悔してる。
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