大洗駅に着きました。建物は外装のメンテナンス中でした。劇場版のエキシビジョンマッチにおける砲撃戦で被弾した箇所を修理中、などというイメージで楽しんでいるファンが居たようですが、それはどうかな、と考えたりしました。劇中では、駅前エリアでは追撃戦となって発砲も道路にダメージを与えていましたが、駅舎には当たっていないはずです。
それよりも、ダージリンのチャーチルが駅舎前の歩道から車道に斜めに降りるシーンがあって、歩道の端ブロックがかすり傷一つ出ていないのが笑えました。戦車が横切ったら、ブロックは間違いなく角が砕けるか、履帯跡が刻まれると思いますが・・・。
駅のホームに上がり、河嶋桃のパネルがあるのに気付きました。以前からこの位置だったかな、と記憶をまさぐりましたが、はっきりと思い出せませんでした。
8時42分発の列車がやってきました。これに乗って、新鉾田駅まで移動しました。
途中の徳宿駅です。以前にガルパン仲間二人とこの駅で語らって過ごしたことを思い出しました。
カバさんチームのパネルも健在でした。もはや一時的な設置物ではなくなっているようです。このままずっと並んでいるのでしょう。
9時4分に、新鉾田駅に着きました。アヒルさんチームのパネルも健在でした。
改札口に降りてゆくと、水戸のU氏夫妻が笑顔で待っていました。
「お早う、水戸の。美和さん。今日は宜しく頼みます」
「伯耆守、ござったな。元気そうで何より」
固い握手を交わすと、U氏の奥さんが「来ていただいて有り難うございます」とお辞儀してきました。彼女が、今回の大洗行きのメインテーマとなったこの日の歴史散策の提案者であったことは、前回訪問レポートの末尾にて述べた通りです。
「中世戦国期の在地土豪の城館と社寺の様相を、今回はここに勢力を張った烟田氏の事例にて勉強させていただける。しかも末裔の方に案内していただける。楽しみにこの日を待っておりましたよ」
「有り難うございます。近畿地方の戦国史に詳しい星野さんが、こちらの遺跡を見てどういう感想を話すんだろうかなーって、とっても楽しみにしてたんですよ」
U氏の奥さんは、鉾田市の出身で、実家も新鉾田駅の近くです。当地に戦国期まで歴史を刻んだ在地武士烟田氏の末裔の一人で、かつて京都の芸大で一緒に学んだ頃、先祖烟田氏の歴史と文化財をテーマにして論文を書いていました。それほどに先祖の歴史に誇りと愛着を持っているわけですが、反面、烟田氏を滅亡に追い込んだ佐竹氏に対しては敵意に近いものを抱いているところがあり、そのことは以前の訪問レポートにて少し触れました。
U氏は「家内は、その点がちょっと問題なんだよな」と事ある毎にこぼし、以前から「なんとかそういう歪んだ史観というか歴史的感情を是正出来んものかねえ」と私に話していたのでした。
それで、この時も小声で「伯耆守、何とか頼む」と耳打ちしてきたのでしたが、私は駅舎の外に意外なものを見つけて、気持ちがそちらへ吸い込まれてしまったのでした。
ガルパンラッピングバス4号車でした。以前にどこかでチラッと見かけた程度でしたので、停車した状態を間近に見るのは初めてのことでした。
「水戸の。ちょっと申し訳ない。あれを見て撮ってくる」
「ああ、あれか。あれもガルパンのバスだったのか」
U氏も奥さんも、水戸市内で走ってるガルパンバスじゃないなあ、と言いながら後についてきました。
確かにこの4号車は那珂湊営業所の所属ですが、運行路線は主に去年12月から新設された鉾田大洗線なので、水戸市方面へ運行されることはあまり無いそうです。行先表示も「大洗駅」になっていました。
そうか、大洗から鉾田方面へ行く手段として、このバスに乗るという選択肢もあったんだな、と気付きました。その路線は鉾田市域の東側を通りますので、鹿島臨海鉄道の駅からはなかなか行けない範囲へのアクセスが容易になります。この路線をバスで行くのも楽しそうです。
しかも、この4号車の主なデザインの一つが、三式中戦車チヌをバックにしたアリクイさんチームの面々です。リーダーのねこにゃーこと猫田は鉾田市出身という設定です。鉾田市特産のメロンもしっかりアピールしています。鉾田市域を走るバスに相応しい絵柄です。そういうのを、新鉾田駅のバス乗降場で見ると、本当にしっくりきて感動すら覚えます。
背面には、劇場版ポスターと同じ大洗チーム全員の集合図がありました。この図でもアリクイさんチームの面々が目立っているように感じられたのは、鉾田に居たからでしょうか。
出発時刻が近かったらしく、運転手さんが乗降口の脇で小休憩していました。挨拶してこの4号車の運行状況を教えていただきました。それによると、新鉾田駅から大洗駅までの区間を平均して三往復しているそうです。
それでは大洗駅にも駐機していることがあるのですか、と訊ねると、鉾田大洗線といってるが基本的には那珂湊までの運行なので、大洗駅は途中の停車のみで、そのまま那珂湊駅まで行く、との事でした。
そういえば、以前にこの4号車を見かけた場所は、那珂湊駅の営業所のバス駐機場でありました。 (続く)