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悪魔はふたたび(ウルトラマン第19話)

2009-03-19 00:00:43 | 特撮:ウルトラマン
 市川大河さんのブログ「光の国から愛をこめて」からのスピンオフ企画、「光の国の物語」でのオタクイーンさんの作品に触発され、『ウルトラマン』がマイブームになっています。
ん~、やっぱり『ウルトラマン』はおもしろい!(^o^)/
 

●「悪魔はふたたび」昭和41年11月20日放映 青色発泡怪獣アボラス、赤色火炎怪獣バニラ登場
 制作第18話 放映第19話 脚本:山田正弘、南川竜 監督:野長瀬三摩地

 野長瀬三摩地監督も2回目のローテーションです。山田正弘氏の脚本を担当することが多い野長瀬監督ですが、番組の方向性や方法論も確立してきて、本格的な怪獣大暴れエピソードとなっています。
 クライマックスの舞台は、東京オリンピックの印象がまだ強かった「国立競技場」です。クレジットにはありませんが、このシーンの特撮を担当したのは円谷英二氏です

 福田善之さんが、宇宙考古学の権威・福山博士として出演されています。私は福田さんの暗い話し方が苦手‥‥。それだけで怖くて、ただならぬ雰囲気を感じてしまいます。
 福田さんは第22話「地上破壊工作」にも同じ役で出演されています。同じ役者さんが同じ役名で登場するのは珍しいです。今回は岩本博士でさえも撃ったことがないスーパーガンを撃ち、前線に立って活躍するのが、私にはちょっと違和感があります。

 よく指摘されていることですが、「3億5千年前=300,005,000年前」というのはおかしな数字です。セリフとして言いやすいように「3億5千万年前」から変更されたものだと私は思うのですが‥‥。

 ビル建設現場から発見されたアボラスのカプセルは、1/1の造形物が作られています。一方のバニラのカプセルの方はミニチュアが使われています。ダンプカーの土砂といっしょに落とされるシーンでは、土塊や草と比べるとその大きさがわかります。(ダンプカーの荷台に載せられて運ばれているシーンがあるので、もしかしたら1/1も作られたのかも‥‥。)

 イデ:やっぱり、頭のいる仕事は私ですネ。
 アラシ:チクショ~!
 キャップ:イデ。張り切るのはイイが、福山博士のジャマをするなヨ。
イデとアラシの凸凹コンビぶりと、それを一言で戒めるオチがナイスです(^o^) このあとバニラが出現した時には、「頭の良いキミは、福山博士のアシスタントで頑張ってくれ。」というキャップの皮肉も。

 超短波でもレントゲンでも解読できない、一見何も書かれていない金属板の謎。反射させると文字が現れるなんて、想像力がかき立てられます! 時間の都合でカットされても良さそうなシーンですが、このシーンがあることでカプセルの超科学的な設定に説得力が増します

 バニラ出現の報に出動するアラシが乗っているのは小型ビートル? いつもの科特隊本部壁面の発射台ではなく、ジェットビートルの発射台から発進するのが珍しいです。

 ウルトラマン登場とともに、今話からは戦闘テーマ曲として「M5」が使われます。「進め!ウルトラマン」のアレンジ曲で、『ウルトラマン』を代表する劇伴です。第2クールに入り、ウルトラマンのヒーロー性が強調されるようになりました。

 ウルトラマンがアボラスの泡を浴びせられた時に、科特隊員が口々に「ウルトラマンがやられた」って‥‥。初めてこのエピソードを見た時には焦りました。「ウルトラ念力」で泡を吹き飛ばすシーンはよくできていますが、唐突な感があります‥‥^^;

 今回はジェットビートル、小型ビートルのロケット弾が底をついたり(初期のようにロケット弾を発射するミニチュアのギミックが、一時的に復活しています)、スーパーガン、スパイダー、マルス133のエネルギーが切れたり‥‥。強敵の怪獣ということが表現されているのでしょうが、それほど激しい攻撃を加えているシーンが無いので、これも唐突な感じがします。30分でまとめるには欲張りな内容だったのかも‥‥。しかしそれだけに、濃密なエピソードに感じられますが‥‥。それ故か、アボラスを倒したところで終わり、エピローグがありません。


  ●アボラス

 「青」または「泡」から名付けられました。
 子どもにもわかる、「レッドキング」の体に新規造型の頭部が付けられた改造です。その新規造型の頭部は、恐竜の頭部の化石がモチーフとされています。異様に大きな口が印象的です。
 鳴き声は「ネロンガ」や「ラゴン」と同じく、「バラゴン」の素材の流用です。着ぐるみは改造で声も流用ながら、個性的で人気怪獣となりました。
 どんなものでも溶かしてしまう泡を口から吐きます。
 3億5千年前に青い液体にされてカプセルに閉じ込められていましたが、建設現場で掘り出されたカプセルの調査のために、鉱物試験所で10万ボルトの雷撃を放射されて蘇りました。
 ウルトラマンとの対決では一度はウルトラマンに泡を噴きかけましたが、ウルトラ念力で防がれてしまいました。スペシウム光線を浴びせられますが、1発では効かず、3連発でやっと倒されるという、なかなかの強豪ぶりを見せます。

  ●バニラ

 「紅」から名付けられました。
 タツノオトシゴをモチーフにデザインされました。映像作品の中でははっきりとは見えませんが、2本の尾を持つ特異な姿です。
 鳴き声は「アンギラス」の流用です。
 口から火炎を吐きます。「ペスター」と同じく、火炎は合成で処理されています。
 「アボラス」と同様に赤い液体としてカプセルに閉じ込められていましたが、落雷のエネルギーによって蘇りました。
 アボラスと対決している様子を見ると、アボラスと互角かそれ以上の実力を持っているようです。科特隊の攻撃で弱っているところを、アボラスに泡を噴きかけられて溶けてしまいました。

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10 コメント

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前後編でやるべき (こーじ)
2009-03-19 00:15:08
 TBもさせてもらってます。
 詳しくはソチラでも扱ってますが・・・

 設定的に壮大な話ですから、ある意味 前後編でやると面白かったでしょうね。

 バニラに対してビートルの武器を使い切って
しまっても倒せない強敵というイメージを作り、そのバニラを倒したアボラスは更に強いと
いう演出でしょう。

 アボラス対バニラが戦うシーンのみ円谷英二が撮ったという話を聞いた事がありますが、だからこそエピローグを入れる時間がなかったようですね。

 福山博士の研究所で待機中にバニラ出現をハヤタが感じ取るシーンがありますが、ハヤタが
ウルトラマンの能力を備えているのが分かるシーンでもありますね。  
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情報量が多過ぎる (自由人大佐)
2009-03-19 17:42:42
 おっしゃる通り、このエピソードは前後編でも充分なボリュームがありますネ。でも、ウルトラマンはクライマックスの国立競技場のシーンまでは登場しないので、2回登場するような脚本にしなくてはなりません。

分けるとしたら、「科特隊がバニラに手こずっている間に金属板の謎が解け、鉱物試験所のビルが崩れてアボラスが登場するところ」でしょうか。そうなると、バニラとウルトラマンは一度対戦していないとマズイですネ。ウルトラマンが登場しないエピソードが有っては、視聴者の子どもは納得できないでしょうから。‥‥となると、ウルトラマンは一度、対バニラ戦では敗退しなければならないということでしょうか‥‥。それも難しい展開になりそうです。
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初代ウルトラマン中ベスト1 (tanbada)
2009-03-19 21:34:29
私感ですけどね・・・

科特隊はある程度活躍する


怪獣は強敵

最後はウルトラマンがやっつけてスカッとさせてくれる


この3要素をちゃんとキープしてるので

◎です!

イデさんが相変わらずそそっかしくて


ただ金属板を落っことしただけなのに


【有難う】なんて福山博士に礼を言われてるのが


なんかバカ丁寧です。
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凸凹コンビ (自由人大佐)
2009-03-20 14:44:39
 コメディ・リリーフとしてのイデの存在は、『ウルトラマン』の世界観では重要だと思います。アラシとの名コンビぶりも、科特隊のチームワークの良さを感じさせてくれます。

 この「悪魔はふたたび」は、TVで見る怪獣番組、特撮ヒーロー番組としての『ウルトラマン』というシリーズの王道的なエピソードですネ。
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初代中期の見本的作品 (オタクイーン)
2009-03-20 22:07:41
おっしゃる通り、このエピソードは情報量、唐突感ともに満載の一本ではありますが 物語が人間側ではなく事件主体に進むという『ウルトラマン』独特の作劇術が楽しめますね。
ストーリーはアボラス・バニラを封印したカプセルと、警告プレートの謎解きが主体。
そこに人間ドラマはありません。
似たスタンスで二大怪獣登場のプロットを使った『帰ってきたウルトラマン』のグドン・ツインテール編と比較すれば、その作劇の違いは一目瞭然です。
この『悪魔はふたたび』を前後編に分けたとしたら、おそらく『怪獣殿下』で見られたような人間側のサイドストーリーを用意しなければならず、それが正統派怪獣映画たる今作品のスピード感、迫力を若干削いでしまったかもしれませんね
とはいえ、そういうパターンを見てみたかった感も大いにありますが
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Unknown (tirusonia)
2009-03-21 02:07:34
『悪魔はふたたび』は傑作ストーリーなので、リメイク版を見たい気がします。アボラス・バニラの二大怪獣も、いまだに再登場してませんし。ひょっとして、ヒッポリト星人みたいに新作ウルトラマン映画用に控えてたりして。3億5千年前の出来事を絡めタイムスリップもので撮ったら面白そう。
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Unknown (自由人大佐)
2009-03-21 03:10:16
>オタクイーンさん

 この情報量を30分(正味は25分弱)で収めるとなると、かなりのスピード感があります。だからこそ面白いのかもしれませんネ。
 これだけ速い展開の中で、ジェットビートルの攻撃や、スーパーガンのエネルギー切れに至るシーンを省略してまで、金属板の謎を解くシーンを生かした判断が素晴らしいと思います。プロの仕事だなぁ~。


>tirusoniaさん

 そういえば、アボラスもバニラも復活しませんネェ。ある意味では「隠し球」的存在なのでしょうか。
 私は個人的には3億5千年前の出来事は、映像化されて欲しくありません。想像に託されている方がロマンがあります。
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話蒸し返しますけど・・ (tanbada)
2009-04-01 21:17:59
ハリウッドのリメーク ウルトラマンパワードでは

アボラスもバニラも復活しました


(当たり前か・・)

あのシリーズ 怪獣たちがただ突っ立ってるだけで

非常に鈍重な印象

円谷の当時のスーツアクターさんたちの偉大さが再確認されまっす。
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『パワード』 (自由人大佐)
2009-04-01 23:19:59
 あれはオリジナルではないので、「復活」とは違うかと‥‥。
 私は第1話しか見ていないので、動きのある「バルタン星人」しか知りません。他の怪獣は動きが少ないのですネ。
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Unknown (Unknown)
2017-04-08 22:48:24
アボラスが研究所の電撃で蘇って、ビルをぶち破って出た後に続くシーンが富士フイルム本社側から見た首都高高樹町辺りであろうと、社会人になって現場近辺を仕事で歩いて気付いて、たいへん感慨深かったです。
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