横浜地球物理学研究所

YOKOHAMA GEOPHYSICS RESEARCH LABORATORY
地震予知・地震予測の検証など

早川正士氏らの地震予知研究を批判します(1)

2012年03月09日 | 地震予知研究(早川正士氏・地震解析ラボ)
東日本大震災の後、電気通信大学の早川正士名誉教授らによる地震予知研究が、最先端の成果としてメディアで取り上げられています。その概要は、「地震の直前には電離層が乱れ、電磁波の伝搬異常が起こる」というものです。

彼らは、東日本大震災(2011年3月11日)直前の3月5日と6日に、電磁波の振幅観測データに「明瞭な前兆が検出されている」と主張しています。

しかし、彼らの主張は全く信用できません。以下に説明します。

彼らのデータは、夜間に遠方から受信された電磁波(ULF/LF)の平均振幅です。


(「地震解析ラボ」のサイトより転載)

正確には実測値ではなく、前30日間の標準偏差で割った値を提示しており、それにも疑問がありますが、ここでは省略します。もっと本質的に、致命的な点があります。

上の図2(a)と図2(c)をご覧ください。

図2(a)がシアトルから調布(東京都)で受けた電磁波の振幅で、図2(c)がシアトルから春日井(愛知県)で受けた電磁波の振幅です。たしかに、調布での観測値には、地震直前の3月5日と6日に、異常があるようにも見えます。

ですが、春日井での観測値には、ほとんど異常がありません。ほかの観測日のほうが、よほど振幅値に異常があるのです。なぜ、春日井では地震前に異常がなかったのか、彼らは全く説明を放棄しています。

次に、もう一度同じ図を見てください。特に、図2(a)と図2(c)を見比べていただきたいのです。



図2(a)と図2(c)を見比べると、おかしなことに気付きます。シアトルと日本の距離に比べれば、調布と春日井の距離など、誤差のようなものです。ですので、この2つのデータは、同じような傾向を示さなくてはおかしいことになります。なのに、図2(a)と図2(c)の一連の実測値が、全体として全く傾向を異にしているのです。これは明らかにおかしな結果です。なぜこんなことが起こるのか、彼らは全く説明できていません。


これらの事実から結論できることは、ただひとつです。彼らの観測データは、連動するはずの測定値が連動しないほど、データそのものが全く信頼できないということです。つまり、もし何か意味のある情報があるとしても、ノイズに完全に埋もれてしまっており、このようなデータを分析すること自体に意味を見出すことすらできません。

少なくとも、シアトルと春日井の間には東北地方太平洋沖地震の震源があるはずなのに、地震発生直前の振幅値には異常が出ていないという、明らかな事実が読み取れます。しかも彼らは、このような不都合な観測事実に何も触れず、意図的に隠しているように思えます。もし意図的な隠蔽なのだとすれば、いささか問題ではないでしょうか。
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