横浜地球物理学研究所

地震予知・地震予測の検証など

全く信頼できない、「地中の微弱電流」による地震予知研究

2012年11月22日 | 地震予知研究(その他)
またひとつ、全く信頼できない地震予知研究が発表されています。

日本経済新聞の記事:
「地中の微弱電流で「地震予測率58%」 東海大など (2012年11月12日)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG1000S_S2A111C1CR0000/

この記事の内容をまとめますと、

(1)研究結果を発表したのは、東海大や東京学芸大などの研究グループ

(2)1997年5月~2000年6月、神津島で観測された地電流の変化と、周辺で発生したマグニチュード(M)3以上の地震の関係を調べた。

(3)「異常」が観測された回数は19回で、うち11回はM3以上の地震が30日以内に発生しており、同グループの長尾年恭教授は「予測率58%」という意味ある数字が得られたとしている。

(4)期間中に発生したM3以上の地震は23回だった。



・・・全く話になりません。彼らのような、統計的に客観的な判断ができないグループは、地震予知研究を即刻やめるべきです。

上記(2)によれば、対象期間は「1997年5月~2000年6月」の38ヶ月間です。そして、(4)によれば、この期間中、M3以上の地震は23回も発生しているのです。単純計算すれば、地電流に異常があろうが無かろうが、ある任意の時点をデタラメに選んでも、そこから1ヶ月(約30日)以内にM3以上の地震が発生する確率は、23/38=60.5%にもなります。

それに対し、この研究グループが異常を観測してから30日以内にM3以上の地震が起こった確率は、(3)によれば58%です。つまり、デララメとほぼ同じ(むしろ低い)予測率しか得られていないのです。これで「(統計的に)意味がある」と結論するような頭脳のひとたちに、地震予知研究など出来るわけがありません。時間とお金の無駄です。

 ■

この研究もそうですし、電気通信大学らによる「地震解析ラボ」もそうですが、大学などのグループが行なっている地震予知の研究は、総じて全く信頼できない(むしろデタラメが多い)のだということを、我々は肝に銘じておくべきのようです。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「地震解析ラボ」の予測情報... | トップ | あまりにも悪質、地震解析ラ... »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
日本地震学会のレベル (伊牟田勝美)
2015-11-24 00:05:08
最近、元になった記事を見つけました。
研究グループを率いた東海大の長尾氏は、日本地震学会、日本火山学会、日本地震予知学会等に所属しているそうです。
これらの学会のレベルも、このレベルなのでしょうか?
そうであれば、日本で地震予知ができるようになる可能性は、ゼロでしょうね。

成功率にも問題がありますが、他にも地震予知の対象をM3以上としたことも、期間を30日間としたことも、大問題と考えています。
地震予知の対象なら、最低でもM5以上を対象とすべきだと思います。それをM3まで下げたのは、データに合わせるためだったのではないでしょうか。
また、予知期間を30日としたのも、成功率を5割以上に高めるためだったのではないでしょうか。

こんな出鱈目な地震予知ですが、米国科学アカデミー電子版で発表してしまいました。その厚顔無恥には、呆れ返るばかりです。

Unknown (横浜市民)
2019-06-24 09:38:54
本日、6/24の地震では、横浜は細かな振動から大きく揺れましたが、細かな振動の時に体に微弱電流が流れました。
とても気持ち悪い感覚でした。

地震予知研究(その他)」カテゴリの最新記事