日々是好日日記

心にうつりゆくよしなしごとを<思う存分>書きつくればあやしうこそものぐるほしけれ

栗なんか 拾わないのか 先送り

2022年01月20日 07時51分58秒 | 政治
 上は、山丘春朗選の「朝日川柳」(2021/01/14)掲載、岡山県みやもとみえこ氏の一句である。これだけでは分かりにくいが、次のような政府発表を想起すればよく分かることだろう。
「安定的な皇位継承のあり方などを議論してきた政府の有識者会議は22日、最終的な報告書をまとめました。皇位継承の議論は機が熟していないとしたうえで、皇族数を確保する方策として▽女性皇族が結婚後も皇室に残る案と▽旧皇族の男系男子を養子に迎える案の2つが盛り込まれました」(2021/12/22NHK)
 つまり、「有識者」なる人々は、例によって「右見て、左見て」多事争論のうごめく中で、こうあるべきと結論を出すにはまったく勇気がなかったのである。彼らに諮問された問題<皇位継承>については、はるかにその淵源を辿ればそれこそ後醍醐天皇の南北朝騒乱の時代まで遡らないと、いやいや半島の血がどうのこうのと桓武天皇の長岡京遷都時代あたりまで立ち戻らないとすっきりしないという主張すら出てきかねない混沌問題。それは大袈裟すぎるとしても戦前と国破れて後の新・旧両憲法の下での接合に失敗したことの傷は深く、それゆえに政治的爆薬も不発のままに残っていてみれば、能く歴史を知る「有識者」なればこそなお敢えて火中の栗なんぞは拾わないし、拾えない。投句者はそこを笑い飛ばしたのである。
 また、昨年暮の12月5日に20歳になられた愛子内親王の国民的人気はいやがうえにも急上昇したかと思いきや、既存の男系男子の人気をはるかに凌駕して圧倒的な女帝願望を刺激し、性差別解消の時代的要請とも相まって国民の期待はいやがうえにも天を衝く勢いを呈している。
 しかるにこれは「天皇世継ぎは男系男子に限る」と主張する政権中枢に巣食う保守派政治家の絶対に認め難い聖域である。されば万事強者に弱い「有識者(御用学者とも)」の最も警戒するところであって、立ち往生となってお茶を濁して終わったというのが現実だったのであろう。
かくてまた、
 「有識者痒(かゆ)いところは掻(か)かざりき」三重県 山崎末男(同上)
と、口さがない「庶民」から、「有識者」たちは重ねて野次られることになる。