■オリジナル読み物は「ISSUE」で、ノンフィクション書籍情報は「BOOK WEB」で、ノンフィクション作家情報は「WHO'S WHO」で
オリジナル読み物満載の現代プレミアブログISSUEページへノンフィクション作品ガイド満載の現代プレミアブログBOOK WEBページへノンフィクション作家の情報満載の現代プレミアブログWHO'S WHOページヘ現代プレミアブログCOMMUNICATIONページヘ現代プレミアブログWORK SHOPページヘ
現代ビジネスOPEN!! どりこの探偵局


佐藤優「深層レポート」「封印された橋洋一証言」(※『現代プレミア』より)
>>>第1回から読む

誰が中川失脚を仕掛けたか
 橋氏の窃盗事件に関しても、情報の流れについて注意深く観察すれば、官僚の作為が浮き彫りになる。事件について、報じられている事実経過は冒頭で触れたとおりだ。当初、表に出ていなかった情報が、なぜ犯行から6日後に外部に出たのか。
 筆者が信頼する社会部記者から聞いたところでは、3月30日に検察から一斉にリークがなされた。もちろん橋氏の信用失墜につながるこの情報を財務省も歓迎した。窃盗事件の事実関係と別に、情報の流れだけに注目していると作為が見えてくる。橋氏は、窃盗の現行犯もしくは準現行犯として、任意で警察官に同行したようである。そして、容疑を認めることと引き替えに、本件を警察がマスメディアに公表しないという約束を取り付けたのだと筆者は推定している。警察はその約束を守った。しかし、書類送検された瞬間にその情報を検察が流したのだと推定される。インテリジェンスのプロの目から見て、情報の流れが尋常ではないということは断言できる。何らかの意思が働いていることが推察される。
 そこで思い至るのが、対話の中で橋氏が語っていた、中川昭一前財務大臣の朦朧{もうろう}会見による失脚劇である。橋氏は、財務省による「仕掛け」だったとの見立てをしていた。あの会見について意見を求められた私が、「外務省が・不作為・によって大臣を陥れたんでしょう。あんな状態の大臣を普通なら会見には出さない。羽交い締めにしてでも出席させないですよ」と言ったのに対し、橋氏はかなり強い調子で次のように語った。
「でもアテンドで中川さんについていたのは全員が財務省の役人だったんですよ。一緒にいた玉木林太郎国際局長は中川さんと麻布中学・高校の同級生。普通はG7(先進7ヵ国財務相・中央銀行総裁会議)に国際局長は絶対行かない。異例の同行です。しかも彼は中川さんと一緒にずっと酒を飲んでいた。あまりにも不自然ですよ」
 一般には知られていないが、当時、大型補正予算の財源を巡って財務省と麻生官邸が水面下でバトルを繰り広げていた。財務省の思惑に反する政府紙幣の発行に傾いた麻生首相に対する警告として、首相側近だった中川財務相に失態を演じさせた、というのが橋氏の見立てであると筆者は受けとめた。
 しかも財務省は、自分たちと一心同体の与謝野馨経済財政政策担当相を、ポスト麻生の本命として財務大臣に据えることにも成功した。「いかにも財務省がやりそうなこと」と橋氏が知人に語っていたとも聞いている。恐らく、財務官僚も外務官僚と同じくらい恐ろしいことをやる人たちなのだ。さらに橋氏はこんな疑問も口にした。

***

橋 もうひとつ不自然なのが(ローマに行くにあたって中川氏が用いた)チャーター機。会議の時間に絶対に間に合わないという特別な事情もないのに、定期便が飛んでいる時間帯にわざわざチャーター機を出している。
佐藤 チャーター機は値段があってないようなものです。だから、外務省がチャーター機を使うのはカネを抜くとき。あるいは禁制品を運ぶときです。
橋 どうして4100万円もかけてローマまでチャーター機を飛ばしたのか、謎ですね。


***

 筆者が鈴木宗男衆議院議員から直接聞いた話であるが、「飛行機のチャーター代はあってなきものだ。政府専用機ができる前にチャーター便の運航で、外務省は相当、裏金をつくっていたはずだ」ということだ。
 ちなみに、外務省の・不作為・について、筆者なりの見方を示しておこう。人間関係から見ると、外務省のなかで中川氏と非常に親しいのは官房長の河相周夫氏だ。だが私が見るところ、この河相官房長は、ずる賢いので敵が多い。河相官房長とイタリア大使の安藤裕康氏との関係も決してよいとはいえない。バチカン見学にはイタリア大使館の職員がついて行ったのに、中川氏は非常ベルを鳴らすような問題行動を起こしたという。イタリア大使館が、中川氏にとって、悪いほうへ、悪いほうへと転がるように、不作為を繰り返したように筆者には思えてならない。
 また、対中強硬派である中川氏が失脚すると得をする外務官僚がいることも確かだ。そして官僚というのは、にわかには信じられないかもしれないが、自分たちの利益のためにならないと考えれば、大臣の失脚を謀{はか}ることなど平気だ。外務官僚が国会議員をはめるからくりについて筆者はフィクションの形をあえてとって『外務省ハレンチ物語』(徳間書店)で明らかにしておいたので、関心をもたれる読者は是非目を通していただきたい。日本国家のためには、政治家よりも優秀な自分たちこそが生き残るべきだと考え、自分たちの行動のほうが正しいとひとりよがりの信仰をもっている官僚はかなり多い。


「第4回」に続く


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )


« 二宮清純のノ... 大豆食品など... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。