玄文社主人の書斎

玄文社主人日々の雑感もしくは読後ノート

ひと駅乗車の楽しみ

2010年02月01日 | 日記
 凍てつく寒さの中を、越後線東柏崎駅から柏崎駅まで、たった一駅の乗車をする。料金は百四十円。お金を入れると切符の自動販売機がやたらと大きな声を上げる。「子供の方は子供ボタンを押してください」という声が、静かな駅舎に響き渡る。
 前の日の新年会で、柏崎駅の近くに置いてきた車をとりに行くのである。月に一~二度、こんな日がある。実は越後線の一駅乗車には、秘められた楽しみがあって、週末にまち中で飲んだ時も、代行をつかうことはあまりない。
 東柏崎駅のホームで待っていると、隣りの踏切の警報音が鳴って、電車が近づいてくるのが分かる。いつも二~三人しか人のいないホームに電車が入ってくる。たった三分間の乗車だが、中越沖地震発生後、この沿線の風景は、大きな変化を見せている。駅前テニスコートに仮設住宅が建てられ、それが撤去される風景も見てきた。
 日石加工跡地に残された赤煉瓦棟が地震で倒壊し、無残な姿を晒している様子も、そして残骸が撤去されて、更地となった風景も見てきた。日石加工跡地では地震以前から土壌改良工事が進められてきているが、次々と建造物が撤去され、地面が掘り返される様子も目に焼き付いている。
 いよいよ、土地区画整理事業が始まり、新市民会館の着工も近い。その前に、線路反対側の小松跡地に建設されるコモタウン柏崎のための道路整備工事も始まっている。これから急ピッチで建設が進められていくことになる。このあたりの変貌ぶりを、越後線の車窓から眺めていきたいと思っている。
 いつも東柏崎駅八時三分発か九時四十三分発を利用する。前日の飲酒の程度によって利用時間が変わる。ところで、九時四十三分に乗り損ねると、午後一時四十二分まで、四時間もの間、電車が一本もない。ローカル線だなあ……。

越後タイムス1月15日「週末点描」より)



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