玄文社主人の書斎

玄文社主人日々の雑感もしくは読後ノート

大雪と苦情

2012年03月12日 | 日記
 東京の柏崎談笑会に出席して、ふるさとの雪のことを聴かれ、「今年の雪は大したことないですよ。例年の半分くらいです」と報告し、翌日柏崎に帰ってきたら、大変な大雪となっていた。その後も寒気が居座り続け、旧柏崎市は二十六年ぶりの豪雪となった。
 そんなある日、市役所の喫煙所でタバコを吸っていると、一人の男性が入ってきて、何かしゃべりたそうにしている。見ず知らずのその人は「今、市役所に怒鳴り込んできた。柏崎の除雪はあまりにもおそまつだ。“アルフォーレみたいなもん造る金があったら、除雪費を充実させろ”と言ってきたんだ」と興奮気味に話した。
 さらにその人は「我々貧乏人には文化や芸術なんかどうでもいい。とにかく、この雪をなんとかしてくれ」と切実に訴えるのだ。秋田出身だというその人は、故郷の除雪体勢の完璧さと柏崎のそれを比較して、市役所への批判を続けた。
 確かに長岡市などと比べると、柏崎市の道路除雪は下手くそで、垂直に雪の壁をつくる美しい除雪はめったに見られない。しかし、豪雪地と柏崎のように山間部を除いては比較的雪の少ない都市の除雪費に差があるのは仕方のないことで、除雪車にも大きな違いがある。今年柏崎市は国からロータリー除雪車を借り受けたほどだ。
 早朝から深夜まで、不眠不休で除雪を行う業者の人達の努力を考えると、文句は言えない。今年度の除雪費は当初予算の四億三千万円が補正によって倍の八億四千万円に膨らんだ。決して小さな金額ではない。
 ところで、アルフォーレが活発に利用され、市の活性化に貢献し、先のようなことを言われないようになることを強く願っている。

越後タイムス2月9日「週末点描」より)


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