日刊イオ

月刊イオがおくる日刊編集後記

何の「恥じらい」もない弾圧

2012-02-08 09:02:45 | (K)のブログ

 外国人登録法という法律がある。日本にいる外国人を管理・監視するための法律だ。7月に「新たな在留管理制度」がスタートするため、外国人登録法自体はなくなってしまう。この法律の大きな問題点は、違反した場合に刑事罰になること。そして、常時携帯義務や指紋押捺制度が長い間在日外国人を苦しめてきた。今回の改定で、特別永住の外国人の場合、外国人登録証は特別永住者証明書というカードになり、常時携帯義務はなくなるというが「提示義務」は残るのだという。常時携帯義務と提示義務、どこがどう違うのだろうか?

 大学に入学した後、同胞の先輩から教えられたのは、「外出する際には必ず外登(外国人登録証)を持っておけ」ということだった。警察に呼び止められもし持っていないと、捕まってしまうからだ。銭湯に行くときも、近所に買い物に行くときも、「必ず持っていけ」と念を押された。
 私はその教えを三十数年間守り続け、外出するときは常に外登を持ち歩いている。たぶん、私の人生の中でもっとも長い間、身近にあるのが外登ではないだろうか。


 この常時携帯義務も含め外国人登録法に規定された「義務」は、法律上はすべての在日外国人に負わされているものだ。しかし、実際の運用においては「平等」ではない。
 1963年、茨城県の竜ヶ崎朝鮮人午後夜間学校の教室で女性教師の李さんが授業している最中、竜ヶ崎署警察官が入り込んできて、李さんに外登の提示を求めた。その日たまたま外登を自宅に忘れてきた李さんは、生徒のいる前で連行され、登録法違反とは関係のない生徒の氏名、住所、保護者の職業など数時間に渡って尋問を受けた。
 1990年には、職員が外登の記載事項の変更をしなかったという些細な「違反」を理由に、何十人もの警官が東京朝鮮中高級学校に殺到、強制捜索し何の関係もない書類などを押収するという事件も起きている。
 昔、朝鮮大学校の前で警察が待ち構え、外出から帰ってきた朝鮮大学校の学生に「外登を見せろ」と迫ったということもあった。
 このようなことは欧米系のインターナショナルスクールに対しては絶対にやらないはずだ。日本は、在日朝鮮人や気に入らない外国人を狙い撃ちし、弾圧する道具として法律を使ってきた。


 そして現在。
 2月5日の産経新聞は次のように伝えている。
 「大阪市の橋下徹市長は5日、市内で開かれた北朝鮮による拉致問題を考える集会であいさつし…『大阪府、大阪市では拉致問題は許さない。不法国家である北朝鮮が正常な国になるまで付き合いは一切しないという意思をはっきり示していきたい』と強調。自身が府知事時代に打ち出した朝鮮学校に対する補助金支給要件の厳格化を上げ『全国の自治体でやればできる。これぐらい国が何で指示を出せないのか』と指摘した。」

 続いて7日のNHKニュースは「松原拉致問題担当大臣は、閣議のあとの記者会見で、朝鮮学校への補助金の支給にあたり、大阪府が北朝鮮の指導者の肖像画を教室に掲げないことなどを条件としていることについて、ほかの自治体が大阪府の対応を参考にするよう、平野文部科学大臣に要請する考えを示しました。」と報道している。


 結局、橋下市長らは、「不法国家、北朝鮮を懲らしめるために、日本にある朝鮮学校を兵糧攻めにする。在日朝鮮人の民族教育の権利を弾圧する」と言っているわけだ。「無償化」から朝鮮学校を外した最初の「口実」「理由付け」は、今は何も残っていない。
 現在進行形の「高校無償化」からの朝鮮学校排除、大阪府や東京都など地方自治体に広がる朝鮮学校への補助金カットなどを見ると、明らかに昔の弾圧と性質が違ってきている。
 今は「法律」もくそもない、めちゃくちゃな弾圧であるということ。また、昔は弾圧に対して正当な抗議をすると、抗議をうけた側もそれなりに「恥じらい」というものを感じていた場合があったが、いま橋下市長はじめ政治家たちは何の恥じらいも感じていない。逆に自分たちが「正しいことをしている」とさえ思っているはずだ。
 そして、このような政治家が大きな支持を受けている、またこのような「朝鮮学校イジメ」を多くの人々が「正しいこと」だと思っていることも、昔と大きな違いだ。「北朝鮮に対しては何を言っても、何をしても許される」という風潮が完全にできてしまい、いまの流れに声を出して反対する日本人がいても完全にかき消されてしまっている。
 日本はとんでもない社会になってしまったというのが正直な気持ちだ。

 今も進んでいるが、今後、「北朝鮮を支持するから」「朝鮮総聯と関係しているから」「朝鮮籍だから」と、権力者の恣意的な判断で特定の人々の権利がどんどん剥奪され弾圧・迫害が加えられていくのであろう。それはどこまでエスカレートしていくのだろう。
 今回、改定される「新たな在留管理制度」では、「みなし再入国許可」というものが導入される。これは、特別永住者の場合、2年以内の出国、再入国については再入国許可を不要とするものだが、法務省は「朝鮮籍」者の特別永住者は「正式な旅券がない」という理由で「みなし再入国」を認めないとしている。

 長々と書いた割には現在の状況をうまく伝えられないが、心の中にある自分を押しつぶそうとしている不安は現実のものだ。(k)

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