日刊イオ

月刊イオがおくる日刊編集後記

勝訴を目指して、さらに広がる連帯

2018-09-22 10:00:00 | (理)のブログ
 昨日のブログ(九州無償化裁判、結審! 判決は来年春)の続きです。

 報告集会では、服部弘昭弁護団長があいさつしたあと、金敏寛弁護士が発言。
 金弁護士は「訴状を提出したのが2013年の12月19日。14年3月20日に第1回口頭弁論が始まったので、ちょうど今日で丸4年と6ヵ月ここで審議していたことになる。当時、高校に通っていた学生たちが無償化の適用を受けることなく卒業して、4年6ヵ月が経ってもまだ裁判が終わっていない。弁護団としても非常に申し訳ないと思っているが、ここでようやく一審の区切りをむかえる」とこの間を振り返った。



 また今回の弁論について、「今日提出した書面は2つ。準備書面27は30pほどの書面で、いわゆる損害論、原告たちがどれだけ嫌な思いをし、また被害を受けたのかということをまとめた。その上で、準備書面28では無償化法の仕組みを振り返り、規則ハ削除と規程13条との関係を見たとき、いかに国の不指定処分がおかしいのか、主張が破たんしているのかということをまとめた。書面は合わせて100p弱。加えて最後に182個の証拠を提出した」と報告した。

 続いて、清田美喜弁護士がマイクを受け取り、裁判の内容とは別に、この期間にひとつ事件があったこと、それに対して無償化弁護団が声明を出したことを話した。



 「いま、全国的に“この弁護士を処分して下さい”という通知(懲戒請求)が大量に届く事件が起こっている。朝鮮学校への補助金支給を見直せとした3.29通知に反対する声明を出した弁護士会に届いたことが発端で、他にも各地のたくさんの弁護士を名指しして懲戒請求が送られてきている。ネット上には“ここ宛てにこういう内容で送れ”というようなひな型も上がっており、福岡県弁護士会は、“これは懲戒請求ではなく、懲戒請求の名を借りた嫌がらせだ”と判断している。同様のことが沖縄弁護士会でも起こり、無償化弁護団の白充弁護士が対象の一人になっている。私たちは弁護団の仲間として、そして背景には朝鮮学校に対する差別・排外意識があると重く見て、結審にあたってのメッセージと、今回の懲戒請求は差別と変わりなく、許されないことだというメッセージを込めて声明を出した」

※以下、声明の内容(一部)
 「2018年7月24日、沖縄弁護士会は不当な大量懲戒請求とその背景にある人種差別的言論に対し、強く抗議する会長声明を発出した。当該会長声明は2017年11月から12月にかけて、沖縄弁護士会所属の会員2名に対して合計961通の懲戒請求が行われたこと、同会がこれらを懲戒請求として取り扱わない旨を決定したことを代表とする。なお、当該不当な懲戒請求の対象とされた弁護士のうち1名は当弁護団の一員である。沖縄弁護士会に寄せられた不当な懲戒請求は、当該弁護士の業務における取り組みや姿勢などにはなんら目を向けるものではなく、ただ在日朝鮮人であるというその属性のみに着目してこれを攻撃するものであって、懲戒請求という名前と姿を借りた差別であり、ヘイトスピーチに他ならない」



 次に、韓国・釜山から駆けつけた市民たちが登壇。2006年に発足した「海外同胞民族文化・教育ネットワーク」(同胞ネット)のメンバーを主とした方たちだ。同胞ネットは、その名の通り海外同胞との交流や連帯を目的とした市民団体で、九州の朝鮮学校とも12年間にわたって交流を続けてきた。今年11月には、朝鮮学校との交流に特化し、より多くの釜山市民と在日朝鮮人の子どもたちをつなげるための「朝鮮学校と共に! 釜山市民の会」(仮称)が正式に発足されるという。また、来年2月には、北九州市国際会議場(小倉)で、朝鮮学校を支援するコンサートを予定しているとのこと。朝鮮学校を支援する日本の市民団体とも協力して準備を進めている。



 その他にもさまざまなアピールやお知らせが。





 3世が中心となって同胞社会の未来を考え、作っていこうとの趣旨で2年前から活動を続けている「筑豊リボンプロジェクト」は、10月28日(日)に映画『蒼のシンフォニー』上映会を企画。朴英二監督を招いてトークショーも準備している。

時間:10月28日(日)上映13:30/トーク15:30
場所:嘉麻市なつき文化ホール
チケット:前売り1500円、当日2000円(高校生以下は前売り1000円、当日1500円)
問合せ:筑豊リボンプロジェクト TEL/0948-22-2962(李)
※無料託児所、駐車場あり



 九州朝鮮中高級学校の生徒たちは、支援者たちへの感謝の気持ちを込めた歌とアピールを披露。10月21日に行われる文化祭も宣伝した。

 報告集会後には、九州朝鮮中高級学校で日本の支援者、弁護団、釜山市民、学校関係者らが焼肉をして交流を深めた。参加者たちは勝訴を目指し、さらにその先を見据えて引き続き闘いを進めていきながら、互いに協力して多様な取り組みを展開していこうとの気持ちを共有していた。(理)

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