日刊イオ

月刊イオがおくる日刊編集後記

深まる読書の秋

2018-11-14 10:00:00 | (理)のブログ

 もともと読書が好きだが、ここ数年は集中力が続かず生活から本が遠のいている。面白そうな本を図書館で借りてきても、読み切らないままに返してしまうことが多い。それでも最近、なにかのきっかけでまた少しずつ読むようになってきた。

 写真右上の絵本『ことばのかたち』は、イオ12月号の書籍情報ページにも掲載される。
 「もしも 話すことばが目に見えたら どんなかたちをしているだろう」―。花、毛布、くだもの、タンバリンと、ことばが身近なものに例えられる。水彩画で、見ていてとても癒される。しかし、「だれかを傷つけることばが 針のかたちをしているとしたら どうだろう」との問いかけのページで描かれる絵は痛々しく、悲しい。実際に手に取って見ると小さなショックがある。子どもが読んでも大人が読んでもそれぞれに違う深度で感じることがある本だと思う。

 この絵本の作者、おーなり由子さんの本を初めて手にしたのは小学校高学年か中学生の頃。近所の古本屋に『てのひら童話』というかわいらしく手触りのいい本が3巻セットで置かれていた。パラパラとページを繰ると不思議で面白そうな話がたくさん詰まっていて、すぐにレジへ向かった。まだじっくり読んでもいないのに、(だれかに買われていなくてよかったー)とほっとした。漫画のようにコマ割りされているが内容は穏やかで、でもドラマチックな場面もあり、すっかりお気に入りになった。思春期のあいだ、何度も何度も読み返してほっこりしたり、切なくなったりした。
 思い出話が長くなってしまったが、本当に素敵な本なのでこういう雰囲気が好きそうな人はぜひ手に取ってほしい。1993年に初版のようだが、2004年に文庫版も発売されている。

 写真右下の『死を招く乗客』はミステリーアンソロジーだ。ロープウェイ、バス、飛行機、船など、乗り物の中で起きた殺人事件を題材にした短編推理小説を集めている。8人の作家による物語が収められているが、個人的にいちばん面白く感じるのは夏樹静子さんという作家が書いた「死刑台のロープウェイ」。
 夏樹静子さんの作品は他にも何冊か読んだことがある。どれも登場人物のキャラクターが立っていて、綿密に絡み合った人間関係と、そこからくる深い心理描写でぐいぐい物語に引き込まれる。そして意外な結末。これらの作品を読んで推理小説の面白さを知った。

 面倒なことを後回しにしてついついだらけてしまいがちな己の性格に喝を入れるために買ったのは、写真左下の『すぐやる人は、うまくいく。』。ビジネス系の啓発書だが、日常生活にも当てはまる考え方がたくさん書かれており、身に染みることも多い。しかしこの本を買ったのは2週間以上前。1~2時間で読めてしまう、しかもこの題材で売っている本をだらだらと読んでいる(まだ半分も読めていない)自身の怠慢さが恐ろしい。

 写真左上の『네덩이의 얼음』は朝鮮民主主義人民共和国の本で、もちろんすべて朝鮮語で書かれている。貸してくれた先輩いわく、「タイトルの意味は最後まで読んだら分かる」とのこと。なんと訳したらいいのだろう、「4つの氷塊」…? それこそミステリ小説のようなタイトルだが、内容は日本軍性奴隷制問題について書いたものだという。朝鮮語の原書は長らく読んでいなかったため、集中力を保ちながら読み進めるのにかなり苦労している。頑張って読み切りたい。(理)
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